直枝政広

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直枝 政広(なおえ まさひろ、1959年8月26日 - )は、日本の音楽プロデューサー。ロックバンドカーネーションのリーダー、ボーカルギター

東京都品川区中延生まれ。18歳まで千葉県松戸市で育ち、大学時代は東大井に住む。東京都立秋川高等学校卒業後、東京造形大学造形学部美術学科(絵画科油絵専攻)卒業。血液型B型。

略歴[編集]

1966年頃からレコード(グループ・サウンズ、歌謡曲にはじまり、ザ・ベンチャーズ、ロック)を聴くようになり、中学時代に2人組のバンド「APPLE」を結成、APPLEは英語詞のオリジナル曲を多数残した。ビートルズの『レット・イット・ビー』に影響を受け、銀座のビルの屋上で映画(自主)も撮影。高校時代は四人囃子はっぴいえんどを演奏する「トド」という4人組のエレクトリック・バンドと、フォーク・デュオ「麻呂」を結成し活動。二浪後の末に東京造形大学に入学。音楽サークル「重音」に所属し、1980年にバンド「ほのぼのレイプス」、1981年に「耳鼻咽喉科」(メンバーには画家の徳永雅之、木工家の丹羽望らがいた)を結成、名前のせいでチケットが売れないというメンバーの意見や、音楽性がポップになったという理由から「カーネーション」と改める。

高校の同級生に映画監督の天願大介、一年先輩にギタリストの浅野祥之、従弟に映画監督の山本淳一がいる。大学時のサークルには、FLYING KIDSの丸山史朗、TOM★CATBARBEE BOYS杏子がおり、同期には『新世紀エヴァンゲリオン』のキャラクターデザインを手がけた貞本義行(カーネーションのファンとしても知られる)、後の後輩には草野マサムネらがいる。

尊敬していたムーンライダーズ鈴木慶一・博文兄弟の自宅にデモテープを送付したところ、鈴木博文から「君の音楽は面白いからうちに来るといい。遊びにおいでよ」と電話があり、メンバー全員で自宅を訪ねる。このことがきっかけとなり、博文と「政風会」を結成。1984年『陽気な若き博物館員たち』(徳間ジャパン)に直枝政太郎名義で「運河の兵隊」「トロッコ」を発表。1986年に政風会とカーネーション各4曲ずつを収録したアルバム『DUCK BOAT』(Switch)が発売される。

1988年カーネーションメジャー・デビュー。メトロトロンから初フルアルバム「Young Wise Men」リリース。

1989年、モーリス名義で「BAD LOOKS」(メンバーはKAN風祭東、清水淳)にも参加。

1999年、それまで名乗っていた「直枝政太郎」から本名である「直枝政広」に戻す。

上田ケンジ豊田道倫らとレーベルBumblebee Recordsを主宰し、V.A.『墨堤夜景』(1999)、直枝政広『HOPKINS CREEK』(2000)などをリリース。

2007年に初の自伝的な音楽書『宇宙の柳、たましいの下着』(boid)を出版。

2013年、同い年(1959年生まれ)である鈴木惣一朗と「Soggy Cheerios」を結成。

人物[編集]

日本の音楽界きってのレコードジャンキーであり、専門誌への執筆活動も多い。

20代前半までに、ビートルズニール・ヤングボブ・ディランザ・バンドトッド・ラングレンエルヴィス・プレスリーXTCフランク・ザッパはっぴいえんどムーンライダーズ、すきすきスウィッチなどから多大な影響を受けるが、英米のルーツ・ミュージック、フォーク、R&B、ポップス、ニュー・ウェイヴ、ソウル・ミュージック、ブルースといった様々なジャンルを自陣の音楽性にも反映させたり、デビュー以降もこだわりなく様々な後輩を高く評価したり、アイドルポップスまで好んだりと、その関心は非常に幅広い。

岡村靖幸の熱狂的なファンであり、トリビュート・アルバム『どんなものでも君にかないやしない』の実現に尽力、自身もそこからのシングルCD/10インチEPとして「だいすき/あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」を朝日美穂との共作でリリースした。最も好きな作品は『家庭教師ライヴ'91』(映像作品)。岡村のDVDボックス・セット『20世紀と伝説と青春[1]』同梱のブックレットの監修も務めた。

文学的な原点は深沢七郎『みちのくの人形たち』の文体やリチャード・ブローティガンの詩。十代の時、教科書で知った上林暁「花の精」抜粋の鮮烈な記憶を今も追い続けている。

苦手な音楽にキング・クリムゾンロキシー・ミュージックを挙げている。キング・クリムゾンが苦手な理由は本人もわからないらしく、メンバーのソロ活動や近年『アイランズ』は聴いていると発言している。ロキシーは声が生理的に苦手だという。

作品[編集]

ソロアルバム[編集]

  • 東京ゴジラ(カセット、1982年/新生ナゴムレコード、2013年。耳鼻咽喉科「偉大なる2年 Anthology 1981-1983」の特典ディスクに一曲収録)
  • ポラーノ(カセット、1983年/ナゴムレコード版『東京ゴジラ』ボーナストラック、2013年。「ロック画報 第24号」に一曲収録)
  • 月にかかる息
  • HOPKINS CREEK(2000年)
    • 親交のあった福島県在住の兄弟ユニット、ブラウンノーズらとの共同制作。
  • HOPKINS CREEK 店頭特典カセット(「月にかかる息」などを収録、2005年)
  • man-hole オリジナル・サウンドトラック(2001年4月9日
    • 映画「man-hole」サウンドトラック

政風会[編集]

  • DUCK BOAT(1986年)
  • 政風会(2007年)

Soggy Cheerios[編集]

  • 1959(2013年)
  • EELS AND PEANUTS(2015年)
  • Ⅲ(2019年)

プロデュース[編集]

楽曲提供[編集]

楽詩提供[編集]

参加[編集]

  • drive music(メトロトロンレコード、オムニバス「musicInternational Avant-garde Conference vol.1」収録、1992年)
  • ちやとり図鑑(稚野鳥子漫画作品イメージアルバム、1993年)
  • 墨堤夜景(バンブルビーレコード、コンピレーション、1999年)
  • ボクハナク (ムーンライダーズ、ヴォーカル・アルバム「DON'T TRUST OVER THIRTY」収録)
  • 僕は負けそうだ(ムーンライダーズ、ヴォーカル・アルバム「Bizarre Music For You」収録、1996年)
  • あの日のPhotograph、WAKE UP!、宝船船上大宴会(イメージアルバム「わかつきめぐみの宝船ワールド」収録、「宝船船上大宴会」は馨役として)
  • トロッコ、運河の兵隊(水族館レーベル、オムニバス「陽気な若き博物館員たち」収録)
  • あめまち feat.直枝政広(カーネーション)&のらん(宮川弾アンサンブル)

著書[編集]

  • 宇宙の柳、たましいの下着(未収録音源CD付録)

その他[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ 20世紀と伝説と青春”. 岡村靖幸 | ソニーミュージックオフィシャルサイト. 2023年11月13日閲覧。

外部リンク[編集]