【重要】論説『TPP参加問題 政局優先の表明許すな』|日本農業新聞10日

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(引用始め)(色付け、【超重要】【重要】、などは引用者による。また(引用者)とある場合も同じ)

【重要】論説『TPP参加問題 政局優先の表明許すな』

 環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題が、解散・総選挙をにらみ緊迫している。野田佳彦首相が「事前協議」を表明してから11日で1年。全く不十分な情報開示の一方、水面下で交渉は進む。新規参加国が意見反映できない上に米国からは「入場料」を求められるなど、TPP協議の理不尽な実態も明らかになっている野田政権がTPP参加を選挙の争点にするなら、厳しい審判が下るだろう

 首相は「約束」を必ず守るべきだ。「事前協議」を表明するに当たり両院議員懇などで①情報開示の徹底②十分な国民的議論③あくまで国益に沿って判断④守るべきものは守り抜く―などを言明した。「守り抜く」具体的中身としては、世界に誇る医療制度、日本の伝統文化、美しい農村を挙げたこの間、4条件の中で達成したものは何もない。「守り抜く」とした具体策は一向に示されず空虚な言葉だけが繰り返されるのみだ。

 菅直人前首相による、閣僚間の根回しもなく突如発せられた国会冒頭でのTPP参加検討から2年。そして野田首相の「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」とした「事前協議」宣言から1年がたつ。オバマ米国大統領の再選で、TPP協議促進の報道も目立つ。先日、岡田克也副総理は地方遊説で「残された時間はあまりない。参加するのかしないのかはっきりさせるべきだ」とTPP問題に言及した。思惑は別として、その通りだろう。もう政治判断する材料は十分だ。参加を正式に断念すべきである

 TPP協議は、時間がたち議論を重ねるほど、日本が交渉に参加するメリットがないことが明らかになっている。首相はTPPの意義を「アジア・太平洋地域の活力を取り込む」と前のめりな姿勢を繰り返すが、中国、インドなど人口大国が参加していない中で、いったいどうやって活力を享受できるのか。

 TPP参加による各省試算のうち内閣府が出した10年後の経済効果2兆7000億円という数字は意味深い。ほとんど参加メリットはないと認めているようなものだからだ。国家を家計に例えると、年間所得500万円の人が毎年2700円ずつ増えるにすぎないという指摘もある。家族がファミリーレストランで一度食事すれば消える程度だ。一方で代償は大きい。食料自給権を喪失しかねない中で、農水省や農業団体が強い懸念を表明しているのは当然だ。地方議会も反対や慎重姿勢を相次いで議決。先日の全国知事会議でも北海道が首相に参加反対を表明した。

 国家の最優先課題は大震災からの復旧・復興、原子力発電所事故の収束である。今なすべきは市場開放などではない。一刻も早い内需の拡大のはずだ。TPP論議の中で、いかに被災地が先行きに不安を募らせ、農業者が明日への希望を失いつつあることか。首相の政局優先の参加表明は断じて許されない。
 
(引用終)

(引用者)こういう論説こそが、JAイデオローグとしての日本農業新聞の顔として、論説(社説)には求められる。気力溢れる正論だ

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