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成功するコミュニティバス 単行本 – 2009/11/25

4.3 5つ星のうち4.3 3個の評価

公共交通空白地域への、安易なコミュニティバス導入は危険だ。地域の求める公共交通をいかに実現し、守り育てていくのか。改正道路運送法や地域公共交通活性化・再生法を踏まえ、デマンド運行などの新たな技術を織り交ぜつつ、データ収集、サービス水準と費用・需要との関係、地域の参画方法など現場で生かせる知識を網羅。
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商品の説明

著者からのコメント

地域から、それまであった鉄道や民営路線バスがなくなってしまったところは、日本中の各地に存在する。これは、モータリゼーションの進展などによって利用者が減少し、採算性の低下した路線の廃止・撤退が進んだ結果である。今後もこの傾向が大きく変わることはなく、放っておけば、公共交通がない地域がさらに増えていくことになろう。まさに今、その対応が求められている。

 地域を走る公共交通のことを、本書では『地域公共交通』と呼ぶ。もう少し正確には、「地域内を移動するための、誰もが利用できる乗合交通」と表せる。したがって、新幹線や長距離高速バス路線などは含まれないことになる。

 地域公共交通と呼べる具体的な交通手段としては、鉄道のローカル線やバス、そしてタクシーなどが挙げられる。鉄道の場合、路線の新設・変更は、軌道の敷設、用地確保そして運用資金などの面から、市町村や住民のみで考えるのは現実的ではない。したがって、本書では、地域で『創り、守り、育てる』ことが可能なコミュニティバス*1(タクシー車両で運行されるものを含む)を対象とし、地域公共交通について考えていく。ただし、本書に示す方法論や考え方は、コミュニティバスに限定されるものではなく、地域公共交通全般に応用可能である。また、2007年に施行された「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」に基づいて地域公共交通を検討する際にも役立つよう、配慮している。

 公共交通の問題を考える場合、クルマの影響を無視することはできない。クルマ利用からの手段転換を図るような対策も同時に考えていく方が、公共交通利用者数の増加に効果的であることはいうまでもないが、このクルマ利用を抑制するための手法には、地域や現行法制度の枠組みを超える対策が含まれる。このため、一地域だけで解決する問題というよりは、むしろ行政主導の政策として推し進められるべきことが多いので、本書では取り扱わない。地域交通を公共交通の面からのみ見るという一面的な見方であることを承知の上で、本書ではコミュニティバスに的を絞って話を進めていく。

 つい最近まで、市町村や住民が、自分たちの地域の公共交通を自分たちの手でつくっていくことは難しかった。しかし今や、コミュニティバスによって、自分たちの手で地域公共交通の企画と運行を実現することができる時代である。もう、地域に公共交通がないからと落胆する必要はない。さらに、2006年10月に施行された改正道路運送法により、新たに地域公共交通会議が市町村単位で設置できるようになった。この制度をうまく活用すれば、住民の参画に基づく地域公共交通を走らせることが容易になる。もちろん、実際には、すべてを住民のみで行うことは困難であり、行政と手を携え、あるいは交通事業者と協力し、文字通り地域が一体となってコミュニティバスを走らせることになろう。

 本書は、次のような方々に読んでいただきたい。これから自分たちの地域にコミュニティバスを走らせたいと考えている地域住民、公共交通空白地域の解消や公共施設への交通手段の確保などの目的からコミュニティバスを行政サービスとして運行しようと考えている市町村の担当者、あるいは、コミュニティバス計画の業務を受託したコンサルタント会社の技術者、コミュニティバス事業に参画する運行事業者の方々である。本書の中には、現行法制度(2009年現在)に対応したコミュニティバスの運行方法、維持管理方法、運営改善方法のアイディアを、理解しやすいようにその背景とともにちりばめてある。もちろん、地域住民だけ、あるいは行政の担当者だけの力では、地域にあったコミュニティバスを走らせることはできない。このため、地域住民の役割、行政の役割、そして地域企業の役割などを明確にし、互いが協力しあいながら魅力あるコミュニティバスの運行を実現するための組織のあり方にも多くの紙面を割いた。

 著者らがかかわる中部圏は、三大都市圏の1つに位置付けられているものの、東京圏や関西圏に比べると格段にクルマへの依存度が強く、大都市圏よりもむしろ地方都市に限りなく近い水準にある。したがって、中部圏の交通問題は大都市の問題とは言えず、地方都市そして農山村部の問題と共通する部分が多い。

 その中部圏で、若手の研究者と実務者が中部圏の交通の将来、ひいては日本の交通の将来を憂い、何とかしなければならないと議論の場を設けたのが、今から約5年前である。そこでは、数ヶ月に一回のペースで議論が重ねられ、最新の地域公共交通に関する研究動向、実務を遂行する上でのさまざまな課題、さらには世界中の優れた交通システムなどについて勉強を重ねた。その幅広い議論の中でより良いコミュニティバス像が模索され、たどり着いた内容をこの本に惜しみなく盛り込んでいる。

 今、日本の各地で、地域公共交通の再構築、あるいは活性化を図るための検討が行われている。そこでは、住民、地域企業、行政が議論を重ね、地域に合ったすばらしい交通システムの実現を目指しているだろう。そして、クルマに乗れない人でも地域を自由に行き来でき、豊かな生活を送ることができる、そんな町や村が日本各地に誕生する。本書がその一助となれば幸いである。

