情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明

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漫画、あるいは小説、もしくはエッセイなどの
印象、あるいは連想、もしくは感想を書いてるBlog。

なんと主演は女装!あのメイド漫画がTBS系で実写ドラマ化!!




 日本始まってたな!


 


 


 なにせ、1956年にスタートした今から50年以上前のドラマの話。
 そういう意味では、実写ドラマ化「されていた」ですね。

簡単な事実


 日本で*1最初の「女装した男性」が主役の実写ドラマ「おトラさん」が、1956年からKRテレビで放映されていた。



少し詳しいまとめ


 主演は、柳家金語楼*2女装して役に挑みました。


 原作は西川辰美の漫画「おトラさん」。主人公は寅年生まれの女中、豪野トラ、通称おトラさん。「女中」を英語にすると「メイド」なのでメイド漫画と言っていいでしょう。


 放映されたのは1956年からKRテレビで。これは現在のTBS


 よし、一つも嘘は書いてない。


原作漫画「おトラさん」について

  


 絵柄としてはこういう感じ。
 所謂「大人漫画」の範疇に入る作品ですね。



 作者は西川辰美漫画集団のメンバー
 自画像代わりにおトラさん描いてることがありますが、男性です。
 




 1950年から「主婦の友」に連載。一度終了したのですが、TV化とほぼ同時期に読売新聞に新聞漫画として連載。
 その後また主婦の友に戻りまして、1969年の10月に終わるまで、ほぼ20年間に渡る長期連載となった作品です。
 なので、「一番連載期間が長いメイド漫画って何?」と聞かれたら「おトラさんだよ」と答えるのが正しいですね、多分。


 掲載された媒体や、その連載期間などを考えると*3、女性向け漫画の歴史というものを考える際にも大きなポイントとなる作品であることは間違いありません。
 ちなみに、最終回は「おトラさんが海外へ旅立つ」というものです。ここでも洋行エンドが!


 単行本は現在悉く絶版。入手しようと思ったら、おトラさん (1977年) (小学館文庫)が比較的入手しやすいですかね。



主演の柳家金語楼と、実写ドラマについて


 主役を演じたのは、柳家金語楼鳴呼、懐かしの金語楼。落語家にして俳優にして発明家にして脚本家にして・・・と幾多もの顔を持つ、昭和にその名を轟かせた偉大な喜劇人。



 戦前・戦中には落語家として、柳家金語楼名演集、また「兵隊落語」のような新作も色々と。落語集
 戦後にはTV創成期の番組「ジェスチャーNHK想い出倶楽部~昭和30年代の番組より~(3)ジェスチャー [DVD]や、多数の映画にも出演。


 で、このドラマの脚本「有崎勉」も同一人物で、ある種の自作自演というわけです。
 1956年に「柳家金語楼劇場」のシリーズとしてスタート、1957年〜1958年には東宝で映画化(合計6作品)、その後NETに移動したそうです。



 映画のポスターはこんな。
 (東宝 映画ポスターギャラリー東宝 映画ポスターギャラリーより)



 なんと最高視聴率は60%超え!
 「鳴呼、懐かしの金語楼」によれば


 それが、“メード(お手伝いさん)ドラマ”としてアメリカの『ニューズウィーク』に取り上げられるほど大きな話題となったのは、女形が主役のレギュラー番組は初めてという珍しさも手伝い、人気絶頂時には六十パーセントを超す高視聴率を上げたからだ。


 とあり、当時のTV普及率が現在とは比べ物にならないほど低かったにしても、化け物作品であったと言えるでしょう。
 「メードドラマ」って言い方もですが女形が主役のレギュラー番組は初めて」というのは重要な点ですね。



 また、1960年に原作の西川辰美が別冊週刊漫画TIMESに寄稿したエッセイ「おトラさんの裏側」では、その入れ込みようについて



 



 金語楼さんといえば、今日のおトラさんの人気は、大部分あの人がきずき上げてくれたようなもんです。
 とにかく、金語楼さんのおトラさんに気の入れ方といったら大へんなもので、あのカツラも、自前で何十種もつくられて、これじゃ派手だ、これじゃ地味すぎると、大へんな研究――ユカタのシマでも、原作の漫画にある柄を生かそうと、これまた何十枚もつくられて、しかも原作そっくりにテレビにうつるシマを研究して使って下さるなど、金語楼さんの熱心さは、とても書ききれないほどです。
 「おトラさんの生まれ故郷は、どこなんですか?」
 金語楼さんと劇化のご相談で初めておめにかかったとき、いきなり、こう質問されて、私はへどもどしてしまいました。
 「さあ・・・・・・生まれ故郷までは考えてなかったんですよ」
 というと、
 「それじゃ、二人で考えましょう」


