核戦争後、荒廃したモスクワが舞台の小説。
地表は荒れ、大気汚染により生活は困難に。
おまけに異形のミュータントが現れ、人々は逃げるように地下へ潜るのであった。
主人公アルチョムもまた地下難民で、本当の世界の景色を知らない1人。
自由な生活、平和を求め、彷徨い歩いていく、という内容。
長らく地上を離れた人類にとって、今や地下こそが世界。
人々は地下鉄マップを世界地図として扱い、個々の拠点が一つの国として機能しているが、愚かにも地上とやっていることは変わらず、ここでも権力争いが行われている。
地下での苦しい生活、陰鬱な雰囲気、窮屈感が伝わってくる心理描写が見事。
冒険する途上で起きるハプニング、各地での出会い、別れ、それぞれのストーリーが面白い。
主人公アルチョムは、特別強いわけでも、何か秀でた技術があるわけでも、コミュ力が高いわけでもない、普通の青年。
そんな、決してヒーローではない一般人の彼が、最良の選択肢を選べずとも生にしがみつき、希望を目指すというのが本作の醍醐味。
主人公=読者自身という目線で、自分自身が進行していく感覚を味わえる。
上下巻合わせ、心に残るロードムービーを観たような満足度を得られる。
日本人には聞き馴染みの薄い、覚えにくい地名が多数登場するが、冒頭に路線図が掲載されているので、現在舞台になっている場所や、アルチョムの足取りを照らし合わせながら読み進められる。
また、本作が優れているのは、翻訳による功績が大きいことも忘れてはならない。
洋書の翻訳にも関わらず、難解な言葉も無駄に回りくどい言い回しもなく、大変読みやすい。
しおりを意識してなのか、ページごとにキリが良い構成になっている。
ウィッチャー、ロードオブザリングなども読んできたけど、取り分け本作の翻訳は素晴らしいと思う。
本作はゲーム化もされているが、ゲームから先に入った方が情景を思い浮かべやすいかもしれない。
ゲーム版と小説では結構違うので、ネタバレの心配も特にいらない。
手元に置いておきたいディストピア小説の傑作。
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Metro2033 上 単行本 – 2010/6/21
ドミトリー グルホフスキー
(著)
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2033年、モスクワ。人類の住所、地下鉄
核戦争後のモスクワ、2033年。放射能に汚染された地上はモンスターたちの世界となり、生き残った人々はモスクワ地下鉄・メトロの駅に暮らしています。しかし、そこも安全な場所ではありません。駅同士の抗争、ネズミや奇怪なモンスターに怯える毎日。日の射さない暗く、澱んだ空気のトンネルの中、主人公アルチョムの長い旅が始まります。新種のモンスターから自分の暮らす駅を救うために。アルチョムは駅を、いや、メトロ全体を、人類を救うことができるでしょうか?!
【編集担当からのおすすめ情報】
お待たせしました! X―BOXから本作を原作としたシューティングゲームが発売中です。ゲームを楽しんだ方、メトロ世界にどっぷりはまっちゃってください!初めてこのタイトルを目にする方、モスクワ地下鉄を舞台にした悪魔的世界を覗いてみませんか??
核戦争後のモスクワ、2033年。放射能に汚染された地上はモンスターたちの世界となり、生き残った人々はモスクワ地下鉄・メトロの駅に暮らしています。しかし、そこも安全な場所ではありません。駅同士の抗争、ネズミや奇怪なモンスターに怯える毎日。日の射さない暗く、澱んだ空気のトンネルの中、主人公アルチョムの長い旅が始まります。新種のモンスターから自分の暮らす駅を救うために。アルチョムは駅を、いや、メトロ全体を、人類を救うことができるでしょうか?!
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お待たせしました! X―BOXから本作を原作としたシューティングゲームが発売中です。ゲームを楽しんだ方、メトロ世界にどっぷりはまっちゃってください!初めてこのタイトルを目にする方、モスクワ地下鉄を舞台にした悪魔的世界を覗いてみませんか??
