オープンで拡張機能が優れているFirefoxは、パワーユーザーが好んで使うウェブブラウザです。一方で、Googleの軽量なChromeも人気です。拡張機能があり、オープンブラウザということで、Firefoxから鞍替えするユーザーもいます。

米lifehackerの読者に、現在使っているブラウザをアンケートしたところ、Chromeが42%で、Firefoxが33%でした。前回(英文記事)は、Firefoxが57%で、Chromeが21%だったので、Chromeはかなり飛躍したことになります。

100929_browser-poll.jpg

米lifehackerでは、オフィスを開いた2005年以来Firefoxを使っていて、Internet Explorerに比べ、格段に使いやすいFirefoxに愛着を持っているのですが、読者の投票からすると、どうやらChromeの時代になってきているようです。ここからは、なぜパワーユーザーがChromeを選ぶようになってきたか、を検証します。

 ■言われるまで気付かないような問題を解決してくれる

Chromeは、私たちが気付いてなかったような小さな問題を、知らない間に解決してくれ、私たちによりよいブラウザ体験を与えてくれます。

たとえば、新しいアドオンをインストールしたあと、ブラウザを再起動しなくても使うことができます。また、Chromeはタブを独立したプロセスで処理するので、もし一つのタブがクラッシュしても、ブラウザ自体は問題なく動き続けます。さらに、これは下の動画を見てもらうとわかりやすいと思いますが、Chromeでは、たくさん開いているタブを閉じるとき、マウスがタブバーから離れるまでは、残っているタブのサイズが変わらないようになっています。小さなことですが、この機能があるおかげで、連続してタブを閉じるときに、誤って閉じなくてもいいタブをクリックしてしまうことがありません。

Chromeは、たとえばアドレスバーから検索できる機能といった、ユーザーの立場に立った独創的なアイディアを出してきています。よって、Firefoxユーザーは追いかけられている気分になったり、ちょっとだけChrome使ってみようかな、という気になったりしてしまうようです。しかし、Firefoxも改良されてないわけではありません。「Firefox Panorama」という、斬新なタブインターフェイスがFirefox 4では使えるようになります。ただ、Chromeと比べると、イノベーションが少し遅いような印象も...。

■アップデートや機能の追加が頻繁

今年の7月から、Chromeはリリースサイクルを短くしてきていて、6週間ごとに新しいバージョンが発表されています。これはユーザーにとって、まとまったリリースを待たなくても、ちょこちょこアップデートされるという利点があります。一度にたくさんの新機能について学ぶのは大変ですが、一回のアップデートにつき、1つか2つのリリースであれば、とりかかりやすいですよね。まとめると、Chromeでは、新しい機能をいち早く使うために、不安定なベータ版やデベロッパー版に頼る必要がありません

■UX、ユーザーエクスペリエンスがすべて

100929_speed.jpg

米lifehackerでは、数ヶ月ごとにウェブブラウザのパフォーマンステストを行っているのですが、ほぼ毎回、Chromeがトップに立っています。Firefoxも過去数年間に渡り、スピードはそこそこ速く、メモリー使用量でも勝っているのですが、決定的な問題がありました。それは、Firefoxユーザーが、Firefoxをだんだん重くなってきているように感じているということ。要するに、ユーザーの印象が、実は一番大事だということです

原文記事を書いたアダムも「Chromeを使うと、速く感じる」と言っています。実際の数値やインターフェイスのデザインよりも「速く感じる」ことが重要だということです。アドオンやその他の機能も気にはなりますが、結局はウェブ表示が速く、スムーズに情報を得ることができるか、ということが、ブラウザを選ぶときには大事なのではないでしょうか? よって、サクサク動き、拡張機能があって、機能的なブラウザを求める人には、FirefoxよりChromeをお勧めします。

■ブラウザの同期

パワーユーザーは同期が好きなものです。同期できるということは、どんなコンピュータでも同じ環境で作業ができるということ。Chromeは発表から1年ほどで、ブラウザに同期を搭載しました。そして今年の6月からは、拡張機能の同期もできるようになっています。Mozillaもすでに、近い将来Firefoxに備え付けるためのブラウザ同期ツールを発表(英文記事)していますが、これは、Chromeがビルトインの同期システムを発表してから、7ヶ月もあとでした。その上、このツールではアドオンの同期はできません。

ちなみに、Firefoxの新しいアドオン「Siphon」を使えば、アドオンを同期することができます。また、サードパーティの「LastPass」ではパスワードの同期ができ、ChromeやFirefoxよりも優れているという人もいますが、軽量さでは、Chromeにかなうものはないと思います。

■Googleの他のサービスとの融合

あなたがGoogleの大ファンであれば、Chromeはきっと満足させてくれることでしょう。まず、Chromeはあなたのブラウザデータのすべてを同期し、Googleアカウントを元にまとめてくれます。Gmailを使用していれば、ドラッグアンドドロップでの添付ファイルのアップロード画像の挿入添付ファイルのダウンロードなどができます。

Androidユーザーの方は「Chrome to Phone」が便利です。これを使えば、ブラウザからアンドロイドデバイスに簡単にデータを送ることができます。また、データをアンドロイド携帯からPCへ送りたい場合は「Android2Cloud」(これはGoogleのオフィシャルツールではありません)を使ってみてください。

Chrome OSの安定バージョンがリリースされれば、Googleアカウントにログインするだけで、ブラウザに入っている情報のすべてが同期できるようになります。まだこれは実現されていませんが、Chromeがその方向に向かっていることは確かです。

■Firefoxのほうがまだ勝っている点

Chromeは、すべての点でFirefoxに勝っているわけではありません。ここでは、Firefoxの方が優れている部分を紹介します。

Chromeユーザーからは、アドブロックに関してはFirefoxの「Adblock Plus」の方が良いという声があります。

ウェブから大量にダウンロードをするユーザーにとっては、Firefoxの「DownThemAll」が便利です。Chromeには、今のところ似たようなツールを追加する予定はないようです。

プライバシーについて心配している人は、Chromeを使ってGoogleにどっぷり浸かってしまうと、個人情報をすべてGoogleに預けることになるので、それが気になるかもしれません。

どのブラウザを使うかの判断は、人それぞれです。しかし、新しいものに敏感な米lifehackerの読者の投票結果は、Chromeの時代がやってきていることを示しています。これは、長年のFirefoxファンにとっては悲しいことかもしれません。しかし、いいものを生むための競争は大事です。みなさんは、Chrome派ですか? Firefox派ですか?

Adam Pash(原文/訳:山内純子)