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「芝生で語ろう」


岡田監督でワールドカップを戦う

 東アジアサッカー選手権は3位という不本意な結果に終わり、期待されていたファン・サポーターの方には申し訳なく思っています。ワールドカップまで4カ月を切ろうという時期に東アジアの国々にあれだけ苦戦を強いられ、不満を持たれている方は少なくないでしょう。
 東アジア選手権を4日後に控えた2月2日のベネズエラ戦ですが、本来であればシーズンオフで休養が必要な時期に体力づくりをしつつ、去年のパフォーマンスや感覚を取り戻すというのは、非常に難しいことで、そのハンデはなくはなかったと思っています。しかもベネズエラは予想した以上に真剣に戦ってくれましたからね。あれだけプレスをかけられたのは久しぶりで、日本の選手は戸惑ったでしょうし、ショックも感じたはずで、それが東アジア選手権での奮起につながると期待していました。ところが、なかなか調子が上がらないまま、中国を相手に痛恨のドローを喫してしまいます。ベネズエラ戦と合わせて180分間を戦って1点も入らなかったのは問題で、早急な立て直しが必要でした。迎えた香港戦は大量得点で勝ちたいところ。ところが先制するまでに時間がかかり、終わってみれば3点きり。思ったようにポンポンと球を回す日本のサッカーがなかなか表現できなかった。
 逆転負けを喫した韓国戦の翌日の今日、原(博実)技術委員長と岡田監督とで話し合いの場を持ちました。これは定期的にやっているミーティングなんですが、鉄は熱いうちに打てということで話し合いました。岡田監督には、選手のコンディションや、今やろうとしていること、ベネズエラ戦以降、苦戦しているチームにどんな問題があるかなどを再度、確認しました。色々話した結果、岡田監督の目指すサッカーには全くブレがなく、十分、信頼に足るものでした。
 メディアには「岡田解任」という言葉が躍りましたが、3年かけて作り上げてきたチームを、1試合、2試合の結果で監督を交代して変えてしまうことはデメリットの方が大きく、これから4カ月程度でもっと良いチームができるとは全く思えません。我々としては、岡田監督を信じ、監督が目指すサッカーを堂々と、伸び伸びやってもらうことがベストであると、協会内部は意見が一致しました。

監督の選任

 昨日は日本サッカー協会にも「監督解任させろ」といった電話が多く寄せられました。しかし、一般的に監督交代というのはそう簡単ではないということを皆さんに是非ご理解いただきたいと思います。
 通常、監督の選考については、まず技術委員会で検討し、日本に適した監督をリストアップします。そして、その監督が今、どういう状況か―つまり、空いているかどうかということですね。空いていても代表監督を受ける意思があるか、そして、契約金やその他条件が合うかどうか・・・。特に外国人の場合、著名な監督だとスタッフを入れて十数億円という高額な金額を要求されるケースもありますから、そういった物理的な問題が出てきます。ワールドカップで優勝に導いてくれるというなら、それだけ投資しても起用する価値はあるのかもしれませんが、それが分からないのがサッカー。いくら名将と言われる監督でも、その監督のコンセプトややり方がチームに根付くのに一定の時間を要しますから、いずれにしろ、非常にリスクを伴うものなんです。

 とにかく、本大会を4ヶ月後に控えた今、岡田監督以外の監督にSAMURAI BLUEをゆだねる気は、技術委員会にも私にもなく、彼を信じて戦う覚悟でいます。もちろん、東アジアのような戦い方をしていては、あの世界舞台で勝利するのは難しい。それは、岡田監督も選手も十分認識しており、このままでいるなんてことは毛頭ないわけで、我々としても今感じていることをしっかり岡田監督以下、チームに認識してもらい、強化を進めてほしいと厳しく要求していくつもりです。
 選手も一日も早く気持ちを切り替え、さらなる強化にまい進してほしいと思っています。
 皆さん、いろいろ思うことはあるでしょうが、とにかく、我々は日本が目指す日本人のサッカーで大舞台で勝つ――選手には早く勝負勘を取り戻してもらい、次のバーレーン戦で勝負に懸ける強い気持ちを高いパフォーマンスで表現してほしいと期待しています。