ボスニア対ポルトガル戦のポスター<br>(Photos by Shigeki SUGIYAMA)

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前回の記事で紹介した「3チャンネル」は、ドバイで行われているビーチサッカーW杯の模様も伝えていた。ポートエリザベス空港の出発ゲートの前に、腰を据えれば、目の前に置かれたモニターテレビからは、日本対スペインの模様が映し出されていた。日本ではあり得そうもないシチュエーションである。

結果は「ラモス・ジャパン」のPK勝ち。まさに熱戦を満喫した後、僕は飛行機に乗り込んだ。

航路でポートエリザベス〜ヨハネスブルグは2時間弱。ヨハネスブルグ〜パリは9時間強。パリ〜ザグレブは約2時間。ザグレブ〜サラエボは1時間弱。ポートエリザベスを現地時間の18時(欧州時間17時)に発って、サラエボに到着したのは15時半。ドア・トゥ・ドアでは、丸一日以上の道のりだった。

ザグレブのホテルにチェックインし、インターネットを繋げれば、ラモス・ジャパンがコートジボワールを下し、ベスト8進出したというニュースがアップされていた。

ビーチサッカーは忙しい。僕が飛行機に乗っている間に、もう1試合やってしまったのだから。

それはともかく、僕の当初の予定は「パリ止まり」だった。「水曜日」に行われるプレイオフの第2戦は、スタッド・ドゥ・フランスで、フランス対アイルランドを観戦するつもりだった。

だが、「土曜日」に行われた第1戦の結果、最もそれは最も魅力的ではないカードになった。フランスは、アウェー戦にもかかわらず、1−0の勝利を収めたからだ。

好奇心は、他の3試合(ウクライナ対ギリシャ、スロベニア対ロシア、ボスニア対ポルトガル)に疼くことになった。

しかし、スロベニア対ロシアは、取材申請を送ったところ、記者席が手狭につきお断りの連絡が来てしまった。「3チャンネル」で放送されていた第1戦を見る限り、この試合が最もハイレベルだったが、来るなと言われては諦めるしかない。

「日曜日」、僕は、第1戦がその次に面白かったボスニア・ヘルツェゴビナ対ポルトガル戦を観戦する方向で、ノートパソコンの画面とにらめっこした。飛行機、ホテルがオンラインで予約できるのか。

その結果、無事にサラエボ入りすることに成功。格好良く言えば、旅人しているのである。出たとこ勝負の旅を満喫しているわけだ。

とはいえ、南アという最果ての地から、わりと最近独立したばかりのボスニアへ1人で向かう旅は、少しばかり心細いものだ。何者かに襲われたり、道に迷ったりしないかと心配になる。だが、飛行機という乗り物は、乗ってしまえば、現地まで迷うことなく一直線で向かう特性がある。ぐっすり眠っても間違いが起きそうもない安心感がある。

というわけで僕は、今回も、機内にいるほとんどの時間を寝て過ごすことができた。

「火曜日」。気がつけば僕は、サラエボに舞い降りていた。飛行機で寝られない人でなくて、本当に良かった。

しかし、旅はまだ終わらない。ボスニア・ヘルツェゴビナ対ポルトガルの一戦は、首都サラエボで行われるわけではない。サラエボから72キロ離れたゼニツァという町になる。

ポルトガルという強者を、山の奥地に誘い込み、そこでいたぶろうとしているのか。なにかこの勝負、僕には小国ボスニアが有利なように見える。

そして「水曜日」。僕の読みはいろいろな意味で見事に外れた。「小国ボスニア」はポルトガルに完敗。ボスニアは、超守備的なサッカーで、ポルトガルを楽にさせてしまった。

4−3−3風の布陣で、立ち上がりからアウェーゴールを積極的に狙いにきたポルトガルに対し、ボスニアは3−4−1−2の守備的サッカーで受けて立ってしまったのだ。僕は、その志の低い布陣を一目見た瞬間、ポルトガルの勝利を確信した。そうした意味で、面白くない試合だった。

片や、最も魅力的ではないカードに見えた「フランスvs.アイルランド」は、予想に反して大接戦。たぶん、こちらの試合より面白かったはず。

で、ロシアがスロベニアに敗れた。やっぱり見るべきはこの試合だったのだ。

もし、僕が犬飼会長なら早速、ヒディンクにコンタクトをとるだろう。日本代表の監督、いまから引き受けてくれませんかと。また、僕が、韓国サッカー協会の会長でも、同じ行動に出るだろう。

ロシアが敗れたいま、ヒディンクはとても眩しい存在に見える。果たして飛びつくチームはあるのか。注目である。

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