もうiPadもiPhoneも買えなくなる? それともAndroidが消される?

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    もうiPadもiPhoneも買えなくなる? それともAndroidが消される?

    行くトコまでトコトンなるエスカレート!

    まさに不意打ちともいうべき突然の宣戦布告で、アップルが「貴重なiPhoneの特許を侵害された」として、一気に20件もの特許を列挙しつつ、台湾のHTCを提訴してから2カ月ほどが経過したところで、いよいよ今後のドロドロの展開が見えてきましたよ。

    元々は特許訴訟なんて、互いに激しく言い争った後、どこかで落とし所を探っては、適当な地点で和解に持ち込むというのが常套手段だったりするんですけど、どうも今回の攻防戦は、そういう柔な展開をたどることはなさそうですね。むしろ、本当に魅力のAndroidケータイが買えなくなっちゃうか、あるいは、もしやしばらく日本では手に入りにくいのかとも危惧されるiPadのみならず、iPhoneもiPodも販売差し止めになるという最悪の結末だって、絶対に起こり得ないとは断言できない危うい状況になってきちゃいました!

    どうやらいつものアップルとも違う、いつになく激し過ぎるスティーブ・ジョブズCEOの強い闘志と、対するAndroid陣営側の、やや脇の甘そうな防衛戦略から見えてきた悲劇の末路とは? もしかしてまだ自由に買えるうちに、早めにいろんな最新ガジェットをゲットしておいたほうがいいかもしれませんぞよん。こちらの続きを読んで備えあれ~

    まずはおさらいですけど、明らかにアップルが本丸のターゲットに定めていたのは、単にHTCのみではありませんね。Windows Mobileケータイこそ特許侵害製品にリストアップされてはいるものの、その問題とされる特許は軽微なものばかり...。一方、iPhoneのオリジナルユーザーインターフェース(UI)から基礎となるアーキテクチャー、ハードウェアに至るまで、挙げ得る限りの侵害特許を次々と列挙して、Androidケータイに対しては、もう激しいばかりの集中砲火を浴びせ、完全なる販売差し止めを要求してきましたよ!

    これに対して、今週新たにHTCのジェイソン・マッケンジー北米事業部バイスプレジデントは、これまでも突然アップルに仕掛けられた特許侵害訴訟という攻撃に対して、あくまでも徹底抗戦していく構えを見せてはいましたが、以下のような声明を正式に発表し、その対抗戦略を鮮明に打ち出してきましたね。

    「アップルがiPhoneを発表するよりもずっと前に、われわれは早くも2002年にはWindows Mobile PocketPC Phone Editionを搭載するスマートフォンを発表し、Androidに至っては、2008年に世界に先駆けて搭載スマートフォンを発売して、独自のアイディアで革新的な製品開発に取り組むメーカーであることを実証してきた。

    消費者に向けて、最高のクオリティーで使いやすいモバイルエクスペリエンスを届けるため、この業界に健全な競争とイノベーションがあふれるように願っており、アップルに対しては、われわれの有する知的財産、貴重なパートナー企業、そして何よりも大切なHTC製品ユーザーの顧客の皆さまを守るため、徹底した対抗措置を講じていく方針である」

    その言葉にたがわず、まずはHTCがAndroidケータイで採用している各種技術などが、決してアップルの特許技術を盗用したものではないことの裏付けを進めるためか、巧みにマイクロソフトと手を結ぶ戦略に出て、新たなライセンス契約を結んだことが先月中に発表されましたよ。

    そして、最新の対抗手段として、「アップルこそがHTCの保有する特許を侵害している」との主張のもと、米国際貿易委員会(ITC)に対し、iPad、iPhone、iPodという3本立ての製品ラインナップの販売差し止めなどを求める訴訟を起こしたのでした。

    つまりはHTCの真の狙いは以下のような胸の内であります。

    「どうだ、アップルよ。ウチの製品にケチをつけようものなら、ソッチの製品にも同じようにケチをつけ、喧嘩両成敗という沙汰が下るようにしてやるぞ。それでもよいのか?

    ウチにはバックにマイクロソフトもグーグルもいるんだぜ! どうだ、つまらんことで言い争いなんぞはヤメて、この辺で互いに歩み寄り、仲直りしてみるのがよいのではないかや...」

    こういう防戦一方のアプローチを取るしかないところに、なんとなくすでに形勢はHTCのAndroid陣営側に不利のようにも見えますけど、どうも今回のバトルにおきましては、アップルの側に一歩も引くつもりはないことが日に日に明らかになってますよ。

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    そもそも、どちらかというとアップルは、常に特許侵害訴訟では最初に訴えられるほうで、そのカウンターアタックとなる対抗措置として提訴に踏み切ることこそあれ、自ら進んで他の企業に対して激しい訴えを仕掛けるのは、極めて稀とされてきました。だから、よほどの決意がないと、そもそものHTC提訴などの暴挙に出ることなんぞないというわけですね。

    そして、アップルが激しい憎しみを募らせまくっているのは、まさかのiPhoneをも蹴落とす急成長ぶりを見せてきたグーグルのAndroidでございますよ。

    「われわれの貴重な特許技術や革新的なイノベーションの数々を、おとなしくただ黙って敵陣営が盗み奪っていくのを見守っておくことだってできるかもしれない。だが、みすみすそんなことを許すようなことはしない。徹底的に戦い抜くとの決断を下したのだ」

    iPhoneのお株を奪うようなAndroidケータイの台頭は決して許すまじ! その非常なる強い決意を、上のように珍しく自ら語ってHTC提訴を発表したジョブズが、たかだかiPhoneでも用いられているという小さな小さな5件ばかりの特許を指し示され、HTCから返り討ちを食らわされたくらいで引き下がることは絶対にないでしょうね。アップルがHTCに突きつけたのは、Androidケータイの根幹を成すような特許技術ばかりで、しかも合計件数にしましても、HTC側が提示した数の4倍に当たる20件ですから、対等な和解という解決法なんぞは、まったく考えることすらできないでしょう。

    「アップルに提訴されるより10年以上も前から、すでにわれわれは立派な最先端のスマートフォン開発メーカーとして、数々の革新的な技術のポートフォリオを形成してきた。すでに米国内で消費者が選択できるHTCのスマートフォンラインナップは12機種に上り、今後も数々の最新技術を採用するスマートフォンの選択肢を次々に提供していくことに変わりはない」

    そう宣言して、あくまでも徹底抗戦の構えを変えることはないことを強く示すHTCですが、この2カ月を超える戦闘期間中に、当のターゲットと目されるグーグルからは、まだ何のコメントも出されていないのが気になりますかね。

    そろそろアップルの矛先も如実にグーグルへと向けられる時が迫ってきたかもしれません。そして、iPhoneとAndroidのどちらかが果てるまで、大戦争の砲火が飛び交うことになりそうです。

    iPhoneもすばらしいけど、Androidだってなかなかいい感じですよね? まぁ、消費者のボクらにとっちゃ、両陣営から魅力あふれる製品が出まくって、自由にチョイスできるのに越したことはないんですけどね。どちらかが思うようには買えなくなるなんて辛すぎるな...

    [HTC via Fortune]

    matt buchanan(原文/湯木進悟)