4ヵ月の準備期間を経て、平野新体制スタート

 日本マイクロソフトは、本日2015年7月2日、都内で“新社長就任&新年度経営方針”記者会見を開催した。7月1日から始まる日本マイクロソフトの新会計年度(2016年度)における経営方針を、7月1日付けで代表執行役 社長に就任した平野拓也氏みずから説明した。

※関連記事:日本マイクロソフトの新社長に今年45歳の平野拓也氏が7月より就任

日本MS、新年度・新経営体制がスタート 平野新社長は会見で「Xbox事業もしっかりと進める」と発言_01
▲日本マイクロソフト 代表執行役 社長 平野拓也氏

 日本マイクロソフトは7月1日から新たな会計年度がスタートした。それに合わせて、7月1日付けをもって、これまで7年に渡り日本マイクロソフトの社長を務めた樋口泰行氏が代表執行役 会長に、副社長だった平野拓也氏が代表執行役 社長へと就任する。今回の記者会見では、平野氏および樋口氏が登壇し、日本マイクロソフトの2016年度の経営方針の説明が行われた。

 平野新社長が掲げるスローガンは“徹底した変革の推進”。ビル・ゲイツがMicrosoftを創業してから40年、日本法人設立からも30周年(日本マイクロソフトに名称変更してから5周年)という節目の年となる。Microsoftは昨年2月にCEOに就任したサティア・ナデラ氏のもと、さまざまな変革を進めている。日本マイクロソフトでも、“革新的で、親しみやすく、安心でき喜んで使っていただけるクラウドとデバイスを提供する”ことをミッションとする。平野氏は、「ビル・ゲイツ氏も創業時は同じ思想だったはず」と語りつつも、「新しい日本マイクロソフトを打ち出す」と決意を新たにしていた。具体的には、PCを中心とした考えかたから、人を中心とした考えかたへと移行するほか、Windowsにとどまらない考えかたも必要だと語る。
 とはいえ、2015年はWindows 10がリリースされる年となる。「さまざまなデバイスを通じて“革新的なパーソナルコンピューティング体験”ができる」とのこと。Windows 7や8.1からの無償アップグレード、秋から年末に発売が予想されるWindows 10搭載の「エキサイティングなデバイス」にも期待したい。
 また、日本展開が明言されていない音声操作機能の“Cortana”やAR(拡張現実)“Microsoft HoloLens”についても、できるだけ早く日本でも展開したいという見解を述べた。

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 続いて登壇した樋口新会長は、会長職を置いた意図と自身の今後の業務内容を説明した。外資系企業では珍しい会長職を置いた理由として、樋口氏は「日本の場合、マイクロソフトの製品やサービスを使っていない会社はまずないので、多くのパートナー様との関係が大事」と語り、会社対会社の関係強化や新たな戦略的パートナーシップの構築のため、平野新社長の経営や事業展開を全面サポートしていく姿勢を示した。また、これまでは積極的とは言えなかったナショナルアジェンダ(国別行動企画)への貢献や、社長経験を活かした後進の人材育成にも意欲を見せた。

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▲新たに代表執行役 会長に就任した樋口泰行氏。
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▲平野氏を支える経営執行チームとともに、質疑応答に応じた。

 最後に行われた質疑応答では、Xbox事業に関する質問も行われた。
「海外市場では好調なXbox Oneだが、日本は依然低調。平野体制下ではどうするのか? 現状のように撤退はしないがお金はあまりかけない状況を続けるのか」という、ストレートな質問に対し、平野氏は「撤退ということは全然考えていません。しっかりと(Xbox事業を)進めていきます。とくにWindows 10が出ることによって、これまでとは違うユーザーシナリオが出てくる。Xboxからも、ほかのデバイスからもその体験ができるということで、あとはどういったゲームを出すことができるのか。どういったワクワク感を提供できるのか。今年は、これまで以上のラインアップと質の高いタイトルが揃っているので、ぜひ期待していただきたい」と語った。
 続いて、国内でのXbox事業を取り仕切る横井伸好氏(執行役 コンシューマー&パートナーグループ リテールビジネス 統括本部長)が、現状と見通しを説明した。横井氏は、「日本でも1年が経とうとしていて、いよいよゲームラインアップがかなり充実してきました。Xbox史上最高のラインアップということで、E3で発表した『Halo 5: Guardians』、『Forza Motorsport 6』、『RISE OF TOMB RAIDER』などのさまざまなタイトル、さらに稲船敬二氏らが開発を進めている『ReCore』であるとか、さまざまな魅力的なタイトルをどんどんと投入していく。また、Xbox 360との後方互換機能を提供することにより、よりスムーズにXbox 360のユーザーさんがXbox Oneへ乗り換えられるようにし、ゲームという事業をコンソールだけのゲームビジネスから、Windows全体、マイクロソフト全体に広げていく戦略を取る」と説明した。

 マイクロソフトとしては、すでにXbox Oneだけでの展開にとどまらず、Windows 10にもさまざまなゲームの機能を盛り込んでいる。PCとXbox Oneという両方のプラットフォームでプレイできる『Fable Legends』のようなゲームも今後増えていくことだろう。横井氏が最後に語った「One Windows,One Microsoftでゲームを含めたエンターテインメントを盛り上げていきたい。それが戦略ということになります」という言葉の通り、Xbox OneやMicrosoft HoloLensなど、さまざまなデバイスを活用したエンターテインメントの広がりに期待したい。