- 本の長さ352ページ
- 言語日本語
- 出版社小学館
- 発売日2010/6/21
- ISBN-104093567115
- ISBN-13978-4093567114
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登録情報
- 出版社 : 小学館 (2010/6/21)
- 発売日 : 2010/6/21
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 352ページ
- ISBN-10 : 4093567115
- ISBN-13 : 978-4093567114
- Amazon 売れ筋ランキング: - 234,005位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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- - 1,220位SF・ホラー・ファンタジー (本)
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2020年5月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ロシア小説、というのはドストエフスキーの罪と罰ぐらいしか読んだことがなかったが、最高の小説に出会った。
ディストピアを求める人はまずこれを読まれたし。
――最高のディストピア体験が君を待っている。
その魔術的発想といい、展開といい、続編が邦訳されるのが待ち遠しいが、2033の上下巻しか出ていないのが残念でならない。
出版社の方々には2034などの邦訳を望む。
ディストピアを求める人はまずこれを読まれたし。
――最高のディストピア体験が君を待っている。
その魔術的発想といい、展開といい、続編が邦訳されるのが待ち遠しいが、2033の上下巻しか出ていないのが残念でならない。
出版社の方々には2034などの邦訳を望む。
2011年10月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この作品にゲームから入り、また、ゲームのような展開を期待していると、
良い意味でも悪い意味でも裏切られることになると思います。
ゲームでは実現できていない人と人との密接な付き合いが良く描かれており、
またそれがクライマックスに至るまでの歯車の一つとして、とても機能しています。
冗長なまでの心理描写、トンネル等の環境の描写により、主人公の息遣い、
恐怖心が読み手に伝染し、この世界観ならではの孤独と緊迫感が味わえることは間違いありません。
一方で異形のモノらに対しての描写は少なく、それが主人公含む、
生き残った人達のそれらに対する知識の少なさによるものなのか、
または恐怖心から直視できていないことを表現しているのか、
何にしてもこの部分に関しては賛否両論はあると予想されます。
ゲームから入った人は、おそらくこの部分に大きな差を感じると思います。
現代の路線図が巻頭に付属されていますので、
主人公達の移動ルートが一目瞭然な親切設計です。
建物の挿絵があれば、さらに良かったと思います。
良い意味でも悪い意味でも裏切られることになると思います。
ゲームでは実現できていない人と人との密接な付き合いが良く描かれており、
またそれがクライマックスに至るまでの歯車の一つとして、とても機能しています。
冗長なまでの心理描写、トンネル等の環境の描写により、主人公の息遣い、
恐怖心が読み手に伝染し、この世界観ならではの孤独と緊迫感が味わえることは間違いありません。
一方で異形のモノらに対しての描写は少なく、それが主人公含む、
生き残った人達のそれらに対する知識の少なさによるものなのか、
または恐怖心から直視できていないことを表現しているのか、
何にしてもこの部分に関しては賛否両論はあると予想されます。
ゲームから入った人は、おそらくこの部分に大きな差を感じると思います。
現代の路線図が巻頭に付属されていますので、
主人公達の移動ルートが一目瞭然な親切設計です。
建物の挿絵があれば、さらに良かったと思います。
2017年10月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ゲームをプレイしたことのある人なら読んで絶対に損はない内容。
特に、トンネルや駅のあの薄暗く、薄気味悪い雰囲気を容易に想像できるという点で、むしろゲームをやってから読むというのは良い選択なのかもしれない。
本作は続編のメトロ2034や、他作者のスピンオフなどが出版されているそうであるので、さっさと翻訳してほしい。
特に、トンネルや駅のあの薄暗く、薄気味悪い雰囲気を容易に想像できるという点で、むしろゲームをやってから読むというのは良い選択なのかもしれない。
本作は続編のメトロ2034や、他作者のスピンオフなどが出版されているそうであるので、さっさと翻訳してほしい。
2018年1月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ゲームの方も先にプレイしてて大体の内容は知っていたけど楽しめた。
比較的に、主人公の心情や状況説明に関して詳細にわかったしどういう人物なのかも鮮明にわかるし感情移入がしやすい。
ゲームとすこし違う点は、ミュータントの存在にすこし違和感。
ただ、大人が読むと楽しめる面白い本です。
比較的に、主人公の心情や状況説明に関して詳細にわかったしどういう人物なのかも鮮明にわかるし感情移入がしやすい。
