U-20(20歳以下)女子W杯で初の4強を狙う「ヤングなでしこ」は29日、都内で今日30日の準々決勝韓国戦(国立)に備えた前日練習を行った。1次リーグ突破した選手らの気持ちを高める“勝負曲”は歌手AI(30)の「ハピネス」。「君が笑えばこの世界中にもっともっと幸せが広がる」の歌詞に感銘を受けたムードメーカーDF浜田遥(19=大阪高槻)が仲間に広め、試合前の円陣でのかけ声も「ハピネス」。勝利への元気な合言葉で、韓国打倒に気持ちを高める。

 幸せの1曲が「ヤングなでしこ」を“アシスト”する。歌手AIが歌う「君が笑えば、この世界中に、もっともっと幸せが広がる。君が笑えば、すべてが良くなる。この手でその手でつながる」のフレーズ。MF猶本も「元気が出て笑顔になれる。今大会の私たちの雰囲気を変えてくれました」と、勝負曲との出会いに感謝する。

 きっかけは1次リーグ第2戦ニュージーランド戦(2△2)翌日の23日。チームの持ち味の攻撃力が生かせず、ムードメーカー浜田の表情から笑顔が消えていた。普段と違う姿に、変化を感じた同部屋のFW田中美が、朝起きると大音量で「ハピネス」を流した。

 浜田は「その曲で元気になれました。美南にはめっちゃ感謝です。今は、吹っ切れて笑顔で頑張っています。私もみんなにその曲を聴いてもらって、今のチームの合言葉が“ハピネス”なんです」。1次リーグ最終戦スイス戦(26日)の試合前のピッチでの円陣では、全員で「ハピネス!」と大きなかけ声をかけた。

 伝え聞いたAIも「自分の曲を聴いてくれているなんてうれしいです。これから準々決勝があると思いますが、何よりも思いきり試合を楽しんでください。君が笑えばこの世界中にもっともっと幸せが広がるって本当に思う。皆さんのパワーで世界中にハピネスを」とエールを送った。

 この日の前日練習は夕やけの中、冒頭15分のみ公開された。今日30日の準々決勝韓国戦に勝てば、U-20女子W杯では初の4強入りとなる。猶本は「相手はブロックをつくってきますが、ハナ(MF柴田)とかも、相手のMFとDFの間でもらうのが上手。相手はそこがルーズ。失点しても攻撃力で勝ればいい」と笑った。

 猶本、浜田らが中心となった10年U-17女子W杯では、決勝で韓国にPK負けしている。ロンドン五輪では男子五輪代表が3位決定戦で敗れた悔しさも見ている。「明日もハピネスで勢いつけて、勝ちます」。猶本は力みのない笑顔で力強く誓った。【鎌田直秀】