ポーランド大統領死亡 搭乗機墜落
乗客全員絶望
【ベルリン=赤川省吾】ポーランドのレフ・カチンスキ大統領が搭乗したワルシャワ発の旅客機ツポレフ154型機が10日、ロシア西部のスモレンスクで墜落した。ロシア政府などの情報によると大統領を含む乗客全員が死亡したという。
大統領は第2次大戦中にポーランド軍将校ら捕虜約2万人が旧ソ連の秘密警察に虐殺された「カチンの森」事件の追悼式典に夫人とともに出席する予定だったという。現職国家元首が航空機事故で死亡するのは異例。
旅客機は濃霧の中、スモレンスク空港に着陸しようとしたが、滑走路の手前で墜落。着陸前に樹木に接触した可能性がある。テロなどの情報は今のところない。ロシア非常事態省によると同機には96人が搭乗。スクシュペク中央銀行総裁、シュマイジンスキ元国防相らもいた。
事故を受け、日本の鳩山由紀夫首相は同日、ポーランドのトゥスク首相らに弔意を伝えるメッセージを出した。ロシアのメドベージェフ大統領とプーチン首相も哀悼の意を表明した。
カチンスキ氏はワルシャワ市長などを経て2005年に大統領に就任。欧州連合(EU)の政策が独仏など大国主導で決まることに懸念を表明した論客だった。双子の兄のヤロスワフ氏は前首相。