五木寛之『戒厳令の夜』(新潮文庫)を読む。
主人公の雑誌ジャーナリスト・江間は
福岡の酒場で幻の画家パブロ・ロペスの絵を見つける。
占領下のパリでナチスに奪われたはずの
ロペスの絵がなぜ日本にあったのか。
江間は謎の老人・鳴海と
ロペス・コレクションの謎を追いかける。
炭鉱国有化をめぐる疑獄事件の裏で、
隠匿されていたロペス・コレクションの所在が判明。
日本の先住民「サンカ」の協力を得て
コレクションを運び出すことに成功する。
舞台は九州、そして政情不安のチリに移る。
そして運命の9月11日…
この「9月11日」は軍による
アジェンデ政権打倒のクーデターが起きた日。
チリの話が目当てで読んだのですが、
ストーリーの自然な流れにページが進みます。
私が初めて読んだ五木の作品は
『わが心のスペイン』。中学生の頃でしょうか。
四半世紀近い時を経て、
ようやく『戒厳令の夜』を読むことができました。
おいしい料理のように、
後を引かないすっきりした読後感。
なかなかよいものです。
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