オーラを操る“Aiden”とは何者か?

『BEYOND: Two Souls』は『ヘビーレイン』超進化系のオリジナル本格アドベンチャー!【E3 2012】_01
Quantic Dreamのディレクター、デビッド・ケージ氏

 ソニー・コンピュータエンタテインメントから海外向けに発売予定(日本発売は未定)のプレイステーション3用ソフト『BEYOND:Two Souls』。本作は、『HEAVY RAIN 心の軋むとき』を手掛けたフランスの開発会社、Quantic Dreamの最新作。先日開催されたソニープレスカンファレンス時は、詳細はおろかジャンルすら明らかにされなかったが、E3期間中にメディア向けに実施されたプレゼンテーションにて、ゲーム概要が判明。さっそくお届けしよう。

 プレゼンテーションでは、公開されているものよりも詳細な動画を公開。要所で、開発元のQuantic Dreamのディレクター、デビッド・ケージ氏が説明を加える形で進行した。

 まず、気になるゲーム性についてだが、本作は『HEAVY RAIN 心の軋むとき』と同様のアドベンチャーゲームとなる。ゲームプレイ中、随所にQTEが挟み込まれるシステムも健在。日常の些細な動作に対するQTEから、敵と対峙した際の連続QTEまで、前作同様にふんだんに散りばめられていると考えていいだろう。また、主人公の行動内容・結果によってストーリーが分岐していく点と、多数のエンディングが用意されている点も同様とのこと。ここまで、『HEAVY RAIN 心の軋むとき』をプレイ済みのユーザーなら、なるほどと理解できるだろう。

※QTE:Quick Time Event(クイック・タイム・イベント)の略。イベントシーンにおいて、画面に表示される指示(アイコン)にあわせて一定時間内にコマンドを入力するゲームシステム。コマンド入力の成否により、プレイヤーキャラクターがアクションをくり出したり、ストーリー展開が変化したりする。
 
 もちろん、本作独自のシステムも搭載。主人公の設定に深く紐付くのため、ここからは設定と合わせて解説していく。まず、本作主人公は既報の通りジョディ・フォームズという女性。年齢は23歳。ゲームでは、彼女の8歳から23歳までの15年間を、どのように生きてきたかが描かれる。ただし、時系列に沿って物語が進行するわけではなく、展開に応じて、語られる年代は変化するとのことだ。

『BEYOND: Two Souls』は『ヘビーレイン』超進化系のオリジナル本格アドベンチャー!【E3 2012】_04

 主人公のジョディ・フォームズの特徴は、スピリッツやゴーストの存在が感じられるほどに霊感が強く、さらに特異な能力まで所持していること。そのためか、彼女は警察やS.W.A.Tから追われる存在となっている。
 
 ゲームは通常、ジョディ視点で進行するのだが、状況に応じて、"ジョディと強い結びつきのある、目には見えない霊的存在"の"Aiden"を操作する場面に自動で切り替わる。これが大きな特徴で、Aiden操作時には、人物や物体のオーラが目で見えるようになる。オーラの色は人や物体によって異なり、その種類によって、Aidenが発揮できる能力も変化。赤いオーラなら、オーラを操作してその人物の首を絞め殺すことが容易にできる。また、オレンジ色のオーラなら、その人物に憑依して、意のままに操ることが可能になる。たとえば、ジョディのピンチの場面でAiden視点に切り替わり、近くにオレンジ色のオーラの人物がいた場合。プレイヤーの行動次第ではあるが、その人物に憑依してクルマに乗り込み、急発進させて道を塞ぎ、その隙にジョディを逃亡させる……といったことが可能になるのだ。なお、ジョディはAidenを完全に理解してはいないが、その存在や活用法はわかっているとのこと。ふたり(?)は運命共同体のように、行動をともにしているのかもしれない。

『BEYOND: Two Souls』は『ヘビーレイン』超進化系のオリジナル本格アドベンチャー!【E3 2012】_06
『BEYOND: Two Souls』は『ヘビーレイン』超進化系のオリジナル本格アドベンチャー!【E3 2012】_05

 ちなみに、ソニープレスカンファレンスで公開されている動画で、ジョディの目の前にあるコーヒーカップが唐突に浮き上がり、壁にぶつかって割れるというシーンがあったが、あれもAidenの仕業と考えると納得がいく。特定の場面に限って登場するAidenの存在と、オーラを利用したシステムは、まさに本作独自のもの。『HEAVY RAIN 心の軋むとき』では、4人の主人公の物語が複雑にクロスオーバーしていったが、本作で語られるのはジョディ・フォームズの15年間の物語。そこにスピリチュアルな存在のAidenが深く絡み、ゲームは進んでいくのだ。
 
 なお、プレゼンテーションで公開された動画では、夜行列車に乗り込んでいるジョディが警察に見つかり、列車の屋根から森へ、森から小さな町へと逃亡する様が描かれていた。その合間合間に、QTEやAiden視点への切り替わりが挟み込まれ、なんとなくではあるが、ゲームの概要が理解できるものになっていた。印象的だったのは、『HEAVY RAIN 心の軋むとき』よりもグラフィックのクオリティーが上がり、よりリアルな質感で描写されていることと、人物の動作が滑らかになっていること。そのレベルは極めて高く、"生っぽさ"を意識した仕上がりになりそうだ。

『BEYOND: Two Souls』は『ヘビーレイン』超進化系のオリジナル本格アドベンチャー!【E3 2012】_03
『BEYOND: Two Souls』は『ヘビーレイン』超進化系のオリジナル本格アドベンチャー!【E3 2012】_02

 というわけでこの『BEYOND:Two Souls』だが、期待度は十二分。『HEAVY RAIN 心の軋むとき』という完成度の高いひな形がありながら、あのとき以上にゲームファンを驚かせてくれそうな予感がする。現時点で日本発売は未定だが、まさか、発売されないことはないだろう。間違いなく、期待すべき1本だ。