2010年05月11日

'10.5.11(火)射撃場事故の裁判

昨年11月14日に釜山・国際市場内にある室内射撃場で発生した火災事故。あの事故で韓国人5名と日本人10名もの尊い命が奪われ、日本人1人が重傷を負った。

あれから約半年。昨日、釜山地方裁判所で事故についての裁判が開かれ、日本からも被害者遺族・家族たちが法廷に入った。裁判が開かれる10日に先立って前日の9日には、日本から来た遺族・家族たちが、事故現場となった射撃場前に設けられた献花台に、故人が好きだった食べ物や飲み物を供え、手を合わせていたそうだ。

昨日の裁判では、射撃場の社長・管理人に対し、4ヶ月の禁固刑の求刑。最終判決が下るのはまだ先だが、昨日の公判を傍聴した家族たちが、裁判の後開かれた記者会見の様子は、韓国のメディアでも取り上げられていた。
以下、『뉴시스』・釜山・강재순記者・5月10日付け記事より(写真も)

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昨年11月に発生した、釜山中区新昌洞の室内射撃練習場火災事故の被害者の、日本人遺族12名と韓国人遺族代表が、10日午後開かれた裁判の後、補償金問題などについての立場を明らかにする記者会見を持った。

10.5.11(火)射撃場事故の裁判

10.5.11(火)射撃場事故の裁判

以下、遺族との一問一答。

-今日の裁判中、射撃場の社長と管理人が謝罪の言葉を口にしたということだが、どんな内容だったのか?

「今日初めて裁判で被告人と会い、韓国語で話していたので正確な内容は分からなかったが、最後に遺族がいる傍聴席の方を向いて頭を下げて何か話している雰囲気が、謝罪してるのだろうと感じた。15名の命が犠牲になったのに、たった4年の求刑なのかと思うと、少し残念な気がする。」

-外国の法廷での陳述は大変だったと思うが、意思疎通がきちんとできたと思うか?

「昨年11月14日の事故で15名が亡くなり、半年が過ぎて今日陳述をした。時間の関係上、内容を全部陳述することはできなかったが3分の1程度は述べ、陳述している間、息子を失った苦痛のため心が痛んだ。」

また、他の遺族は 「兄の無念さを伝えることができたと思う。しかし、日本にいる甥(姪)から頼まれた、社長と管理人に伝えるメッセージを法廷で伝えられなかったので、この場を借りて言いたい。

韓国に来るとき、子供が本当に行くのかと韓国に行くことを反対した。しかしその後、気をつけて行ってきてと言いながら私に強く頼んだのは、どうして事故が起こったのか、どうして未然に防ぐことができなかったのかを聞きたい、ということ、そしてお父さんに会えなくなり、お父さんとこれ以上一緒に過ごすことができないということを、どうしてくれるのだと聞いてくれということだった。」

「今日、社長と管理人が裁判所で許しを乞うていたが、許すことはできない。幼い子供と、お父さんを失った悲しみに、一日一日辛い日々を送っている。」

続いて、韓国人遺族代表は 「まず、不幸な出来事でここにいらっしゃる遺族に、遺憾の意を表します。まだ最終判決が出ておらず、事故なのか過失なのかは最終判決を待たなければならないが、4年という禁固刑が我々全員の苦しみを洗い流してくれるかどうかは疑問だ。」

-唯一の生存者・笠原氏の夫人は、どんなお気持ちで傍聴されたのか?

「夫が直接裁判に来て陳述するつもりだったが、手術の日と重なって来られなかった。犠牲者みんなが大切な友だちで、友だちを失った悲しみと不安感などで、つらい時間を過ごしている。帰って、今日のことを夫にきちんと伝えようと思う。」

-遺族の損害賠償の場合、射撃場社長との裁判・仮差し押さえと続いていくのか?

「釜山市の特別条例案が制定され、釜山市が日本人など被害者にまず支払い、市は被疑者に求償権を請求する方針だと聞いている。遺族たちは市の迅速な条例制定などの努力に、とても期待していた。特別条例には、李明博大統領の特別支援があったことに感謝申し上げる。」

「それでも3ヶ月にわたる協議結果、現在、合意には至っていない状態で、5月4日釜山市長の決定を弁護士事務所で送達を受け、韓国被害者も同じ時点で通知を受けたと聞いている。」

-通知の内容は?

「私たちが依頼した項目について査定士が査定し、その内容を市に報告するという形式で、損害査定士が懸命に努力してくれていることには感謝するが、査定額自体に不満があり、また査定額に対する市の ”70%補償” 決定に対して不満がある。」

「損害査定額は、治療費と慰謝料を合わせて査定をしたのだが、査定士が査定した金額の70%ということに対して、韓国・日本の遺族はみな不満を持っていると聞いた。」

「このような市の補償額決定に対して異議申し立てをする予定で、韓国遺族5名中の一部も異議申し立てをする予定だと聞いており、明日午後1時30分頃、釜山市を訪問して遺族たちの意向を伝える予定だ。」

「この事故は、1次的に被疑者2名の落ち度もあるが、釜山市と韓国政府の管理責任もあると考える。今回 市と合意がなされれれば、市が加害者に請求する形になり、加害者に対する請求権がなくなって、これ以上請求することができなくなる、という不満もある。」

「”補償額の70%” という市の決定について、市の財政問題だということだが、どの国でもどの市でも財政問題を抱えている。市がお金がないのなら、政府がお金を支援すると聞いた。従って査定額の100%を受け取ることを希望する。これは日本と韓国両国の友好と、宣布された特別法の意味にも符合することだと考える。」

-韓国側の遺族たちの考えは?

「韓国遺族たちも、損害査定額を伝えられて間もなく、全員の意思を反映することはできないが、異議申し立てをするということが大部分の意見で、損害査定人が策定した金額の ”70%補償” については、韓国遺族たちも認めないという雰囲気だ。」

一方、この日記者会見には釜山地域記者の他に、日本の読売と毎日新聞と共同通信、朝日テレビ、NHKなど、日本の主要マスコミの記者たちが参席し、今回の事故の結果に対する関心を見せ、遺族の思いを伝えるため熱っぽい取材をしていた。


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