【1月13日 AFP】ある喫煙者に最も適した禁煙治療方法を選ぶための指標として、ニコチン代謝の速さが鍵となるとする研究結果が12日、呼吸器医学の専門誌「ランセット・レスピラトリー・メディシン(The Lancet Respiratory Medicine)」に発表された。

 禁煙を試みる喫煙者の大半が1週間以内に失敗していると状況をかんがみて、それぞれの喫煙者に最も適した治療法を組み合わせることが必須だと論文の著者たちは述べている。

 これまでの研究では「CYP2A6」と呼ばれるニコチン代謝酵素の働きと喫煙欲求の関連性が明らかになっていた。ニコチンが速く代謝されるほど、次の1本を吸いたいという欲求が起きやすく、従って禁煙もより難しい。

 今回米国とカナダの研究者らは、CYP2A6の代謝速度をバイオマーカー(生体指標)として用い、禁煙を希望する喫煙者1246人を対象に、ニコチンパッチと非ニコチン製剤による禁煙治療のどちらがより効果的か調べた。すると、大半の喫煙者があてはまる「ニコチン代謝が速い」場合は、ニコチンパッチよりも非ニコチン製剤(経口禁煙補助薬)を使用したほうが禁煙しやすく、6か月後も禁煙を続けている確率が高いことが分かった。

 一方、ニコチン代謝の遅い喫煙者では、ニコチンパッチと経口禁煙補助薬を使用した場合に差はなかった。対象となった喫煙者のうち、ニコチン代謝の速い人と遅い人はほぼ半数ずつに分かれた。

 共同研究を行った米ペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)のキャリン・レルマン(Caryn Lerman)教授(精神医学)は「禁煙をしようとした人の65%が1週間以内に再び喫煙している。喫煙者のニコチン代謝率に基づいて治療法を選択することは、喫煙者が自分に最適な禁煙方法を選ぶ一助となる有効な臨床戦略になり得る」と語っている。(c)AFP