図書館員のコンピュータ基礎講座

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電子書籍

電子書籍は、電子ブック、eBook(イーブック)とも呼ばれ、従来の印刷物で用いられてきた紙とインクではなく、デジタル・データで作成される出版物です。多くの場合、電子書籍リーダと呼ばれる専用の機器で読んだり、ビューワと呼ばれるソフトウェアを用いてパソコン、携帯電話、携帯端末などで読んだりすることができます。

フォーマット

【2015-05-26更新】

主な電子書籍のフォーマットを紹介します。

ePUB

ePUB(イーパブ;Electronic Publication)は、IDPF外部へのリンク(アイディーピーエフ;International Digital Publishing Forum)が2007年9月に発表した電子書籍フォーマットで、EPUB3は2014年にISO/IEC TS 30135(Part 1~7)になりました。拡張子は.epubです。XMLをベースとしたオープンな規格で、XHTMLやDTBookで作成したコンテンツを、画像やCSSなどとともにZIP形式で圧縮したものです。構造化データを持つことが可能、リフロー(画面に収まるように自動的にテキストが調整される、可変レイアウト)が可能といった特徴があります。また、EPUB 3では、縦書き、ルビ、圏点等の日本語固有の表現も可能となっています。

EPUB 3 仕様書・関連文書日本語訳一覧外部へのリンク
オープン・パッケージング・フォーマット(OPF) 2.0 v1.0 勧告仕様 2007年9月11日(日本語版)
オープン・パブリケーション・ストラクチャ(OPS) 2.0 v 1.0 勧告仕様 2007年9月11日(日本語版)

ebi.j

ebi.j(イービーアイジェー)は、イーブック・イニシアティブ・ジャパン外部へのリンクが開発したフォーマットで、拡張子は.ebiです。eBook(イーブック)という通称で呼ばれることがあります。再生には、松下電器産業のΣBookまたPC用にebi.Book Reader(イービーアイブックリーダ)というビューワが必要です。文字のみのデータも画像として扱うという特徴があります。

AZW

AZW(エイゼットダブリュー)は、Amazon.com外部へのリンクKindle用のフォーマットで、MOBIがベースになっています。拡張子は.azwです。なお、Kindleでは、TXT、MOBIPRCフォーマットも扱えます。さらに、2008年末以降のKindleは、フォントの埋め込みを可能とした新しいフォーマットであるTopaz(トパーズ)も採用していおり、このファイルの拡張子は.tpzまたは.azw1です。

エキスパンドブック

エキスパンドブック(Expanded Book)は、ボイジャー外部へのリンクが開発した電子書籍フォーマットで、拡張子は.ebkです。再生には同名のビューワやT-Time(ティータイム)が必要です。画像、音声、動画を扱えるようになっています。ルビ、字下げ、縦書きなどを含む現行イメージに近いレイアウトを再現可能です。

XMDF、コンパクトXMDF

XMDF(エックスエムディーエフ;Mobile Document Format)は、シャープ外部へのリンクが開発した主にPDA、PC向けの電子書籍フォーマットで、拡張子は.zbfです。XML形式で記述したコンテンツを独自のバイナリ形式に変換して作成しています。再生には同社のブンコビューアというビューワが必要です。従来はテキスト中心でしたが、現時点では画像、音声、動画を扱えるようになっています。ルビ、字下げ、縦書きなどを含む、原稿イメージに近いレイアウトを再現可能です。
XMDFの携帯電話機向けフォーマットとして、コンパクトXMDF(コンパクトエックスエムディーエフ;Compact Mobile Document Format = cXMDF)もあります。

オーディオブック

オーディオブック(Audiobook)は、書籍の朗読や講演会を音声化し、カセットテープ、CDなどの媒体に録音したり、インターネットで配信しているコンテンツです。媒体によって、カセットブック、カセット文庫、CDブックなどと呼ばれることがあります。

ComicSurfing

ComicSurfing(コミックサーフィン)は、セルシス外部へのリンクが開発した携帯電話向け電子書籍フォーマットです。ビューワも同じ名称です。画像スクロール、シーンに合わせた効果音や振動機能が搭載されており、主に携帯コミックや写真集などの配信に用いられています。また、ルビ、字下げ、縦書きなどを含む原稿イメージに近いレイアウトを再現可能です。同ビューワは2006年にT-Timeと統合され、BookSurfing(ブックサーフィン)と改名しました。BookSurfingは、多くの携帯電話用サイトで採用されています。

DAISY

DAISY(デイジー;Digital Accessible Information SYstem)は、デイジーコンソーシアムが開発を行っている、主に視覚障害者等が利用するデジタル録音図書の国際規格(ANSI/NISO Z39.86)です。再生には専用の機器やソフトウェアが必要です。XHTML、SMILなどを採用しており、構造化データ、静止画、動画、テキスト、音声を組み合わせて作成することができます。フルテキストや画像を音声と同期させて再生可能なマルチメディアDAISY図書や、合成音声での読み上げを想定したテキストDAISY図書、音声のみから成る音声DAISY図書などの種類があります。
バージョン3(DAISY 3)のXMLフォーマットは、DTBook(ディーティーブック;DAISY Digital Talking Book)やDAISY XMLとも呼ばれます。

TTZ

TTZ(ティーティーゼット)は、ボイジャーが開発した個人出版向けの電子書籍フォーマットで、拡張子は.ttzです。再生にはT-Timeが必要です。画像、音声、動画を扱えるようになっています。ルビ、字下げ、縦書きなどを含む原稿イメージに近いレイアウトを再現可能です。

