デュプラメソッド「理想的な淡水水槽」
6.6.1. 理想的な水流
理想的な水槽を手に入れようと考える者は、どのような条件の下でも水槽にとって適切な水流がいかに重要であるか知っている。適切な水流を作るために、現代のろ過システムにおいて高性能な循環ポンプは欠かせないものとなっている。現在我々は仕事効率の高い優れたポンプを手に入れることができるが、例えば200ℓの「理想的な水槽」に求められるポンプの吐出量(200ℓ～1000ℓ/h)などの性能について、正確に理解している者は多くない。
さらにろ過槽内部あるいは水槽内部に、水流を水槽内に作るためのポンプを設置することも重要である。このポンプは水を吸い込み、強い力で吐き出す機能のみあればよい。ポンプによって水槽内に水流をつくることには以下のような利点がある。
●一般的に魚は適度な水流を好む。そして水流によって形作られる群れの中にいることで、自然下と同様の生活をしていると錯覚する。水流に逆らって泳ぐことで絶え間のない運動をすることになり、エサをよく食べ、力強く成長する。
●水流により水が攪拌されるため、水槽内に水温が違う部分を作ることがない。
●水草の表面を水が流れることで、水草が出す老廃物と水草が必要とする栄養分の交換がスムーズに行われる。この作用はすべての水草に見られる。
●水流に流されぬよう力強く成長しようとする作用が水草に働き、根や葉が健康に育つ。
水槽内に水流を作ることで、水槽という人工的な生態系の中でも魚や水草が自然下と同じ様に生命活動を行うことになる。結局のところ「理想的な水槽」を作るということは、人工の生態系である水槽に生物たちを順応させ、故郷である自然の河川にいる時と同じ様に彼らがふるまうことができるようにすることである。
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