ワールドカップ歴代得点王:男子大会の歴史に名を残すゴールハンターたち
FIFAワールドカップ得点王の称号を巡る戦いは、この大会のもうひとつの大きな魅力と言える。2022年大会が最後の主要国際大会になる可能性が高いリオネル・メッシ(アルゼンチン)とクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)にも要注目だ。
メッシが35歳、ロナウドが37歳とどちらもキャリアの終盤に差し掛かっているが、カタール大会で悲願の初優勝を目指す両選手は得点王の有力候補に挙げられている。
現世代最高のアタッカーとして10年以上も前からサッカー界をけん引し、あらゆる個人タイトルを分け合ってきたと言っても過言ではないメッシとロナウド。2人のスーパースターは祖国に栄冠をもたらすべく、中東の地で再び脚光を浴びようと意気込んでいる。
しかし、ゴールデンブーツを狙っているのは2人だけではない。ネイマール(ブラジル)やキリアン・エムバペ(フランス)、そしてロシア2018得点王に輝いたハリー・ケイン(イングランド)も強力なライバルになるはずだ。
ゴールデンブーツを手にするのは誰なのか。それは誰にもわからないが、どの選手が栄誉に授かるとしても、ワールドカップの輝かしい歴史にその名を刻むことだけは間違いない。
ワールドカップ歴代得点王
ワールドカップのゴールデンブーツを巡る争いは、過去の大会でも常に大きな注目を集めてきた。興味深いことに、これまでの男子大会で2回以上得点王に輝いた選手は1人もいない。
カタール大会でその前例を覆そうと意気込んでいるのは、ドイツのトーマス・ミュラーとイングランドの主将ハリー・ケインだ。
大会 | 得点王 | 国籍 | 得点数 |
ウルグアイ1930 | ギジェルモ・スタービレ | アルゼンチン | 8 |
イタリア1934 | オルドリッヒ・ネイエドリー | チェコスロバキア | 5 |
フランス1938 | レオニダス | ブラジル | 7 |
ブラジル1950 | アデミール | ブラジル | 8 |
スイス1954 | シャーンドル・コチシュ | ハンガリー | 11 |
スウェーデン1958 | ジュスト・フォンテーヌ | フランス | 13 |
チリ1962 | ガリンシャ、ババ、レオネル・サンチェス、フロリアン・アルベルト、ドラジャン・イェルコビッチ、ワレンチン・イワノフ | ブラジル、ブラジル、チリ、ハンガリー、ユーゴスラビア、ソ連 | 4 |
イングランド1966 | エウゼビオ | ポルトガル | 9 |
メキシコ1970 | ゲルト・ミュラー | 西ドイツ | 10 |
西ドイツ1974 | グジェゴシ・ラトー | ポーランド | 7 |
アルゼンチン1978 | マリオ・ケンペス | アルゼンチン | 6 |
スペイン1982 | パオロ・ロッシ | イタリア | 6 |
メキシコ1986 | ガリー・リネカー | イングランド | 6 |
イタリア1990 | サルバトーレ・スキラッチ | イタリア | 6 |
アメリカ1994 | オレグ・サレンコ、フリスト・ストイチコフ | ロシア、ブルガリア | 6 |
フランス1998 | ダボル・シュケル | クロアチア | 6 |
日本/韓国2002 | ロナウド | ブラジル | 8 |
ドイツ2006 | ミロスラフ・クローゼ | ドイツ | 5 |
南アフリカ2010 | トーマス・ミュラー | ドイツ | 5 |
ブラジル2014 | ハメス・ロドリゲス | コロンビア | 6 |
ロシア2018 | ハリー・ケイン | イングランド | 6 |
1大会での最多得点記録
1970年以降、1選手がワールドカップ1大会で10ゴールを挙げることは至難の業となっており、20世紀終盤からは平均6ゴールで得点王が生まれている。
順位 | 選手名 | 国籍 | 大会 | 1大会での得点数 | ワールドカップ通算得点数 |
1 | ジュスト・フォンテーヌ | フランス | スウェーデン1958 | 13 | 13 |
2 | シャーンドル・コチシュ | ハンガリー | スイス1954 | 11 | 11 |
3 | ゲルト・ミュラー | 西ドイツ | メキシコ1970 | 10 | 14 |
4 | エウゼビオ | ポルトガル | イングランド1966 | 9 | 9 |
5 | ギジェルモ・スタービレ | アルゼンチン | ウルグアイ1930 | 8 | 8 |
5 | アデミール | ブラジル | ブラジル1950 | 8 | 8 |
5 | ロナウド | ブラジル | 日本/韓国2002 | 8 | 15 |
8 | レオニダス | ブラジル | フランス1938 | 7 | 8 |
8 | グジェゴシ・ラトー | ポーランド | 西ドイツ1974 | 7 | 10 |
ワールドカップ通算最多得点記録
通算得点記録で上位に名を連ねているのは、ヨーロッパか南アメリカの選手のみ。その他の大陸の選手はトップ10に入っていない。
順位 | 選手名 | 国籍 | 通算得点 | 出場試合数 | 出場大会 | 1試合平均得点 |
1 | ミロスラフ・クローゼ | ドイツ | 16 | 24 | 2002、2006、2010、2014 | 0.67 |
2 | ロナウド | ブラジル | 15 | 19 | 1994*、1998、2002、2006 | 0.79 |
3 | ゲルト・ミュラー | 西ドイツ | 14 | 13 | 1970、1974 | 1.08 |
4 | ジュスト・フォンテーヌ | フランス | 13 | 6 | 1958 | 2.17 |
5 | ペレ | ブラジル | 12 | 14 | 1958、1962、1966、1970 | 0.86 |
6 | シャーンドル・コチシュ | ハンガリー | 11 | 5 | 1954 | 2.20 |
6 | ユルゲン・クリンスマン | 西ドイツ/ドイツ | 11 | 17 | 1990、1994、1998 | 0.65 |
8 | ヘルムート・ラーン | 西ドイツ | 10 | 10 | 1954、1958 | 1.00 |
8 | ガリー・リネカー | イングランド | 10 | 12 | 1986、1990 | 0.83 |
8 | ガブリエル・バティストゥータ | アルゼンチン | 10 | 12 | 1994、1998、2002 | 0.83 |
8 | テオフィロ・クビジャス | ペルー | 10 | 13 | 1970、1978、1982** | 0.77 |
8 | トーマス・ミュラー | ドイツ | 10 | 16 | 2010、2014、2018** | 0.63 |
8 | グジェゴシ・ラトー | ポーランド | 10 | 20 | 1974、1978、1982 | 0.50 |
* メンバー登録のみで出場なし
** 出場するも得点なし
ワールドカップの1試合最多得点記録
アメリカ1994でも通算6ゴールで得点王が生まれ、オレグ・サレンコ(ロシア)とフリスト・ストイチコフ(ブルガリア)がタイトルを分け合った。
しかし、この大会ではワールドカップの1試合最多得点記録が生まれている。
その記録を打ち立てたのがロシアのサレンコで、カメルーンに6-1と圧勝したグループB最終戦で5ゴールを奪った。だがその活躍も報われず、この大会のロシアは決勝トーナメント進出を逃している。