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　今年3月、20年務めた大阪・ABCテレビの情報番組『おはよう朝日です』の司会を卒業したフリーアナウンサー・宮根誠司。現在は、その独特のしゃべりや目線で活躍の場を広げている。そんな彼の『おは朝』の後任として登板したのが、入社16年目の浦川泰幸アナウンサーだ。一部では、長年務めた名司会者の降板で視聴者離れが懸念されていたが、爽やかさが求められる“朝の顔”なのに性格は後ろ向き、共演者からは笑える“オネエ系キャラ”扱いを受けるなどして、早くも注目度はアップ。本人はあくまで仕事上のキャラクターであると強調したが……。ORICON SYTLEでは、そんな浦川アナの今の心境と共に、彼を昔からよく知る関係者の証言を交えて宮根の後を継ぐ新司会者の“素顔”に迫った。

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　昨年12月、その日は突然やってきた。上司に呼ばれてひと気の無いところで受けた新司会者の打診。関西人なら誰もが知っている老舗番組。本来であれば名誉なハズだが「自分には務まらないと思い、途中から（上司の）言葉が聞こえなくなりました。強くショックを受けましたよ…」。浦川アナの入社当時、宮根とは同じ局のアナウンサーの先輩、後輩という関係だが、会話を交わしたのは意外にも数回程度。当時からアナウンサー以上の活躍が光っていた宮根の後任という大役は、周囲の想像以上に彼にプレッシャーを与えていた。

　3月29日に新司会者として番組を担当して、およそ1ヶ月。月曜から金曜まで、毎朝3時50分に起床。緊張は続くがようやく最近、嬉しかったことがあったという。「周りのスタッフが（前任の）宮根さんの話題を口にするようになったんですよ。これまではやっぱり気を遣われていたと思うし、そういう意味では（番組の）一員として入れてもらえるようになったんですかね」。心がけることはただ1つ、宮根のマネをしたりせず無理やりキャラクターを作らないこと。「やっぱり、手持ちのカードで勝負しないと視聴者にバレてしまう。“身の丈”目線や感覚は大切しています」と信条を語った。

　ただ、そんな彼が今一番心配していること。それはこれまでの後ろ向きな性格や、ラジオ番組内で毒吐きを緩くするために搾り出した“オネエ系キャラ”をどうするかということ。本人は「やっぱりこれを機に払拭したい気持ちもあるんです」と話す一方、周囲のスタッフは“情報＋笑い”を求める番組らしく、機会があるごとに“その方向”へと導く演出が続出している。

　元々、浦川アナがオネエ系キャラを始めたのは、関西の中高生の心を約20年、わし掴みした同局の人気ラジオ番組『ABCミュージックパラダイス』（2009年7月に終了）のパーソナリティを務めた入社数年目の頃。当時、他の曜日を務める先輩アナウンサーとの差別化を図るべく編み出したのが、今の姿だった。「（先輩と）同じ事をやっていてもダメだし、かといってストレートで毒吐くのもキツい。色々考えた挙句、今のスタンスになったんですよね」。取材時には、何度も“業務上のキャラ”であることを強調していた浦川アナだが当時、3年半に渡り同ラジオ番組で彼と共演した女性タレント・鳥居睦子の反応は、これと大きく異なる。

　『ミューパラ』出演者として先輩にあたる鳥居は、当時の第一印象について「本人は気づいていないかも知れなかったけど、素の姿は完全に“関西のおばさん”キャラ（笑）。中高生相手だと、なかなか否定的なコメントを喋れないけど、例えば夏休みが始まった直後だと『あと39日で終わりますね〜』って。当時から、私には出来ない“斬新”な感覚の持ち主でしたね」と苦笑い。

　だが『おは朝』の新司会者としては「その昔『おは朝』のアシスタントを務めた私が思うには、彼は物事を冷静に判断できる今までに無いキャラクター。濃〜いファンがきっとついて、新しい視聴者層を開拓できると思いますよ」と太鼓判。もっとも、アラフォーとなった浦川アナが、取材時に、結婚して独身貴族から一刻も早く脱出したい旨を語っていたと伝えると……、「確かに、主婦の心は掴めると思いますが、彼女の心はこれっぽっちも分っていない！」と断言。

　さらに「今の寂しいキャラでいいんじゃないんですかね。例えば、幸せになったらそれまで不幸な雰囲気を醸し出していた演歌歌手は、売れなくなっちゃうかもしれないでしょ？」とキッパリ。あくまで「自分のカラーや、キャラクターを押し出していくのはしばらくしてから」と慎重派な浦川アナに、最後には「“いい人のフリ”で頑張ってね！」とエールを送ったが、これも阿吽の呼吸が成立する大切な仲間だからこそ。愛のある理解者が集まるなかで、浦川アナの新たな挑戦はまだまだ続いていく。