押さえておくべきECマーケティング7つのトレンド(1)

清水 将平

楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazonなどと違い、集客に頼りにくい自社ECサイトにとって、様々なマーケティング施策は、非常に重要です。

ここでは、「押さえておくべきECマーケティング7つのトレンド」と題して、「The Customer Loyalty Ladder」をベースに、個人的な見解やアイデアも交えながら2回に分けて解説していきます。

The Customer Loyalty Ladder

The Customer Loyalty Ladder

まず、「The Customer Loyalty Ladder」では、「はしご」を例えに6つの顧客を定義していますが、ECサイトでは、

見込み客(Prospect)
一度購入実績のあるお客様(Customer)
リピーター(Clinet)
の3つが一般的に知られている顧客の定義ではないでしょうか。

前向きなレビューを投稿してくれる「Supporter」、TwitterやInstagramなどで商品を紹介してくれる「Advocate」、そして専属モデルやユーチューバーなど、常にその商品やブランドロゴを身に着け、宣伝してくれる「Partner」などの定義があります。ですが今回のコラムでは、まずシンプルに最初の3つの顧客をベースに、ECマーケティングのトレンドを解説していきますので、ぜひこの図を何度も見返しながら、読み進めてください。

①誰のためのSEO?

SEOとは、「Search Engine Optimization」の略であり「検索エンジン最適化」という意味をほとんどのECマーケティング担当者は、理解されていると思います。しかし「検索エンジンに最適化する」と考えてしまうと、Googleのアルゴリズムの変更ばかりに気を取られ、本当に大切なお客様の動向を見失う場合があります。

例えば、毎年定期的に訪れる母の日やお中元、クリスマスなどの催事の場合、見込み客(Prospect)は、その時期や今年のトレンドなど情報をインターネットで探す行動から始まり、一定の検討期間を経て、商品の購入に至ります。自社サイトのコンテンツとしては、年号や具体的な催事の日付と曜日などを織り込んで置く必要があります。

また、一度購入実績のあるお客様(Customer)に対しては、昨年と全く同じ商品では、リピートしない可能性も高まりますし、リピーター(Clinet)にとっては、一部商品のパッケージや内容のリニューアルに加えることも必要になります。

さらに、催事の時期が迫ると、検討期間が少なくなり、即決する必要性も高まりますので、店長のオススメや購入実績に基づくランキングなどのコンテンツも用意しておく必要もあります。

その結果、パーソナライズされたGoogleの検索結果に振り回されず、自社ECサイト内検索においても、それらのコンテンツの露出を図ることで、転換率の向上から売上アップが見込めるでしょう。

このようなGoogleだけではなく、サイト内検索の検索結果を見直すこともSEOだと言えるかと思います。どの顧客に対してのSEOであり、コンテンツなのかを意識することで、Googleの検索結果のように結果が出るまでに時間のかかるSEOだけではなく、すぐに売上につなげる対策もできるのではないでしょうか。

②スマートフォン対策は十分?

②スマートフォン対策は十分?

スマートフォンが当たり前の時代になった結果、パソコンでの注文が減り、7割以上をスマートフォンの注文が占めるECサイトも多くなりました。

しかし、パソコンを所有していない方もいれば、まだまだ商品の情報収集や検討は、パソコンを利用し、スマートフォンで注文される方もいれば、リビングではタブレットやスマートフォンで商品を探し、年齢が高くなれば、スマートフォンの利用に不安があり、最終的な注文はパソコンを利用するという方も多いようです。

パソコンやスマートフォンなどコンテンツがクロスデバイスに対応しているECサイトが当たり前になり、楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazonなど3大モールでは、ポイント獲得率が上がる条件として、スマートフォンアプリの利用が必須になりつつあります。では自社ECサイトにとって、このようなアプリに誘導していくことが本当のスマートフォン対策と言えるのでしょうか?

