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「FFへの信頼、取り戻す」──「ファイナルファンタジーXIV」作り直しで再起動 スマホ連携、4K対応も

» 2013年08月27日 17時22分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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 「世界でも類を見ない、同名タイトルの作り直しだ」――スクウェア・エニックスは8月27日、Windows/プレイステーション 3用MMORPG「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」(FF14)の正式サービスを開始した。

 「FF14」としては正式リリースは2回目だ。旧作は2010年9月にWindows版正式サービスをスタートしたが、多数の不具合がありユーザーからの不満が爆発。同年12月には和田洋一社長(当時)が謝罪し、プロデューサーが吉田直樹氏に交代するという異例の事態となり、開発体制を刷新して3年かけて作り直してきた。

 3年の間にゲームをめぐる環境は激変し、スマートフォン向けが主戦場となっている。FF14自体はスマートフォンでは遊べないが、スマートフォンからゲーム内データを閲覧できるアプリを提供するほか、Surfaceなど比較的低スペックのマシンでも遊べるようにするなど幅広いデバイスに適応させてプレイヤーを拡大。「5年、10年、それ以上長く愛されるタイトルを目指す」と吉田プロデューサーは意気込む。

旧作は「FFブランドに大きく傷がついたタイトル」

 同作品は、ファイナルファンタジーシリーズのナンバリングタイトルとしては「XI」(11)に続く2作目のオンライン専用。「オンラインゲームとしてのFFを再生させるべく、一丸となってこの日に向けて取り組んできた」――和田洋一氏から6月に社長を引き継いだ松田洋祐氏は話す。

画像 吉田プロデューサー(中左)と松田社長(同右)

 10年にリリースした旧FF14のサービス提供を続けつつ、「新生」の開発を進めてきた。吉田プロデューサーは旧FF14について、「プレイヤーのゲーム体験がファイナルファンタジーと呼べる品質に達していなかった。世界中から期待をいただいたにも関わらず失望させてしまい、大きくブランドに傷がついたタイトルだった」と振り返る。

 ゲームシステムやストーリーを刷新したにも関わらず、なぜ「15」と銘打たず「14」の作り直しにこだわったのか。「世界中に熱心なファンがいるファイナルファンタジーシリーズが期待に応えられなかったのはファンに大きなショック、心理的ダメージを与えた。そのタイミングで14をやめて15を作ると言っても信用してもらえない考えた。FFシリーズにおいては絶対にギブアップしない」と吉田プロデューサーは決意をにじませる。

 この3年間は「すべての情報を開示しながら同名タイトルのリローンチを進めることで、信頼を取り戻してきた」と振り返り、「FFの未来のためにも、この施策が結果的には近道になるのでは」と力を込める。

PS3版の予約「過去最高」 PlayStation Storeで

 新生FF14はストーリーやキャラクター、ユーザーインタフェースを旧作から刷新し、「ファイナルファンタジーらしい、世界最高峰のグラフィックとストーリー、ゲーム体験を用意した」(吉田プロデューサー)自信作だ。序盤はユーザー同士のコミュニケーション不要で遊べるようにするなど、コンソール機向け1人プレイのFFファンにも入門しやすいよう配慮した。

 ソフトは「通常版」と「コレクターズエディション」を用意した。価格は、PlayStation 3用通常版が3300円(パッケージ、ダウンロードとも)、コレクターズエディションのパッケージ版が1万290円、ダウンロード版が5300円。Windows用はすべてのラインナップがオープン価格。30日の無料プレイ期間後のサービス利用料は、30日1280円から。


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 正式サービスに先駆けたクローズドβサービスの評判は上々。フェーズ3のテストには世界から100万人を超える応募があり、「50万人が平均プレイ時間30時間を超えるほど熱中していただいた」という。「2回目のローンチという例を見ないサービスだが、好調な滑り出しとなっているのでは」と吉田プロデューサーは手応えを感じている。

 PS3版の予約も好調。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の河野弘取締役は、「PlayStation Storeで過去最高の予約実績が既に出ている」と明かす。来年にはPS4版もリリース予定だが「PS3で育てたキャラはPS4に引き継ぐことができ、PS3で楽しんだ人が後悔しないような仕組みも検討している」と河野氏。「是非PS3で堪能いただき、PS4に引き継いでいただきたい」

SurfaceからゲーミングPCまで「あらゆる環境に対応」 スマホアプリ、4K対応も

 Windows版はVista/7/8に対応。Core2 DuoマシンやSurfaceでも快適に遊べ、「非常に幅広いレンジのPCで動作する」(吉田プロデューサー)という。

画像 4Kテレビのプレイデモ

 MMORPGは、ハイスペックなゲーミングPC向けに作られるケースも多いが、「限られた環境のなかでプレイする状況のままではビジネスではどんどん狭い領域に入る」と判断。ユーザーを拡大し、ビジネスを広げるため、「ありとあらゆる環境に適用しようとしている」。今後はDirectX 11や4Kテレビに対応するほか、スマートフォンでゲーム内データを閲覧できるアプリも提供する予定。「野心的にこのタイトルを発展させようと考えている」

 「FF14は今日がゴールではなく、1つの通過点」と吉田プロデューサー。「世界中のプレイヤーとともに作り上げ、5年、10年、それ以上長く愛されるタイトルを目指してまい進していきたい。FFという名前のテーマパークを目指し、長く運営を続けたい」

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