中日山本昌投手(45)が30日から開幕するロッテとの日本シリーズで、悲願のポストシリーズ初勝利を目指す。登板が予想されるのは千葉マリンでの第3、4、5戦。投手には不利な強風が吹くことで知られ、チームも苦手にしている球場だが、決め球のスクリューを自在に操り、チームを3年ぶりの日本一へと導いてみせる。

 ついにめぐってきた。最多勝、沢村賞、ノーヒットノーラン、200勝…。数々のタイトルを獲得し、記録を樹立してきた山本昌が、唯一、手にしてない日本シリーズでの白星をつかむ好機がやってきた。「どこでいっても頑張れるよう、準備だけはしておきたい」。過去5戦4敗の日本シリーズで、今度こそ悲願の1勝をつかむ。

 23日のCSファイナルステージ・巨人戦では無失点ながら4回1/3で降板。ポストシーズン初勝利はならなかったが、気落ちはない。「短期決戦だから仕方がない。1試合経験したから、もう力まずに投げられると思う」とプラスに受け止めている。

 登板は千葉マリンで行われる第3~5戦のいずれかになることが濃厚だ。千葉マリンの名物は時に秒速10メートルを超える強風。なかなか登板機会に恵まれないセ・リーグ投手にとっては「難敵」だが、ベテラン左腕は過去5試合も登板経験がある。「最後まで投げたこともあるし、そんなに悪い印象はない。投げるとなれば思い切って投げたい」。06年5月19日には小林宏と投げ合い8回2失点。サヨナラ負けこそしたが通算2勝2敗、防御率3・99と苦手意識はない。

 センターからの海風はネット裏ではね返り、向かい風となってマウンドに吹き付けてくるため、変化球がより曲がると言われる。風を味方につければ、得意のスクリューを低めに鋭く落とし、ロッテ打線を封じこめる可能性も十分。05年の交流戦スタート以来、チームはロッテに対してナゴヤドームでは9勝4敗1分け。一方、千葉マリンでは4勝10敗と大きく負け越し。内弁慶シリーズ必至のデータも、ベテラン左腕には無関係だ。

 パ・リーグのCSは「8試合全部見た」といい、着々と研究を進めてきた。「どこからでもヒットが出るしやっぱり手強い。抑えられるピッチングをしたい」。ベテランのスイッチは早くも日本シリーズモードへと切り替わっている。【福岡吉央】

 [2010年10月25日12時5分

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