<ヤクルト3-1中日>◇26日◇神宮

 ゴール目前の落合竜に鬼門・神宮が立ちはだかった。中4日のチェン・ウェイン投手(25)を5回から投入するなど、総動員態勢で勝ちにいったが、打線がヤクルト先発由規の前に2安打1得点と沈黙して敗れた。今季、神宮では2勝8敗。最短優勝は10月1日まで伸びた。ただ、依然として最も有利な立場に変わりはない。優勝マジックが点灯した阪神は8勝1敗が自力優勝の条件となるが、落合博満監督(56)は「きついんだよ。それが」と不敵に笑った。

 ゴール目前での足踏みだった。打線がヤクルト先発由規、林昌勇のリレーにわずか2安打と沈黙した。今季8敗目。やはり最後まで神宮は鬼門だった。落合監督は霧雨の降る中を苦々しい表情で足早に歩いた。

 「あれだけボールを振ったら勝てるか?

 相手を助けて何が楽しいんだろうな。神宮で、何回、こういう試合を見たことか。来年は考えないといけないな」。

 初回、相手の制球難につけこんで森野の適時打で1点を先制したが、2回以降はすべて3人ずつで攻撃が終わってしまった。振り返ってみれば、初回に1点を奪ってなお2死満塁(堂上直が遊ゴロ)が最高のチャンスだった。まさに手も足も出ない完敗だった。

 1戦必勝の執念は見せた。1-2で迎えた5回、先発中田賢に早々と代打を送った。そして、その裏からマウンドに上がったのはチェンだった。チーム最多13勝を挙げている左腕を中4日で投入した。25日、横浜戦の山本昌-ネルソンに続いての「ダブル先発」。残り試合が少ないという利点を生かして、なりふり構わず、勝ちにいった。

 ただ、チェンは6回、わずかに中に入った失投を宮本に左翼スタンドに運ばれた。1-3と突き放される痛恨のソロだった。「(リリーフは)1年ぶりですね。緊張して力が入りすぎた。うまくいかなかった。1球の失投があると、結構でかい。それが先発と違うところですね…」。10月2日最終戦(対ヤクルト・ナゴヤドーム)での先発が予想される左腕は、悔しそうに振り返った。

 これで最短優勝は10月1日まで延びた。それでも、依然として最も有利な立場であることは間違いない。この日、巨人が敗れたため、阪神に優勝マジックが点灯したが、自力での優勝条件は残り9試合を8勝1敗でいかなければならない。「きついんだよ。それが」。自軍の優位を理解している落合監督はライバルのマジックにも動じず、不敵な笑みを浮かべた。

 27日から5日間は試合がない。10月2日の今季最終戦までは阪神、巨人の結果を待つ身となる。「それは最初からわかっていたこと。これが最終戦でなくてよかったよ」。落合監督はそう言って気持ちを切り替えた。泣いても、笑っても、残り1試合。運命の日となりそうな「10・2」へ向けて、最高の準備をするしかない。【鈴木忠平】

 [2010年9月27日11時20分

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