【質問】完全右脚ブロックについて教えてください

心電図検査を受けたところ、所見に「完全右脚ブロック」とありました。左脚ブロックより悪くないそうですが、心配です。
●70歳代・女性


【答】

心臓は隅々にまで電気信号を行き渡らせることで収縮と拡張を繰り返し、全身に血液を送り出しています。 心臓の上部を「心房」、下部を「心室」と呼び、電気信号は心房の洞結節という部位から始まります。 心房と心室は見かけの上では繋がっていますが、電気信号が心房から心室に伝わるのには細い1本の経路しかありません。 心房内の伝導(電気信号の流れ)は、下の図の点線(・・・)で示すように、経路がはっきりしません。 一方、心室には右脚と左脚と呼ばれる2本の経路があります。この経路によって、電気信号を短い時間で心室全体に広げることができます。 それぞれの経路の伝導が損なわるときに、それぞれ「右脚ブロック」「左脚ブロック」と呼びます。 伝導する経路が途絶えるというと心配になるかもしれませんが、どちらか一方でも残っていれば、心臓の活動に問題は起こりません。 実は、右脚は細く、左脚は太いという差があります。右脚は健康な方でも電動が障害されることが稀ではなく、 子供でも健康な青年でも右脚ブロックは10人に1人は見られます。 一方、左脚の障害が起こる頻度は低く、左脚ブロックがみられる場合は、心臓に何らかの病気を持っている割合が高くなります。 左脚ブロックと診断された場合は、心臓超音波検査などを受けて、病気が隠れていないかを検討することが一般的です。 一方、完全右脚ブロックは、多くの場合、健康に不利な状態を意味するものではありません。 ご質問者が自覚症状もなく、健康に過ごしておられるのでしたら、さらなる検査をお勧めすることはありません。 なお、完全右脚ブロックのほかに、不完全右脚ブロックという用語もあります。 この2つは心電図の波形が少し異なるのですが、心臓の活動にはほとんど問題がない点は同じです。

(この答えは、2019年6月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)