「ドコモを”使い倒す”スタートアップの登場を期待している」--ドコモ・イノベーションビレッジ(後編)

CNET Japan Ad Special2014年03月25日 11時00分
現在、第2期のプログラムが行われているドコモ・イノベーションビレッジ。選考を通過した6チームが2014年3月26日に行われる「第2期Demo Day」に向けてサービス開発やプレゼンの準備に取り組んでいる。

NTTドコモ・ベンチャーズ取締役副社長の秋元信行氏とジャーナリストの池田将氏による、起業家に対するプログラムへの参加やこれからの日本のスタートアップエコシステムを盛り上げるために必要なものについて、対談が行われた。

働きたいだけ働ける場所を作ること

池田:2013年2月にドコモ・ベンチャーズを立ち上げ、4月から起業プログラムの第1期、11月から第2期がスタートしていますが、日々朝から晩までこもってサービス開発をしているスタートアップが多いと伺っています。普段はどのような様子でしょうか?


株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ
取締役副社長
秋元信行氏

秋元:2期生の中には、我々のオフィスにほとんど常駐して作業をしているチームもいます。私も朝7時過ぎにオフィスに行くと徹夜で作業してたであろう様子を時折見かけます。夢中になって日々開発している様子は、スタートアップっぽくていいですね。

 私たちの使命は、そんなやる気のあるスタートアップに対して働きたいだけ働ける場を提供することです。それだけではなく、毎週1社60分強のメンタリングを行ない、最初に設定したKPIに対する進捗共有と様々なアドバイスを行なっています。始めはメンバー全員が集まって他の会社の話を聞くようにしていましたが、効率性を重視して、2期では2チーム同時にメンタリングができるようにしました。しかし、それではチーム間のインタラクションが少なくなるので、定期的に6チームのメンバー全員が集まって、他社の話を聞ける場を設けるなどの工夫もしました。


聞き手:池田将氏
関西大学工学部在籍時からプログラマ/テクニカルライターとしてIT業界に携わり、その後複数のベンチャー創設も。現在はジャーナリスト/ブロガーとして、シンガポール、韓国、香港、中国、シリコンバレーの大学や企業の取材も多く手がける。

池田:海外のインキュベーションを見ると、壁にホワイトボードがあったりToDoリストがあったりして、ドコモ・ベンチャーズもそうした場に少しずつなっていくといいかもしれませんね。海外では、外部からメンターとして先輩起業家からのアドバイスなどを行っていますが、ドコモ・イノベーションビレッジではメンター制度はどのようなものでしょうか。

秋元:現在、14名の社外のメンターの方々と連携を図りながら取り組んでいます。その中には、より中心となって、毎週のミーティングやディスカッションに必ず参加してもらう役割をお願いしている方もいます。これにより、ある程度の一貫性を担保しながら、スタートアップのための新たな開発手法や起業で陥りやすい罠、起業間もないタイミングで知っておいてもらった方が良いであろうファイナンス知識など、私たちドコモグループだけではカバーしきれない多角的なアドバイスを行うことができるようになっています。また、社外のメンターのメンバーも、偏らずに色んな人がいたほうがいいと考えており、次第に増やそうと考えています。

ドコモも含めた、大企業との協業や海外進出を促進していきたい

池田:第1期のDemo Dayでは、TIMERSの「Pairy」が優勝しました。ドコモというイメージを考えると、モバイルとの親和性にフォーカスしているのでしょうか?

秋元:モバイルに限っているわけではありません。というのも、最近のサービスでは何らかの形でモバイルに関わってくるケースが多いため、こちらから限定せずとも自然と関係してくるであろうという想定です。実際に、第2期では物作りに関連するスタートアップもいます。ドコモだけで囲い込むこともなく、他社さんとの協業も積極的に推奨しています。広い視点でみれば、社会全体のイノベーションが創発されることが大事だと考えています。

池田:プログラムに参加するスタートアップの視点からすると、ドコモというブランドにも大きく期待していると思われます。ドコモとの協業という意味では、グループ会社との連携などは期待していいのでしょうか。

秋元:そうですね。B to Cのサービスであれば、dメニュー内で彼らのサービスを紹介する機会も設けていますし、B to Bのサービスであれば、ドコモの法人部門やサービス部門が取引している企業を紹介し、協業のきっかけを演出するなどといった支援をこれまでもさせて頂いています。もちろんサービスの成長を保証するものではありませんが、応援はできるだけ行っていくつもりです。国内で6000万人を超えるドコモユーザに直接アピールできるという意味では、他のインキュベーションプログラムでは提供できないバリューなのではないでしょうか。また、ドコモに限らず、NTTの研究所、その他のNTTグループ会社との連携を支援することも我々の役割だと思っており、スタートアップから売り込みがあれば何らかのつてを探して、希望する相手につなぐこともあります。ドコモを含むNTTグループ全体を使い倒してくれ、と。

池田:少し投資に関して話を伺いたいのですが、ドコモ・ベンチャーズはテクノロジーにフォーカスしている印象がありますが、米国やアジアの市場についてどのようにお考えですか?

秋元:テクノロジーのみにフォーカスしているつもりはありませんが、最先端のテクノロジーをベースにした、ディスラプティブなサービス等に注目しているのは事実で、このような軸も頭に入れながらスタートアップを見させていただいています。特に米国のスタートアップを見る際にはその傾向が強いかもしれません。別の軸ではありますが、アジアも非常に魅力的なマーケットの一つだと思っております。

池田:欧州はどういった視点で見ていますか?

秋元:テクノロジーと新サービスという意味では、米国と同じ視点です。ロンドンでは、テクノロジー関連のスタートアップを呼び込もうということで国、市が一丸となって取り組みを進めてきており、そういった努力が実りつつあるという印象です。また、ベルリンも類似の取り組みをしており、欧州から色々なものが生まれてきていると。ドコモ・ベンチャーズとしても昨年春からCVCとしての活動を開始したばかりですが、欧州にも定期的に足を運び、人脈形成等を含めて様々な取組みを進めてきております。

池田:海外とスタートアップの協業については、どのようにお考えですか?

秋元:我々としては積極的に支援すべきと考えております。海外に対して強い目的意識を持っていた1期生チームがおり、実際に海外のVCに紹介したこともあります。重要なのは、各社の事業戦略上ベストと思われるタイミングをきちんと見極めて海外展開・進出することだと思いますので、相談を受けた際には「事業戦略上の優先順位をきちんと考えた上で、準備ができたら言ってほしい」と伝えています。自分たちでプライオリティをつけ、ここぞというタイミングで行動することで、私たちも効果的なサポートすることができます。ぜひ一緒に日本から世界に挑戦するスタートアップを作っていこうと、話をしています。

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