露、中国の対日歴史戦に同調 合同上陸訓練も露骨な「北方四島想定」 軍事評論家・小泉悠氏

 ロシアのメドベージェフ首相が北方領土の択捉島に入った前日の21日、極東ウラジオストク近郊の海域で中国海軍が加わり、合同軍事演習が始まった。9月3日にはプーチン大統領が北京で行われる抗日戦争勝利記念行事に参加する。この3つは連動しており、歴史問題や領土問題をカードにして、戦後70年の今年にプーチン政権が企てた日本への揺さぶりだとみている。

 さらにロシアはウクライナ情勢で苦境を迎える中、中国側の思惑に引きずられるように対日牽制を強めていることが懸念される。今年5月のモスクワでの対独戦勝記念式典でも、プーチン大統領は「日本軍国主義」をナチズムと同列に表現して、歴史問題で中国に同調するかのような姿勢を示した。

 今回の軍事演習でも、中国から新型揚陸艦が参加し、期間中、初めての上陸作戦演習が組まれている。これは北方四島を想定したものである可能性がある。これまで中国との合同演習でもロシア側は、日本に配慮して場所やメニューを組んできたが、ここまであからさまな動きは過去に類を見ない。

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