2009年03月10日
パドル・シフト。
今度、スーパーGTでは、パドル・シフトの導入が可能になりました。
さてさて。
このパドル・シフトですが…
この単語をお聞きになった方々は、違和感がありますか?全然ありませんか?
まあ、違和感というのは大げさな言い方ですが、「ちょっとしっくり来ない…」と仰る方。
その方は、間違いなくワタクシとさして違わないオッサン中年紳士ではないかと思います。
というのは、我々が初めてこのようなシステムを見たのは、間違いなく89年のF1フェラーリで、その頃は、
セミ・オートマチック・システム(セミ・オートマ)
と言われていて、その後、この言葉でずっと通されてきたからです。
このセミ・オートマですが、若い方々が知るものは、シフトをパドルで押せば良いものと思っていらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、最初はそうではありませんでした。
89年の頃のものは、せいぜいシフト操作でハンドルから手を離さなくても済むといったものでした。
つまり、シフト・ダウン時にはドライバー自身がアクセルをあおって回転数を合わせなくてはならなかったのです。
それが、ブリッパーの投入でほぼシフト操作が簡略化され、アクティブ・サスペンションと相まって、しまいにはどのコーナーでどのボタンを押せば、ブレーキから変速までほぼ全自動などという時代になりました(91~93)。
この頃になると、あらゆる意味でフル・オートマチック・カーという感じでした。
この流れが94年のレギュレーション変更によって一度絶たれ、それがあのアイルトン・セナの死亡事故の直接間接の原因となったのは、あまりにも有名ですね。
まあ、あれだけの電子デバイスを禁止しても、それ以前の速さをす~ぐに取り戻したのですから、レース技術は凄いものです。
※このたった数年の電子デバイスの化け物時代のF1チャンピオン・カーに乗ったレーサーや経験者は、「これだったらオレでもチャンピオンになれる!」と賞賛(というより、かなりの皮肉を込めた揶揄)をしていたことがあった。よくF1は、本田宗一郎の言葉を借りて、走る実験室などと言われていた時代があったことは有名だが、これは、あらゆる部門の未熟な技術を厳しいレース現場で鍛え上げるといった意味合いだった。まだまだレース現場の技術の方が優れていた部分もあったのだ。しかし、この電子デバイス時代全盛時には、自動車メーカーの技術の方が、レース業界を圧倒するようになり、逆に自動車メーカーの技術無しには何もできなくなりつつあった。つまるところ、この頃から、走る実験室の意味合いが変わってしまったと言っていいのではないだろうか?メーカーの技術陣の夢・希望の実験室になっていたように思える。しかし、それはそれで、何か進歩という意味では凄さと魅力があったことも否めない。とはいうものの、ホンダは、この頃、ヨーロッパのあらゆるフォーミュラーレース界を激変させている時代で、功罪もそれぞれあった。だから、ホンダ一極集中を避けるため、ターボエンジンを禁止するレギュレーション変更が行われたと思える。「もう止めるか」とがっかりした川本氏と桜井氏は、本田宗一郎氏に相談に行ったそうだ。そのレギュレーション変更がホンダにだけ当てはめられると思い込んでいた本田宗一郎氏が、そうではないと知り、「何だそうか。うちだけに適用されるんだったら、頭の良いヤツらだと思ったが、ヤツらバカだな。短期間に一番早く一番いい物を作るというのがうちの特性なのが分からんのだから。ところで、相談というのは何だ?」と語ったという。あまりにも凄まじい純粋な心意気に、彼らは何も言えなくなり、止めようとは思わなくなったそうな。この意味では、まだ走る実験室だったと言えるだろう。しかし、現在のF1は、もはやそんな雰囲気は無くなっている。何だか業務の一環になってしまっている。今のレギュレーション変更に、様々な意見があるようだが、ここ20年のF1の変遷を見ていると、F1らしくない!と単純に批判できるものではないように思えてならない。規制がある方が、それを突破する新たな工夫が生まれ、そこに技術陣にとっての面白さがあるだろうから。丁度、厳しすぎる校則があるほど、それを破る楽しみが大きくなるように、走る実験室という側面には、このような規制も効果的かもしれない。
ともかく、段々とモータースポーツも、乗り物自体が運転が厳しいものになっているので、このパドル・シフトが導入されるようになっています。
…何しろ、今年のスーパーGTのニスモは、何とエアコンまで導入するそうです(汗)。
※プライベーターのラリー車で、当時80歳のドライバーが走ることになった時、日産は、パワステとエアコンを導入した例があった。
トップカテゴリーにエアコン…
時代は変わったものです。
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Posted at
2009/03/10 22:01:44
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