【12月11日 AFP】パキスタン中部パンジャブ(Punjab)州ジャン(Jhang)で9日、夫婦とその子ども4人が、妻が前夫との間にもうけた息子によって、おので殺害される事件が起きた。疎遠になっていた息子は、母親が再婚したことへの報復として「名誉殺人」に及んだとみられる。地元警察当局が10日、明らかにした。

 事件は、30年以上前に死去した前夫の息子が、自分のおじ(母親の元義理兄弟)と共に30年ぶりに母親の元を訪れた翌日に発生した。一家は8日に到着した2人を家に迎え入れ、共に一晩を過ごしていた。死亡した6人の他、母親と現在の夫の間に生まれた13歳の娘も重傷を負い、現在も病院で治療を受けている。また、その他の子どもたち4人は逃げて無事だった。

 警察関係者がAFPに明らかにしたところによると、60代の母親は前夫が死亡した後、自らの意思で現在の夫と再婚。だが前夫の親族から脅迫を受けたため、それまで住んでいたカイバル・パシュトゥンクワ(Khyber Pakhtunkhwa)州からパンジャブ州に転居した。

 カイバル・パシュトゥンクワ州はパキスタン北西部の保守的な地域で、女性が2度結婚すること、特に自らの意思での再婚は望ましくないこととされている。警察関係者によれば、母親の前夫の親族らは、転居以降も母親と現在の夫の行方を捜し続けていた。おじはすでに逮捕されたが、息子は現在も逃走中だ。

 パキスタンでは、一族の「名誉」を守るためとして、年間で数百人が親族によって殺害されている。(c)AFP