NY株、約1カ月半ぶり1万ドル割れ 景気減速懸念で
【NQNニューヨーク=川内資子】26日の米株式相場は反落し、ダウ工業株30種平均は前日比74ドル25セント(0.7%)安の9985ドル81セントと、7月6日以来約1カ月半ぶりに終値で1万ドルの節目を下回って終えた。米景気の減速懸念が根強く、27日発表の4~6月期の米実質国内総生産(GDP)改定値が速報値から大幅に下方修正されることを警戒した売りが優勢となった。
ナスダック総合株価指数は同22.85ポイント(1.1%)安の2118.69と、ダウ平均と同じく7月6日以来の安値で終えた。
GDP改定値は速報値から下方修正されるとのエコノミスト予想が多い。今週は住宅関連など景気減速を示す指標が続いたため、GDPが予想以上に弱い内容になることを警戒し、投資家が売りを出したとの声があった。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が27日の講演で今後の米金融政策について言及するとの思惑が広がっており、講演を前に持ち高調整の売りも出やすかったという。
週間の新規失業保険申請件数が前週比で減少し市場予想も下回ったことを受けて、午前中は買いが優勢となる場面があった。ただ、申請件数自体は高水準にあり、なお見極めが必要との見方が次第に広がった。
S&P500種株価指数は前日比8.11ポイント(0.8%)安の1047.22と、心理的節目の1050を下回り7月6日以来の安値となった。
業種別S&P500種株価指数は全10種のうち「素材」を除く9種が下落。「IT(情報技術)」や「エネルギー」の下げが目立った。ダウ平均構成銘柄はボーイングとホーム・デポを除く28銘柄が下げた。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約10億5000万株(速報値)、ナスダック市場(同)は約17億7000万株。
ソフト会社買収を発表したネットワーク機器大手シスコシステムズが2.4%下落し、ダウ平均構成銘柄で下落率首位。ドイツの半導体大手インフィニオン・テクノロジーズの一部事業買収を検討中と報じられた同業のインテルも安い。ストレージ(外部記憶装置)メーカーの3PAR(スリーパー)がパソコン大手デルによる買収価格引き上げを受け入れると発表。スリーパーは2%余り下落し、デルは小安い。
9月初めに携帯音楽プレーヤーの新機種を発表するとの観測が出たアップルは1%安。減益決算を発表したカナダの大手銀ロイヤル・バンク・オブ・カナダは2%超下げた。提携先のマツダと運営するタイ工場への追加投資などを発表したフォード・モーターは安い。
一方、アナリストが利益見通しを引き上げた航空機のボーイングは約1%上昇。保険、リースなどを手掛ける中堅金融会社のウェスコ・ファイナンシャルが約12%急伸。著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる投資会社が同社に全株取得を提案する意向を示した。