◆民主党の小沢一郎幹事長は今週から、古賀伸明連合会長との「参院選行脚」を始めた。告示1ヵ月前に迫った参院選で最大の支持組織である連合へ最終的なテコ入れをはかるためだ。政権交代を果たした昨年の総選挙を前に小沢幹事長と高木剛連合会長(当時)による二人行脚が、連合組織の引き締めに功を奏したという前例がある。しかし肝心の連合内には、小沢氏の強引な候補者選定でしこり、トップ2にまつわる「政治と金」の説明責任を果たさないことなどが重なって民主党へ不満を募らせている。昨年と異なって、連合内にさまざまな形の不協和音が広がる。その1つが、民主党の参院全国比例代表の公認候補にリストアップされているJR総連政策・調査部長の田城郁氏の擁立への内部の反発だ。田城氏についは、3月3日に民主党常任幹事会で正式に公認決定、これを受けた翌4日の連合執行委員会で推薦が決定されている。同じJR内の労組であるJR連合は連合政治センター幹事会(3月4日)で反対意見を表明。田城氏を「革マル派最高幹部とされる人物の側近」と指摘して、批判を強めている。
◆JR連合は4月15日に開いた民主党国会議員との懇談会の席上でも、民主党側の、衆参議員16人を前に、厳しく注文をつけた。同懇談会の議事録によると、JR連合執行部側は「田城氏は革マル派最高幹部とされるJR東労組・松崎元会長の側近を務め、松崎氏らの業務上横領被疑事件に関連して家宅捜索を受け。現在もその捜査が不当だとして松崎氏らとともに国家賠償請求訴訟の原告となっている人物であり、また、JR総連は「『浦和電車区事件』はえん罪だ」などと訴えて組織内で選挙戦を展開している模様です。JR連合は、田城氏はあくまでも民主党公認、連合推薦を受ける資格はなく、国会議員には相応しくない人物であると認識しており。今後の動向をさらに注視して対応することとします。」としている。
JR連合は、同じJR内組織の田城氏の選挙支援を拒絶している。田城氏に代えて選挙区で2人(山下八洲夫・岐阜、尾立源幸・大阪)、。比例区で5人を推薦決定している。JR連合は、同対処方針を6月22日の定期大会で追認決定する運びだ。
◆連合内では、先に、小沢幹事長が静岡選挙区で2人目の公認候補を頭越しに決めたことから、連合静岡会長が反発、小沢氏を名指しで批判した。このため古賀会長ら連合本部が代わって小沢氏に頭を下げる一幕があった。小沢幹事長・古賀会長コンビの全国行脚が、思惑通り組織の底上げにつながるかどうか。