人間の心というものは、なかなか理屈では割り切れない。
理屈的にはこうしたらいい、と考えられても、人はむしろその反対に動くということもあろう。
一面まことに厄介といえば厄介だが、しかし、やはりある種の方向というか、
そうしたものを、ある程度体得できるということが、人情の機微を知るということになるのだろうと思う。
では、人情の機微を知るにはどうしたらいいか。
それはやはり、いろいろな体験を通じて、多くの人びととふれあうことである。
そうした体験に立ちつつ、常に素直な目で人間というものを見、
その心の動きを知ることが大切だと思う。
※松下幸之助【一日一話】より