新連載「堀江貴文に聞く」。元ライブドア社長の堀江貴文さんがどのようにビジネスを考えているか、社会を考えているかの“答え”を明らかにしていきます。まずは人脈編から。
この連載は書籍『まな板の上の鯉、正論を吐く』から抜粋、再編集したものです。最高裁の判決を待つ身ながらも活発に発言を続ける彼の頭の中に去来する思い。「クビにしないように採るのも企業の責任」「僕の経験上、返済できる金利の上限は5%」「今の日本は国家が借金したお金でGDPを支えている」「核武装して周囲に摩擦を生むくらいなら今のままで十分」――。その一部をご紹介します。堀江流思考のストレッチをお楽しみください。
こうやって人脈を広げよう、というノウハウやテクニックは、僕にはありません。そもそも巷でブームになっている、いわゆる「人脈術」とか「交際術」にあまり興味がない。「勝手にやれば」という感じです。ビジネスに有効とされるノウハウとして、「ノート活用術」などもありますが、僕はノートを付けませんし、手帳も使いません。メモはケータイの機能で十分。出版不況でもビジネス書はそこそこ売れているようですが、そうした仕事術系の本に興味がないので、ほとんど読みません。
「人脈づくり」がキーワードになるということは、多くの人々の中に不安があるということでしょう。僕の場合は、昔から率先して人脈をつくっていくタイプではありませんでした。
仕事は大好きだけれど、仕事のために人脈を広げようという「異業種交流会」などは大嫌い。別に交流したくないし、どうしても来てくれといわれない限りは、できるだけ行かないようにしています。
とはいえ、「人脈づくり」を考えないことを、みなさんに推奨するわけではありません。交流会に行かないのも、僕が勝手に「烏合の衆だ」と思って馬鹿にしているだけかもしれない。限られた人脈になる可能性をリスクとして捉えるならば、それぞれに勉強してもいいのではないでしょうか。
会社を立ち上げた時期は僕も営業に出ていましたが、成績はかなり優秀でした。人付き合いが得意ではない僕が、あそこまで仕事を取ることができたポイントを挙げるならば、クライアントに対して、必ず「できますよ」と答えること。これが、唯一の営業術だといえます。「お前できる?」と訊かれたら、二つ返事で答える。
新規のクライアントは、たまに飛び込みで来ることはありますが、ほとんどが以前仕事をしたクライアントからの紹介でした。「あいつは仕事を断らない、何でもできる」という評判が、好循環となり仕事を呼び込んだということです。
オファーに対して「この期日では……」というように難色を示したり、楽な条件を引き出そうとする人がいます。しかし僕は、そんなことはまったく考えない。クライアントはみんなわがままですが、それを飲みこんであげれば、自然と評価は得られる。
営業の仕事は、「仕事を取ってくること」であって、実際の仕事は別の人に頼むことになる。まずは「できます」と答えて、無理やりにでも何とかする。曲がりなりにも商品を完成させて、納品する。特に若い人間、若い会社が、上の世代のクライアントから信頼を勝ち取るためには、勢いよく「できます!」と答えることです。
しかし、簡単なようでこれがなかなかできない。「こいつ、考えなしで答えているようだけれど、大丈夫か?」と思われても、実際に仕上げてきたら一気に信用されます。
まずは背伸びをすること。そこで自分の価値や信用を高めていけば、人も仕事も向こうからやって来るんです。
1972年、福岡県生まれ。1991年、東京大学教養学部文科三類入学。1996年、東京大学在学中に資本金600万円で「有限会社オン・ザ・エッヂ」を設立。2002年、経営破綻した旧ライブドアから営業権を取得し、2004年、「株式会社ライブドア」に社名変更。同年6月、経営難に陥っていた大阪近鉄バファローズ(現・オリックスバファローズ)の買収を申し出たことにより、ライブドアとホリエモンの名前は一躍全国区に。2005年2月、ライブドアがニッポン放送の株主となり、フジテレビとの間でニッポン放送の経営権争奪戦が起こるが、4月には両者で和解。フジテレビはライブドアから1400億円でニッポン放送株を買い取った。2005年8月、広島六区から衆議院選挙に出馬し、亀井静香と一騎打ちになるも落選。2006年1月、証券取引法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕・起訴される。2007年3月、東京地裁で2年6カ月の実刑判決を受け、即日控訴。2008年7月、東京高裁は控訴を棄却。即日上告し、現在最高裁判決を待つ。現在、ロケット開発を手がけるSNS株式会社のファウンダー。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.