「オムニチャネル」という言葉が流行り、店頭とECサイトの在庫を共有する、ECサイトの注文を店頭で受け取る、店頭に在庫がない場合は自宅に配送する、などの取り組みも増えてきており、顧客にとって便利になりつつあります。一方でECサイトのお客様は、日本全国にいらっしゃり、近くに店頭がない場合もあれば、年齢層も幅広くなります。

例えば、アプリを利用した場合に、Netflixのように、ワンクリックで電話のお問い合わせを可能にし、IP電話にて通話料が無料になるなども顧客層によっては有効かもしれません。また、パソコンの商品ページからワンクリックすることにより、SMSで商品ページのURLを転送することができたり、決済画面で携帯電話番号を入力しSMSで届くメッセージから決済が行えます。このように、まだまだ既存の通信技術を駆使することで、ECサイトの利便性を高めることはできるのではないでしょうか。

乗り換え検索アプリの検索結果や宿泊予約や美容院予約サイトのように予約時間をGoogleカレンダーなどにワンクリックで登録できる機能が、当たり前に実装されています。同じように、ECサイトの商品を選定する際にも、注文したい日時や注文が完了した商品情報をカレンダーに登録できるなど、お客様が日々の行動を管理している1箇所の情報源に蓄積できると、買い物忘れや毎年の催事での商品選定が楽になると思います。そのようなサービスが生まれてくると嬉しいですね。

③誰も読んでない?メールマガジン

③誰も読んでない?メールマガジン

ECサイトがリピートを促進する手段として、購読者へ定期的に配信されているメールマガジン。略してメルマガと言われる販促手段は、海外ではニュースレターやセールスレターと呼ばれるのが一般的ではあります。

しかしスマートフォンが当たり前の時代になり、FacebookやInstagram、LINEでのコミュニケーションに忙しいお客様が、メルマガをすぐに開封することも少なくなりつつあるのではないでしょうか。

ところが、未だECサイトでの会員登録には、メールアドレスが必須であり、メールアドレスに注文完了メールなども届きますので、メルマガのようなメールアドレス宛の通知手段は、まだまだ有効であることは間違いありません。

定期的に配信されるメールマガジンもあれば、購入頻度に応じてセグメントしたり、誕生日など記念日に配信されるなど、工夫されているECサイトも多いとは思いますが、ほとんどのECサイトの配信されているメールマガジンは、商品やセールの紹介など、いわゆるセールスレターが多いのではないでしょうか。

新商品の紹介は、ニュースレターと言えるかもしれませんが、購読者が意図的に購読したいという気持ちで配信されるのを待ち遠しいと思われるようなメルマガを配信されているECサイトは、数少ないと思われます。

そもそも「レター」とは、日本語で「手紙」を意味する言葉ですから、誰に送られるかより、誰からの手紙であるかが重要です。それが単なるECサイトの名前なのか、ECサイトの店長なのか、それともバイヤーや商品開発者であるのか。

有名なブランドであれば、そのブランドにファンが集まり、最新情報を得たいと思い、メールマガジンを購読するかもしれません。しかし、まだ誰も知らないオリジナルブランドや小規模のECサイトであれば、ぜひ「メルマガ」ではない、「レター」、すなわち「手紙」だと考え、誰からの情報であれば、お客様が大量にあふれるメールボックス、すなわち受信箱から、そのメールを探して、クリックして開封してくれるかを考えて、メールの内容だけではなく、送信元、タイトルを工夫されることをオススメします。

そして、ECサイトだけではなく、ほとんどのメールマガジン配信者が気づいていない重要な事は、スマートフォンが当たり前の時代になり、PC時代の常識が通用しないということ。例えば、メールアプリの受信トレイなどメールの一覧では、タイトルより目立つのが送信元の表記となりますので、メールを送信する度に、タイトルだけではなく、送信元に表示される文字列を工夫することで、開封率を上げることも可能となります。ご利用されているメール配信の仕組みで、送信元の名称を変更できない場合は、難しいと思いますが、可能な場合は、ぜひお試しください。


著者

清水 将平

JECCICA 一般社団法人ジャパンEコマースコンサルタント協会 特別講師
楽天株式会社でのECコンサルタントの経験を経て、上場企業からショップ・オブ・ザ・イヤー受賞店舗も含む楽天ショップ1,000社以上が所属する日本最大級の会員サポートサービス「ECマスターズクラブ」を運営。47都道府県すべての会員に対して、24時間以内に回答するフォーラム、毎日のサポートレターでは、最新情報からノウハウ、そして、業務効率化や集客対策ツール、ライブ形式でのセミナーなどを様々なサービスを提供中。

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