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TV局が倒産したら…テレビ東京、映画で問題提起

2010年6月10日

 テレビ東京が倒産し、葬儀社に買収される――。そんな筋書きの映画を、テレビ東京が自ら製作した。8月1日から一般公開される。監督を務めたテレ東の伊藤隆行プロデューサーは「テレビ離れが進む中、テレビは今のままでいいのかというメッセージを込めた」と話す。

 映画の題名は「お墓に泊まろう!」。吉本興業との共同製作で、「次長課長」の河本準一や「はんにゃ」の金田哲ら、お笑い芸人が俳優として出演した。

 物語はテレ東の倒産で始まる。葬儀社に買収され、放送は1日3時間に縮小。そんな中、テレ東社長の島田(松方弘樹)が亡くなる。遺書には「オレの葬儀は世界で一番くだらないものにしてくれ」とあった。葬儀局への異動を命じられた番組制作者の伊藤(河本)と、新入社員の今井(金田)は、葬式をバラエティー番組として生中継するために立ち上がる――。

 シリアスな展開の中に、ときおり笑いを交えたつくり。実在の島田昌幸テレ東社長も最後に出演し、「私は本物の島田です」とあいさつする。

 「日ごろからテレビ局がつぶれる話を描いたら面白いと思っていた」と伊藤プロデューサー。本業ではバラエティー番組「やりすぎコージー」などを手掛けてきた。

 「ある程度の視聴率が取れれば、似たような番組ばかりでもいい、というのが今のテレビ局の体質。このままでやっていけるのか、という疑問を(倒産劇を通じて)投げかけた」と話す。

 作り話とはいえ、自社がつぶれる物語だ。だが、経営幹部に反対の声は出なかったという。

 島田社長が企画書を読んだのは、構想が出て間もない2月下旬。「なんだ、オレに死ねって言うのか」「会社がつぶれてんじゃないか」と苦笑した。伊藤プロデューサーらから生前葬は縁起がいいと説明され、「棺おけに入ればいいのか。まあ、1回死んで、皆で出直そうや」と話したという。

 「単純に生前葬ならいいかと了承した」と島田社長。「私としては『いい加減なことをやっているとこういうことになる』『とことんやりたいことを追求しようじゃないか』という思いを込めた」と話している。(松田史朗)

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