.book

.book(ドットブック)は、ボイジャーが開発した商業出版向けの電子書籍フォーマットで、拡張子は.bookです。再生にはT-Timeが必要です。HTMLベースで、テキストを中心に扱え、ルビ、字下げ、縦書きなどを含む原稿イメージに近いレイアウトを再現可能です。

PDF

PDF(ピーディーエフ;Portable Document Format)は、アドビシステムズ外部へのリンクが開発した電子文書フォーマットで、2008年にISO 32000-1として標準化されました。拡張子は.pdfです。文字、画像、表のレイアウトなどの原稿イメージをかなり正確に再現可能です。作成には同社のAdobe Acrobatが、閲覧にはAdobe Readerが必要です。
アイドック外部へのリンクが開発したDRM(ディーアールエム;Digital Rights Management = デジタル著作権管理)機能付きPDFであるKeyringPDF(キーリングピーディーエフ)というフォーマットもあります。拡張子は.krmで、Adobe Reader等で閲覧可能です。
Adobe eBook(アドビイーブック)という、PDFにDRM機能等を追加した電子書籍フォーマットもあり、Adobe Acrobat eBook Reader で用いられていました。しかし、同リーダはサポート停止となり、フォーマットも、Adobe Readerで閲覧可能となるとともに、KeyringPDFへの切り替えが進んでおり、現在ではあまり用いられていません。

BBeB

BBeB(ビービーイービー;Broad Band e-book)は、ソニー外部へのリンクLIBRIé用のフォーマットで、拡張子は.lrfです。中間ファイルフォーマットとしてXMLを採用しています。2009年8月、ソニーはこのフォーマットに替えてePUBを採用することを決定しました。

MOBI

MOBI(モビ)は、フランスのMobipocket(2005年にAmazonが買収)が開発した電子書籍リーダであるMobipocket Reader(モビポケットリーダ)用の電子書籍フォーマットです。拡張子は.mobiですが、Palm社のPDAのOSであるPalm OS用には.prcを用います。

その他

これらの他にも、テキスト(拡張子は.txt)、HTML(拡張子は.htmlまたは.html)、青空文庫外部へのリンク独自のテキストファイルである青空文庫形式、Flashや動画データを採用したものなどがあります。テキスト形式のデータを携帯電話で縦書き表示等ができる携帯書房というアプリケーションもあります。

ポイント
TTX(ティーティーエックス)は、ボイジャーが開発した、HTMLを独自タグにより拡張したフォーマットです。.bookTTZのソースファイルで、TTXが記述フォーマット、ドットブックやTTZが実行(配布)フォーマットという関係になります。TTXフォーマットで作成したデータは、XMDFBBeBΣbookの独自フォーマットへの変換も容易に行えます。

ポイント
中国には、方正集团が2009年に開発したCEBX(シーイービーエックス)などのフォーマットもあります。CEBXは、同社が2000年に開発したCEB(シーイービー、Chinese eBookに由来)を拡張したものです。仕様はオープンで、ePUBのような可変レイアウト(リフロー)とPDFのような固定レイアウトの2つの表示形式を併せ持つことができるという特徴があります。

リーダ

【2013-01-07更新】

主な電子書籍リーダを紹介します。

名称 読み 説明
iPad アイパッド Apple社が2010年4月にアメリカで発売を開始したタブレット型コンピュータです。2011年にはiPad 2、2012年にはiPad miniが発売されました。iBooks(アイブックス)と呼ばれる電子書籍アプリケーションを搭載しており、電子書籍フォーマットとしてePUBを採用しています。
Kindle キンドル Amazon.comが2007年11月にアメリカで発売を開始した電子書籍リーダで、2009年に第2世代のKindle2とKindle DX(キンドルデラックス)が、2010年に第3世代のKindle3発売されました。2012年から日本でも発売を開始しました。電子書籍フォーマットとしてAZWを採用しています。
Kobo Touch コボタッチ 2011年に楽天の子会社になったカナダのKoboが2011年5月に販売を開始した電子書籍リーダで、2012年7月から日本でも発売を開始しました。電子書籍フォーマットとしてePUBとPDFを採用しています。暗所で読書をするためのフロントライトを搭載したKobo Glo(コボグロー)や、小型のKobo Miniなどの機種もあります。
ΣBook シグマブック 松下電器産業が2003年7月に発売を開始した電子書籍リーダで、SDメモリーカードの電子書籍フォーマットである「SD-ePublish」対応のDRMを採用していました。2008年3月に生産を終了しました。
nook ヌック バーンズ・アンド・ノーブル外部へのリンクが2009年10月に発売を開始した電子書籍リーダです。電子書籍フォーマットとしてePUBやPDFを採用しています。
LIBRIé、Sony Reader リブリエ
ソニーリーダ
LIBRIéは、ソニーが2004年4月に発売した電子書籍リーダで、2007年5月に生産を終了しました。
Sony Readerは、米国ソニーが2006年10月に発表したLIBRIéとほぼ同じ内容の電子書籍リーダです。2010年から日本でも発売を開始しました。電子書籍フォーマットとしてePUB、XMDF、.book、PDFなどを採用しています。

iPad Kindle Kindle DX Kobo Touch
iPad Kindle Kindle DX Kobo Touch
LIBRIé Sony Reader
ΣBook nook LIBRIé Sony Reader
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CyberLibrarian : tips on computer for librarians, 1998-