そんなまさかという世界を体験できるのがVR。
壁に突きあたったり、物理的には存在しない重いモノを動かしたり…というインタラクティブな仮想空間が登場しました。一体どんな仕組みなのでしょうか?
ドイツのハッソ・プラットナー研究所 Human-Computer Interaction Lab(HCI)のVR研究者たちが目をつけたのは、皮膚に装着したデバイスから電流を流して筋肉を刺激する、通称TENSとよばれる電気刺激療法。これを別のアプローチで、VRに使用することを思いつきました。
もともとヒトの体は電気信号によって筋肉を動かしていますが、この特長を用いて、仮想空間のなかで現実にあるはずのない壁を感じたり、重いモノを動かしたりする作業を実現したのです。
こちらはMotherboardがとりあげた、HassoPlattnerInstitute HCIによるデモ動画。
仮想空間内の正確な位置を追跡できるヘッドセットとグローブを装着して、背中にはPCが入ったバックパックを装備。腕には電気刺激によって筋肉を収縮させるEMS(Electrical Muscle Stimulation)をつけることで、仮想空間内の何かに触れたり壁に突き当たったりしたとき、グイと手足が引かれるように動く仕組みになっています。
また動画の後半で登場した、扉をスライドしたり、ものを持ち上げたりする感覚は、ハプティクスや力フィードバックの技術を活用した、新たなアプローチによって実現しています。仮想空間で何かを掴んだり動かしたりするのに対して、この技術が対立筋群を活性化させることで力の抵抗を感じることができます。電気刺激が強いほど、重く感じるようになっています。
これまでの仮想空間が、見ているだけで圧倒されるような一方通行の世界だとしたら、今回の仮想空間は手足を動かす作業が加わり、ますますインタラクティブなVRの世界が楽しめるようになりそうですね。
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image: HassoPlattnerInstitute HCI - YouTube
source: Pedro Lopes Research via Motherboard
Andrew Liszewski - Gizmodo US [原文]
(Rina Fukazu)