 と書かれております。


余談 「漫画の実写映画化」について


 漫画の実写映画化の歴史は何時からスタートしたのか、と考えると


 に載ってるのは最近のばかりなんで参考になりませんなあ。


 1925年の「ノンキナトウサン」あたりが嚆矢である、とした方がよいのではないでしょうか。
 「原案」レベルなのは最近の実写映画化だって同じようなものでしょう。



 で、東宝 映画ポスターギャラリー東宝 映画ポスターギャラリーには東宝が手がけた漫画の映画化作品が挙げられてまして、

 といった大人漫画原作がズラリと並んでおります。記述的には「最大のヒットシリーズ」としてサザエさんが別格。
 ポスターはこんな。

 

 
 
     


 そして、最後に

 が挙げられ、この映画では実写にあわせてアニメのオバQが動き、おそ松くんらが登場したと書かれています。
 これ、見てみたいんですが、ソフト化されてないのはやっぱりオバQ関連の権利問題だろうか。


 ・・・あと「江戸っ子健ちゃん」って、後のアレに繋がる系譜なのか?


 といった所で今回はここまで。

*1:世界で?

*2:もちろん男性

*3:主婦の友」ではこの作品の終了と入れ替わるように石森章太郎の「マァマァさん」が連載開始ということもあり

今日読んだ本

  1. 週刊漫画ゴラク
  2. 週刊漫画TIMES
  3. 週刊コミックバンチ
  4. 隔週ヤングガンガン
  • ゴラク
    • ロウソクそういう状態にすると、自分も熱いと思うんだ。しかし、あの裸ネクタイ仁王立ちでの威厳は欠片も残ってませんなあ>SとM@村生ミオ
    • あれ、これは意外な方向に。連続殺人ミステリーへ?>ももえのひっぷ@コージィ城倉
    • この洒落の為だけに付けた様な名前だったって事か>ばくめし!@土山しげる
    • 「インドで路上漫才」って言葉にしてみると物凄く異常なんだが、この方ならアリなのかなー。>またまたインドへ馬鹿がやって来た@山松ゆうきち
  • 週漫
    • 新連載。考えてみれば、真鍋譲治は初の週刊誌連載か。健康的ピンク路線で行くのかな。敷賃礼金二重取りは美味しい>彼女で満室@真鍋譲治
    • 回転ベッドって今の若い人は見た事も無いだろうなあ。そもそもウケるのかどうか>ラブホなお仕事@ながしま超助
    • ものすごく強引な説明だが、周りの反応で力押しされてしまう。拘束プレイは珍しいかもね>涙星アースチンピラ子守歌@立原あゆみ
    • 読切前後編の前編。シリーズ連載になるのか?子供が微妙な可愛さ加減というか・・・。>おもいで橋我楽多本舗@芳家圭三
    • 表4また自社広告だった・・・。この先生きのこるにはどうすりゃいいんだ。けいおん!の袋とじとか、描き下ろしイラスト使った広告とか載せればいいんじゃね?
  • バンチ
    • こちらでも片倉小十郎出て来ましたが、美男にもほどがある>紅蓮の花 真田幸村@仲路さとる×竹谷州史
    • あれ、「リアルボンバーマン」ってそれ宣伝文句として言っちゃっていいの?>BTOOOM!@井上淳哉
    • のりピー(ファン)裁判なんてもうやってたんだ。面白いけどなんか悲しいな、これ>裁判長!ここは懲役4年でどうですか@北尾トロ×松橋犬輔
    • 読切。リズムがいいな。作者の経験も生きてるんだろうかねえ、食器らへんは>青と春-相模原フリーター列伝-@長田コージ。
    • 次号からのながてゆかの新連載、江戸時代ですか・・・。その辺多すぎだろバンチ。
  • ヤンガン
    • 新連載。密室パニックホラーでも、ポセイドン・アドベンチャーとの組み合わせは新しい。>魍魎の揺りかご@三部けい
    • 今回はまたひどいなあ・・・。アニメから雑誌に来てみた人はびっくりすぎるだろ>荒川アンダー ザ ブリッジ@中村光
    • 最終回。いい終わり方でした。人も立場も変わって行くけど、残るものはあるのです>んぐるわ会報@高尾じんぐ
    • 読切、じゃなくて宣伝兼ねて新連載?メタ視点で見るにしてもこういうのは面白いな>アソビバ@小玉有起
    • Mの人が自称したり「ありがとうございます!」とか「この業界ではご褒美です!」って、なーんつーか、間違ってると思うんだが>WORKING!!@高津カリノ
    • 決着。このバトルは熱かった。>BAMBOO BLADE@土塚理弘×五十嵐あぐり
    • 合宿終了。意外と短かったかも。いよいよ全国か。以前の予告で出てた人が「まさか〜が敗れるとは!」みたいになる展開はどのくらいあるんだろう>咲 -Saki-@小林立