メモ

政府職員がプルトニウムを車内に一晩放置して盗難にあっていたことが判明

by Mooshuu

アメリカ政府の「セキュリティ専門家」にあたる人物が、研究所から回収したプルトニウムとセシウムを車に放置したままホテルに宿泊。その後、車が壊され窃盗にあい、2つの放射性物質が奪われ、いまだ見つかっていないことが判明しました。

Plutonium is missing, but the government says nothing | Center for Public Integrity
https://www.publicintegrity.org/2018/07/16/21834/plutonium-missing-government-says-nothing


Plutonium went missing in San Antonio, but the government says nothing - San Antonio Express-News
https://www.mysanantonio.com/news/local/article/Plutonium-went-missing-in-San-Antonio-but-the-13071072.php

Crooks swipe plutonium, cesium from US govt nuke wranglers' car. And yes, it's still missing • The Register
https://www.theregister.co.uk/2018/07/16/us_govt_stolen_plutonium/

窃盗事件が発生したのは2017年3月。アメリカ政府職員がテキサスのサンアントニオに宿泊した際、レンタルしたSUVの中に非営利の研究所から回収したプルトニウムセシウムを放置したままで一晩を過ごしました。アメリカ合衆国エネルギー省のアイダホ国立研究所に所属する「セキュリティ専門家」たちが翌日車のもとに戻ったとき、車の窓が壊され、2つの放射性物質が盗まれたことが発覚。その後、2018年7月現在でも、失われた放射性物質は見つかっていないとのこと。

アメリカの非営利調査団体センター・フォー・パブリック・インテグリティ(CPI)によると、このようなMUF(Material Unaccounted For/核物質不明量)は2012年時点で6トンに上ると報告されていました。その多くが不正確な記録や、核処理機器の中に残されたものだと考えられていますが、中には2017年の一件のようなケースも含まれます。

盗難にあった放射性物質について国家核安全保障局はコメントを拒否していますが、アイダホ国立研究所の広報はCPIに対し「失われたプルトニウムは核爆弾を作るのに十分な量ではない」と語っています。


また、サンアントニオ警察は盗難証明書のコピーをニュースメディアのThe Registerに渡しており、2つの無地のペリカンケースのうち1つにModel 3030 Alpha-Beta Sample Counterとともにプルトニウム239セシウム137の試験用線源が入れられていたという詳細が明らかになっています。

テキサス大学オースティン校のLBJ School of Public Affairsで准教授を務めるAlan J. Kuperman氏は、失われた放射性物質が「テロリストが適切に核爆弾を作れる量」ではないことを述べています。長崎に落とされたような爆弾を作るためには6kgのプルトニウムが必要となりますが、ペリカンケースに入ってたプルトニウムの量は公表されていないものの数グラムだとみられており、核爆弾を製造できる量ではないとのこと。また、セシウムは核爆弾の製造には使用されません。ただし、両者ともに分散させることで大規模な汚染を引き起こすことが可能です。


1987年、ブラジルの廃病院跡に放置されていた放射線療法用の医療機器から放射線物質が持ち出され、数百人が被爆しました。今回の盗難は盗んだ人が放射性物質だと知っていた可能性も知らなかった可能性もありますが、「いずれにせよ、政府職員はホテルの駐車場に放射性物質を放置すべきではありません」とKuperman氏は述べています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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