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「文字組みアキ量設定」の「優先度」

少し前の記事で触れた、「文字組みアキ量設定」の「優先度」の件を少し詳しく書いておく*1大阪弁で言えば「ひつこいやっちゃなぁ」と言われそうだが……


前回あげた例を再掲する。



共に全角分のアキが、設定に応じて割り振られているのだが……
下の画像が、その設定内容のマズイ部分。


  • 「その他の和字」対「平仮名/カタカナ」の部分には優先度「3」を設定してあるが、「その他の和字」対「その他の和字」の部分は「なし」のママ*2
  • 「始め括弧類」対「その他の和字」には優先度「3」を設定しながら、「その他の和字」対「終わり括弧類」には設定せず「なし」のママ*3

というカスタマイズの際の不手際がその原因となっている。ともに優先度を「3」にしてあげれば特に問題ないのだが……。


私がカスタマイズする際に、ツメル方向にばかり頭がいって、逆にアキが優先度に従って割り振られることを失念していたイイ証拠でもある。


書籍などのタテ組で「調整量を優先」を使用している場合には、この不手際が顕在化することは稀だが、行長の極端に短い場合や数字や欧文が頻出するヨコ組の場合は文字列によっては不細工なことになってしまう。

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上の例は、私のカスタマイズがマズかった恥ずかしい例だが、よく似たことは少し前にInDesignの勉強部屋さんのBBSに質問があがっていたように、デフォルトの設定でも起こる。


「文字組みアキ量設定」にデフォルトで用意されている「行末約物全角/半角」を使用し、質問と同様な例を作成した*4



上下の禁則調整方式は違うが、共に赤いラインまでフレームを短くすると半角分の調整が加えられて収まることになる。
が、ご覧の通り「読点」対「始めカギ括弧」の部分に調整が集中し、不細工なことになってしまう。



これは、以下の画像の通り優先度に差があるのが原因。



最小値から最大値まで同じ数値が入っているが、優先度「2」の「読点」対「始め括弧類」の部分で50%の調整が可能なため、優先度「3」の「終わり括弧類」対「平仮名」部分では調整の必要がないから……という理屈になる。


上の画像では当該箇所以外は端折ってしまったが、「前の文字クラス」の「読点類」は優先度を主に「2」と設定しているのに対し、「後ろ括弧類」は「3」となっている。
私の感覚では(ツメル場合の)優先度は「丸括弧類>カギ括弧類≧読点類」という感じなのだが……*5

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さらに、デフォルトの設定では中点類に優先度「1」が設定されており、中黒などが真っ先に調整の対象となるのもちょっと困る。


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尚、アキを各字間に割り振らねばならない場合の挙動については「最大値」と「優先度」が関係してくるのだが、(デフォルト設定でも)中点類をはじめ各種の本来の字幅が「半角」の約物類は「全角ドリ」以上にはならないように設定されている*6ので、約物類に関しては特に気にする必要はないだろう。


で、私の場合は以前は「優先度」を設定していたのだが、冒頭のような凡ミスを犯す危険性もあり、区切りの強度に応じて最小値に変化を持たせているので、基本的に対「行頭/行末」以外の優先度はすべて「なし」にしている……ということになる。


上の2例に先日新しく提示した設定【HW_At】を使用した結果は、以下の通り。



●ちょっと思いついたので追記(100306)



上のように「その他の和字」対「その他の和字」の最大値を「25%」に変更してみると、当然、漢字間のアキ量は最大値に比例して少なくなる。
※下が重ねてみたモノ(赤が最大値100%/青が25%)。


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つまり、均等に字間が割られるのを避けたいなら、その部分の最大値を少なくしてやるとイイということ。
※「年(」に較べて「)は」の動きが大きいのが気になるが……共に最大値は全角ドリの50%。
この原因は後日解明した… 【参照】(20110910追記

*1:これも、『「文字組みアキ量設定」カスタマイズ時に考慮すべきこと』の中で触れたかったが長くなるので別記事とした

*2:活版や私が手動写植でやっていた「(なるべく)漢字の字間は割らない」ルールとすればこれはこれでイイのだが、ご覧の通り文字列によっては目立ってしまう。優先度「3」にして最大値を0%にすれば同様のことが可能ではあるが、やはり同じ結果となる

*3:最小値は−2.5%としてあるので完全な凡ミス

*4:質問者さんは「調整量を優先」使用時特有の現象だと勘違いされていたフシがあるが……

*5:以前の設定では順に「3/5/5」としていた

*6:つまり、調整には使用されない