欧州でもっともアフリカのサッカーにくわしい監督といわれるクロード・ルロワ氏(フランス人)が、レキップ紙のウェブ版で、1月31日に閉幕した今回のアフリカ・ネーションズカップを振り返った。

 ルロワ氏はこれまで、カメルーンやセネガル、コンゴ民主共和国、ガーナなどアフリカ諸国の代表チームを多く率いてきた。2008年からは、オマーンの監督を務めている。

 ルロワ氏が今大会で注目した点は、本来ならばアフリカの“2強”とも言えたはずのカメルーンとコートジボワールが、いずれも準々決勝で敗退したこと。ただし、W杯出場を控える両チームの状態には明らかな違いがあるという。

 ルロワ氏は、ドログバの存在をまったく生かせなかったコートジボワールの現状を「深刻」と分析する一方で、カメルーンについては「心配ない」と明言している。チーム内でやや浮いた印象があったドログバと違って、カメルーンのエトーには他の選手との連係に問題がなかったと見る。

 今大会のカメルーンは、守護神カメニ(エスパニョール)が4試合で8失点を喫するなどパッとしなかった。その一方でルロワ氏は、マンジェック(カイザースラウテルン)、エヨング・エノー(アヤックス)、アレクサンドル・ソング(アーセナル)の若手中盤トリオを「ほんとうに素晴らしかった」と絶賛している。

 また今大会でも見られたように、カメルーンは長丁場の大会で、徐々にエンジンがかかってくるタイプ。準々決勝では、「不屈のライオン」の本領がようやく出はじめたころだったかも知れない。この試合では、ボールがゴールラインを越えずにエジプトの得点が認められる“不運”もあった。アフリカ3連覇のエジプトはW杯に出場しない。敗れはしたものの、優勝国を相手に優位に試合を進めたカメルーンについて、「W杯はかなり楽観できる」というのがルロワ氏の評価だ。

 「4強」を目標とする岡田ジャパンとオマーン監督として戦ったルロワ氏が、「W杯でアフリカ勢は何がなんでも4強に食い込まなければいけない」と力説する。アフリカ勢躍進の手応えを感じているのはたしかで、その筆頭として、日本と同グループのカメルーンが頭にあるようだ。