児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

小5に裸の画像送信させた疑い 広島の26歳逮捕=和歌山

 撮影→送信までを3項製造罪と評価するのが流行りですが、撮影がわいせつ行為だとすれば、13歳未満に撮影させる行為は176条後段の強制わいせつ罪になるはずです。
 親告罪の一部起訴という論点がありますが、これは全部起訴。特別法による親告罪非親告罪化ですよ。強制わいせつ罪を軽く処分することになるし、おかしいと思いませんかね。
 

 発表によると、容疑者は2009年12月19日夜から20日未明にかけて、携帯電話の無料ゲームサイトで知り合った和歌山市内の当時小学5年だった女子児童に、カメラ付き携帯電話で、自分の裸を数枚撮影させ、メールで送信させた疑い。父親が児童の携帯電話を調べて発覚、同署に相談した。
[読売新聞社 2010年6月2日(水)]

罰金分納の根拠条文は刑法18条6項

 http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20080129#1201599517の続き。
 相変わらず分割払いとか延期とかの相談は多いですね。

 文献は専修大学にあります。
「一部納付」というそうです。
 会計法だとか聞いたこともありますが、徴収事務解説でじゃ刑法18条6項を挙げています。

7訂 徴収事務解説p64
第7 一部納付(規程16)
1 徴収金のうち,罰金及び科料の一部納付については,刑法第18条第6項ないし第8項の解釈からこれが許されることは明らかであるが,その他の徴収金のそれについては,法理論的には疑問を残しながらも,その特質並びに現実の問題として,全額を一度に納付させることが困難な場合には,その一部の金額を収納することも差し支えないとの見解の下に規定も定められている。
(1)納付義務者から納付すべき金額の一部につき納付の申出があったときは,徴収主任は,まず,その事情を調査し,事由があると認めるときは,検察官あての一部納付願を徴して検察官の許可を受ける。その事由がないと認めるときは,一部納付願を徴する必要はない。なお,この事情の調査方法は,納付義務者から直接聴取する程度で足りるであろう。
この一部納付についての検察官の許可は,必ずしも分納の都度一部納付願を徴して行う必要はなく,包括的に,例えば,3回に分けて納付することを許可する場合には,あらかじめその旨の記峨のある一部納付願を徴すれば足りる。
(2)納付義務者から納付すべき金額の一部が郵送された場合においても,持参された場合と同様その手続を行う。しかし,この場合,やむを得ない事情があるときは,一部納付願を徴する必要はないとされている。
この「やむを得ない事情」とは,例えば,納付義務者が郵送により納付を申し出た後,直ちに遠洋漁業等に出発してしまい一部納付願を徴することができないときなど,事実上それが不可能な場合がこれに当たるであろう。
なお,送金の封書等に添付してある書面により一部納付願の趣旨が認められ,かつ,それが許容し得るものである場合には,改めて一部納付願を徴する必要はない。
(3)納付義務者の依頼を受けた代納者から一部納付の申出があった場合には,その一部納付願は納付義務者から徴すべきである(注1)
 なお,この場合,納付義務者から一部納付願を徴することができない事情があるときは,代納者からこれを徴することなく,徴収主任において,徴収金原票の備考欄に,その経緯を記載するとともに,検察官の押印を受ける(注2)。
(注1)昭32検務実務家会同徴収事務関係9問答(例規集1301ページ)
(注2)昭47検務実務家会同微収事務関係2問答,昭47検務実務家会同徴収事務関係3問答(例規集1301の2ページ)

行刑
第18条(労役場留置)
6罰金又は科料の一部を納付した者についての留置の日数は、その残額を留置一日の割合に相当する金額で除して得た日数(その日数に一日未満の端数を生じるときは、これを一日とする。)とする。

徴収事務規程(法務省訓令)
最終改正 平成20年11月28日法務省刑総訓第1624号
(平成20年12月1日施行)

http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji19.html
(一部納付の申出等)
第 16条 徴収金について納付義務者から納付すべき金額の一部につき納付の申出があったときは,徴収主任は,事情を調査し,その事由があると認めるときは,一部納付願を徴して検察官の許可を受ける。徴収金が送付された場合において,その金額が納付すべき金額の全部に満たないときも同様である。ただし,この場合において,やむを得ない事情があるときは,一部納付願はこれを要しない。
(納付延期の申出等)
第 17条 前条前段の規定は,徴収金について納付義務者から納付延期の申出があった場合に準用する。ただし,この場合において,過料,没取,訴訟費用,費用賠償,犯罪被害者等保護法第11条第1項の費用又は民訴第303条第1項の納付金に係る徴収金について時効を中断する必要があると認められるときは,納付義務者から納付延期願を徴する。
2  前項の規定による納付延期の許可があったときは,徴収係事務官は,徴収金原票にその旨を記入する。

 こういう根拠があるから分納に応じろというのではなく、検察官殿にお願いするという姿勢が大事でしょう。

裁判員追及「なぜ自首せぬ」

 非裁判員事件では出ない質問です。
 刑法上、任意的減軽事由になってますが、適用されると刑が1/2になっちゃうという強い効果があるので、判例の事案をみると、なかなか適用されることがありません。という意味では例外的な場合であって、普通「自首」なんてしないんですよ。
 自首しても、罪は逃れられないわけで、いろいろ葛藤があるでしょう。それを乗り越えて自首した人には対償として大きな恩恵があるという感じです。

第42条(自首等)
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2 告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。


第68条(法律上の減軽の方法) 
法律上刑を減軽すべき一個又は二個以上の事由があるときは、次の例による。
一 死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁錮又は十年以上の懲役若しくは禁錮とする。
二 無期の懲役又は禁錮減軽するときは、七年以上の有期の懲役又は禁錮とする。
三 有期の懲役又は禁錮減軽するときは、その長期及び短期の二分の一を減ずる。
四 罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の二分の一を減ずる。
五 拘留を減軽するときは、その長期の二分の一を減ずる。
六 科料減軽するときは、その多額の二分の一を減ずる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100603-00000221-mailo-l44
裁判員裁判:集団強姦致傷罪 「反省」に裁判員追及「なぜ自首せぬ」−−地裁 /大分
6月3日15時34分配信 毎日新聞
 弁護士の質問で、被告は「大変なことをしてしまった」と反省を口にした。これについて男性裁判員は「それならどうして自首しなかったのか」と質問。被告は「交際相手に打ち明けられなかった」と答えた。

示談を断念して、被害弁償をするなら、損害額(民事訴訟認容額)を上回る程度の弁償を目指しましょう。

 なかなか示談に至らないものです。
 でもこうすれば、後から請求されることもなく、金銭面では解決します。
 情状弁護としては、そういう部分点を拾っていくことです。