簡単に言ってしまうと「相互主義」だからです。 日本人が中国人の名前を日本語で読むように、中国人は日本人の名前を中国語で読みます。「麻生太郎」は（カタカナで書くなら）「マーシャンタイラン」と読んでいます。お互いに千数百年以上もそうしてきて、特にお互いに不都合を感じてこなかったので、今でもそうしているのでしょう。 同じように漢字の名前を持っている韓国人の場合も以前はお互いに日本語読み、韓国語読みをしていましたが、韓国側から韓国語名は日本でも韓国語読み（カタカナ表記）、日本人名は日本語読み（ハングル表記）をするようにしてほしいという依頼があったことから、こちらも「相互主義」でお互いに相手の国の言葉の発音に近い読み方をしています。 ちなみに中国と韓国では「相互主義」にはなっておらず、中国では相変わらず韓国人名は中国語読みをしていますが、韓国では中国語の発音に近いハングルで表記しています（「胡錦濤」なら「フーチンタオ」に近いハングル表記）。ちなみに北朝鮮では中国語名をそのまま韓国語漢字音で読んでいるそうです。 日本で中国語名を「胡錦濤」とかいて、「こきんとう」と読むのではなく、漢字表記をやめて「フーチンタオ」だけにしないのは、メリットより、デメリットの方が多いからだと思います。漢字表記なら中国人に書けば通じますが、「こきんとう」はもちろん、「フーチンタオ」と読んでも、声調がないので結局通じませんし、日本人同士でも誰の事だかわかりにくいですから。「グアンユイ」と言ってもそれが「かんう（関羽）」のことだと理解するのは困難です。声調がないのでカタカナだと同音意義語が視覚でも区別ができなくなってしまいますし。 中国人にとっては「王」さんを北京で「ワン」、香港で「ウォン」と読んでも違和感はありません。日本人が「オウ」と読んでも、それは日本ではそういう発音なんだと思うだけです。