秋元議員逮捕 国会閉会中、捜査急進 検察、昨秋から疑惑に関心
2019年12月26日 02時00分
関係者によると、東京地検特捜部が秋元司容疑者に関心を寄せるようになったのは、昨年秋ごろ。不正献金疑惑など、秋元容疑者に関する疑惑が週刊誌などでたびたび報じられていたのがきっかけとされる。
そんな中、特捜部は今年七月、内閣府の「企業主導型保育事業」の助成金詐欺事件で、コンサルタント会社社長の川崎大資被告(51)を逮捕。保育事業を所管する内閣府の副大臣だった秋元容疑者との親密な関係が、ニュースサイトなどで取り沙汰されていた。
秋元容疑者は、自民のベテラン衆院議員の秘書だった十年以上前、川崎被告と知り合ったとされる。保育事業のコンサルを受けていた複数の業者は本紙に、川崎被告が秋元容疑者の名前を挙げ、「昔からの知り合い。だから認可を取りやすい」「あいつを押さえているから大丈夫」と吹聴していたと証言。川崎被告の仲介で秋元容疑者のパーティー券を買ったことがあると明かす業者も複数いた。
「彼の存在がようやく捜査線上に乗ってきた」。検察幹部の一人は、秋元容疑者を意識してそう漏らしていた。
特捜部は助成金詐欺事件の捜査を終えた後も、秋元容疑者の内偵を進めた。秋元容疑者から便宜を受けたことがないか川崎被告に確認、秋元容疑者のパーティー出席者たちには「ほかにどんな人物が来ていたか」と聞き回った。そして今月九日、不逮捕特権が及ばなくなる臨時国会の閉会を待って捜査を本格化。応援検事を招集し捜査態勢を拡充し、家宅捜索や事情聴取を重ねた末、逮捕に踏み切った。 (山田雄之、山下葉月)
◆ネットくじ先駆け 中国企業「事件知らぬ」
【深セン=共同】秋元司容疑者への贈賄容疑で元日本法人役員らが逮捕された中国企業「500ドットコム」(本社・広東省深セン(しんせん)市)の関係者は二十五日、「(事件については)知らない」と語った。
深センの本社事務所は人の出入りも少なく、事務所内は閑散としていた。警備担当者は「今日はいくつか電話の問い合わせもあったが、会社側は取材を受け付けていない」と説明。日本での贈収賄事件について聞くと、驚いた様子だった。
二〇〇一年創業の同社は中国のインターネットくじ販売の先駆けで、一三年に米ニューヨーク証券取引所に上場。一五年には業界団体が選ぶ「中国ネット企業百強」に入った。
だが一五年から当局がネットくじへの規制を強めたため収益が悪化し、赤字が続いている。中国メディアによると、一七年に経営改善のためオンラインカジノ事業を展開する欧州の会社を買収。今年七~九月期の売上高のうち約95%は欧州でのオンラインカジノなどだった。日本へのIR投資も同様に経営改善のために計画していたとみられる。
今年四月に米証券取引委員会(SEC)に提出した年次報告書によると、一八年末の従業員は二百八十二人。清華大傘下の中国国有半導体大手、紫光集団の関係会社が31・89%の株を保有する大株主となっている。
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