経済産業省が閣議決定された2015年度の「エネルギー白書」を発表した。長らく続く原油安の影響が将来の日本のエネルギー安全保障に与える影響を懸念。これに対応するための日本の取り組み方針を説明している。
経済産業省は2016年5月17日に2015年度の「エネルギー白書」を公開した。エネルギー白書では国内外のエネルギー需給などのデータを公表すると同時に、年度ごとにエネルギー情勢の中から主要トピックを抽出し、その展望と日本の政策対応についてまとめている。2015年度は今後の原油価格の変動が、将来の日本のエネルギー安全保障に与える影響への懸念を大きく強調している。
長らく原油価格の下落が続いている。米国のシェールオイル、サウジアラビア、イラクなどの産油国の増産などによる供給過剰が続いているためだ。エネルギー白書では足元も200万バレル/日の供給過剰状態が続いているとしている(図1)。
その一方で、中・長期的には中国や新興国の需要増加などによる供給不足が発生し、原油価格は上昇トレンドに入ると予測している。こうした需給の変化による価格変動に加え、金融・地政学的な要因により急激な価格上昇が起こる可能性も指摘している(図2)。
エネルギー資源を海外に依存する日本にとって、急激な原油の価格上昇は大きなリスクだ。エネルギー白書ではこうしたリスクへの対策として、取るべき3つの指針を掲げている。
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