14日に行なわれたW杯欧州予選プレーオフ第1戦アイルランド対フランスの試合終了時に、両軍の選手がもみ合う場面が見られた。

 北アイルランドのベルファスト・テレグラフ紙によると、フランスのラサナ・ディアラ(レアル・マドリー)がアイルランドのキース・アンドリュースに侮蔑的な言葉を投げかけたのが発端のようだ。

 アンドリュースはそのときの状況を「試合終了のホイッスルが鳴って、しばらくしゃがみ込んでいた。彼(L・ディアラ)が自分のほうに歩いてくるのが見えたので、握手をするためだろうと思った。すると、ひとこと言われたので、ちょっと頭に血が上ってしまった」と振り返った。ディアラの言葉が何だったのかは「言いたくない」として、「無礼なコメントだった」と述べるにとどめている。複数のメディアによれば、アイルランド国民に対する侮辱だった、とされる。

 アンドリュースは予選グループリーグのグルジア戦でイエローカードを受けており、プレーオフ第1戦で警告を受ければフランスでの第2戦が出場停止になるところだった。アンドリュース本人は、ディアラの“挑発”の狙いがそこだったと考えているフシがあり、「あれは彼の典型」と語っている。

 実際そのディアラには、プレーオフ進出が確定したグループリーグのフェロー諸島戦で、ロスタイムに故意に警告を受け、次戦の出場停止と引き替えに、アイルランド戦に向けて警告累積を“清算”した疑いがある。アンドリュースの見方にしたがえば、試合後の“ケンカ両成敗”で両者が警告を受けることになっても、ディアラには自分が出場停止になることはないという計算があったことになる。

 しかし当のディアラは「何があったのかわからない」とレキップ紙に語っている。「アイルランドは負けた直後でうれしいはずがない。そうなりゃ当然、悪いのは僕らということになるね。こういうことは試合後によくあること。つづいたのは30秒くらいで、すぐに何事もなく控え室に戻ったよ」とどこ吹く風といったようすだ。アイルランドの新聞で話題にされていることは知っているようだが、「誰が何を言ったか、どうのこうのと騒ぎ立てている。僕が何でアイルランド国民を悪く言ったことになるのか、さっぱりわからないね」と“侮辱”を否定した。

 18日の第2戦には2万5000人ものサポーターがアイルランドから押し寄せるという。少なくとも、今回の一件でアイルランド・サポーターの標的がフランスの背番号6に集中するのは避けられないだろう。