ホームズのオマージュで大胆にも舞台を京都に似た架空都市に持ち込む。寺町通、下鴨神社、大文字山などお馴染みの場所にホームズ、ワトソン等が自然体で組み込まれる。自身のストロングポイントを理解した上で捨てずに適用する選択。素晴らしい。本書にてホームズはスランプに陥っている。ワトソンもそれに引き摺られる。思い悩む様相は著者の姿と重なり面白い。ワトソンを時に厳しく時に優しく叱咤激励する妻・メアリも印象的でありこの物語で重きを成す。終盤の大展開と大立ち回り。雌伏の時間が多いが現状の著者の投影のようにも見え趣深い傑作。

ホームズのオマージュで大胆にも舞台を京都に似た架空都市に持ち込む。寺町通、下鴨神社、大文字山などお馴染みの場所にホームズ、ワトソン等が自然体で組み込まれる。自身のストロングポイントを理解した上で捨てずに適用する選択。素晴らしい。本書にてホームズはスランプに陥っている。ワトソンもそれに引き摺られる。思い悩む様相は著者の姿と重なり面白い。ワトソンを時に厳しく時に優しく叱咤激励する妻・メアリも印象的でありこの物語で重きを成す。終盤の大展開と大立ち回り。雌伏の時間が多いが現状の著者の投影のようにも見え趣深い傑作。

『チェインドッグ』改題の文庫化。 一審死刑判決を受けている未曾有のシリアルキラー・榛村からの一通の手紙。旧知の間柄である主人公の大学生・雅也はそれを受け、榛村との面会に赴く。 雅也の鬱屈とした心理、榛村の犯行内容とそこに至るまでの背景・半生など、非常に重苦しい描写が連続する。雅也が榛村の足跡を辿るにつれ様相が変貌していく様には、不気味さと共に何処か少しの期待も混じってしまう。そのような読み方、拾い方を一瞬でもされれば、狙い通りということなのだろう。 あと改題は大正解だと思う。