著者について

中部地域公共交通研究会

松本幸正(まつもと・ゆきまさ)
名城大学理工学部教授。1966年生まれ。1991年名古屋工業大学大学院工学研究科博士前期課程修了。博士(工学)、技術士(建設部門)。名城大学理工学部助教授を経て、2007年より現職。

嶋田喜昭(しまだ・よしあき)
大同大学工学部准教授。1968年生まれ。1996年福井大学大学院工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。福井大学工学部助手、大同工業大学工学部講師を経て、2004年より現職。共著に『新編土木計画学』(オーム社、1999年)ほか。

鈴木崇児(すずき・たかじ)
中京大学経済学部教授。1969年生まれ。1994年岐阜大学大学院工学研究科博士前期課程修了。博士(工学)。岐阜大学工学部助手、中京大学経済学部講師、同助教授を経て、2009年より現職。著書に『都市鉄道の次善料金形成--自動車交通との競合下での理論』(勁草書房、2002年)ほか。

橋本成仁(はしもと・せいじ)
岡山大学大学院環境学研究科准教授。1969年生まれ。1995年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。博士(工学)、技術士(建設部門)。東京大学大学院助手、財団法人豊田都市交通研究所・主席研究員を経て、2008年より現職。共著に『コミュニティバスの導入ノウハウ』(現代文化研究所、2006年)ほか。

加藤博和(かとう・ひろかず)
名古屋大学大学院環境学研究科准教授。1970年生まれ。1997年名古屋大学大学院工学研究科博士課程後期課程修了。博士(工学)。同助手を経て、2001年より現職。2005年、国土交通省自動車交通局「コミュニティバス等地域住民協働型サービス検討小委員会」委員として、2006年改正道路運送法の原案づくりに参画。共著に『都市のクオリティ・ストック--土地利用・緑地・交通の統合戦略--』(鹿島出版会、2009年)ほか。

小池則満(こいけ・のりみつ)
愛知工業大学工学部准教授。1971年生まれ。1997年名古屋工業大学大学院博士前期課程修了。博士(工学)。名古屋工業大学工学部助手を経て、2006年より現職。

寺内義典(てらうち・よしのり)
国士舘大学理工学部准教授。1973年生まれ。2000年福井大学大学院工学研究科博士後期課程システム工学専攻修了。博士(工学)。2001年国士舘大学工学部土木工学科講師を経て、2007年より現職。共著に「子どもが道草できるまちづくり」(学芸出版社、2009年)。

福本雅之(ふくもと・まさゆき)
名古屋大学大学院環境学研究科研究員。1980年生まれ。2009年名古屋大学大学院環境学研究科博士後期課程満了。同年より現職。

福島利彦(ふくしま・としひこ)
株式会社トーニチコンサルタント中部支社第二技術部計画調査室長。1968年生まれ。1994年中部大学大学院工学研究科博士前期課程修了。技術士(建設部門)。1994年株式会社トーニチコンサルタント入社、現在に至る。

本田俊介(ほんだ・しゅんすけ)
中央コンサルタンツ株式会社都市整備部計画2課課長。1968年生まれ。1994年岐阜大学大学院工学研究科博士前期課程修了。技術士(建設部門)。1994年中央コンサルタンツ株式会社入社、2003年財団法人豊田都市交通研究所に2年間の出向を経て現職。

小倉俊臣(おぐら・としおみ)
玉野総合コンサルタント株式会社統括事業部海外事業室係長。1971年生まれ。2004年名城大学大学院理工学研究科博士課程修了。博士(工学)。1997年玉野総合コンサルタント株式会社入社、2001年財団法人豊田都市交通研究所出向、2003年帰任、2008年より日本工営株式会社出向中。

増岡義弘(ますおか・よしひろ)
愛知県豊田市役所勤務。1957年生まれ。1980年名古屋大学工学部卒業。2008年3月までの11年間、財団法人豊田都市交通研究所に勤務し、公共交通、TDM、ITS、交通安全対策などの研究に従事。

山崎基浩(やまざき・もとひろ)
財団法人豊田都市交通研究所主席研究員。1969年生まれ。1994年名古屋工業大学大学院博士前期課程修了。博士(工学)、技術士(建設部門)。1994年財団法人豊田都市交通研究所入所、2008年より現職。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 学芸出版社 (2009/11/25)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2009/11/25
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 175ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4761512644
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4761512644
  • 寸法 ‏ : ‎ 15 x 1.5 x 21 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.3 5つ星のうち4.3 3個の評価

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3グローバルレーティング

この商品をレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2016年1月3日に日本でレビュー済み
多くの地域でコミュニティバスが運行していますが、路線バスなど公共交通機関の採算が取れない路線であるため、費用をどのように分担するか(税金を投入するか)の合意形成と、コミュニティバス運行による目に見えない効果をどう評価するかの合意形成が重要となります。
本書は具体的な事例に基づいており、実際にコミュニティバスの導入を検討している方に、強くお勧めします。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2012年2月6日に日本でレビュー済み
大津市立図書館で読みました。
行政職員や市会議員にも読んで欲しいです。
大津市では1998年頃に交通実験が実施
されました。(パーク&ライド)実際に、
JR大津駅と大津プリンスホテルを結ぶ
路線バスが実現していますが、当時の事を
憶えている人は少ないかもね。商店街を
経由する循環バスは交通実験だけで終わり
ました。とても残念に思います。

草津市では「まめバス」という本格的な
コミュニティバスの運行が始まっています。
栗東市でも「くりちゃんバス」という本格的な
コミュニティバスの運行が始まっています。
路線バス+オンデマンドバス方式です。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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