ゲームとすこし違う点は、ミュータントの存在にすこし違和感。
ただ、大人が読むと楽しめる面白い本です。
2016年5月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
もともと橋賢亀さんの絵が好きで、本屋で偶然発見して手に取りました。
そんな全くの偶然で読み始めましたが、世界観と内容の濃さが圧倒的です。圧巻。
本棚のなかでも特別な一冊になりました。
もとはロシアのネット小説?らしいのですが、ゲームにもなっているのですね。
本国では2034も出ているらしいので、是非そちらも翻訳してほしいです。待っています。
そんな全くの偶然で読み始めましたが、世界観と内容の濃さが圧倒的です。圧巻。
本棚のなかでも特別な一冊になりました。
もとはロシアのネット小説?らしいのですが、ゲームにもなっているのですね。
本国では2034も出ているらしいので、是非そちらも翻訳してほしいです。待っています。
2013年2月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ときは2033年、核戦争後のロシア・モクスワメトロを舞台にしたアポカリプス小説。
ゲーム版で本作の世界観にハマり、小説版を購入。
サバイバル、SF、オカルトホラーなどの要素もある終末世界もので、一言で表すならば「ひたすら希望のない世界」が描かれています。
駅ごとに独立した行政、物資や領土を巡り争う人々、ファシストや共産主義者などの先鋭化するイデオロギー…。
そんな駅を抜けると表れるのは、暗く先の見えない線路、人以外の何かが蠢くトンネル、人が生きることを許されなくなった地上。
最終戦争の後ですら、人々は地下鉄という限られた空間を巡り争っています。
ゲーム版と比べると、上巻は地上の描写が極端に少ないため、とにかく暗闇が続きます。とにもかくにも暗く重苦しいです。
そしてそんな世界を旅することになる青年アルチョム。
片田舎の駅からある意志を携え出てきた、優しく読書好きでちょっと頼りなさげな彼に、メトロの世界は容赦なく現実を突きつけます。
はっきり言って、ゲーム版よりもより精神的な意味で、アルチョムはボコボコに打ちのめされます。
それでも多くの人との出会いと別れを経験し、少しずつ成長していく主人公の姿からは、この陰惨な世界においても冒険小説の主人公のような清涼感さえ感じさせます。
ゲーム版では尺の都合で省略されている部分も小説版では描かれており、上巻ではハン(ゲーム版ではカーン)や青年革命家たちとのエピソードはオススメ。
またゲーム序盤で主人公の相棒となったブルボンの描かれ方も非常に興味深いです。
ゲームだけでも充分面白いのですが、メトロの世界観に興味を持った方はぜひ小説版も読んでほしいです。ハードカバーのため値段は高めですが…。
ゲームのビジュアルセンスと小説の想像性が合わさって世界観はさらに深まると思います。
ゲーム版で本作の世界観にハマり、小説版を購入。
サバイバル、SF、オカルトホラーなどの要素もある終末世界もので、一言で表すならば「ひたすら希望のない世界」が描かれています。
駅ごとに独立した行政、物資や領土を巡り争う人々、ファシストや共産主義者などの先鋭化するイデオロギー…。
そんな駅を抜けると表れるのは、暗く先の見えない線路、人以外の何かが蠢くトンネル、人が生きることを許されなくなった地上。
最終戦争の後ですら、人々は地下鉄という限られた空間を巡り争っています。
ゲーム版と比べると、上巻は地上の描写が極端に少ないため、とにかく暗闇が続きます。とにもかくにも暗く重苦しいです。
そしてそんな世界を旅することになる青年アルチョム。
片田舎の駅からある意志を携え出てきた、優しく読書好きでちょっと頼りなさげな彼に、メトロの世界は容赦なく現実を突きつけます。
はっきり言って、ゲーム版よりもより精神的な意味で、アルチョムはボコボコに打ちのめされます。
それでも多くの人との出会いと別れを経験し、少しずつ成長していく主人公の姿からは、この陰惨な世界においても冒険小説の主人公のような清涼感さえ感じさせます。
ゲーム版では尺の都合で省略されている部分も小説版では描かれており、上巻ではハン(ゲーム版ではカーン)や青年革命家たちとのエピソードはオススメ。
またゲーム序盤で主人公の相棒となったブルボンの描かれ方も非常に興味深いです。
ゲームだけでも充分面白いのですが、メトロの世界観に興味を持った方はぜひ小説版も読んでほしいです。ハードカバーのため値段は高めですが…。
ゲームのビジュアルセンスと小説の想像性が合わさって世界観はさらに深まると思います。
2011年3月1日に日本でレビュー済み
XBOX360で出ている同名ゲームの、原作小説の邦訳版が出ていたので読んでみました。ちなみにゲームの方は途中で積んでおります(怖いのが苦手なもので…)ちなみに上下巻とも一気に読みました。
冒頭のストーリーはだいたい以下のような感じです。
"核戦争後の荒廃した世界で、モスクワの地下鉄に逃げ込んだ人々がいました。放射能で汚染された世界には多くの怪物たちが生まれましたが、それでも人々は地下世界でけなげに経済を少しずつ発展させていました。しかしある時から、今までの怪物とは全く違うやつらが、主人公の住む駅に現れるようになりました。そいつらは今までの怪物と全く異なっていて、人間の精神そのものに干渉してきます。事態を重く見た”スタルカー”の一人”ハンター”がその調査に向かいますが、万が一の事態に備えて、主人公アルチョムに指名を託します。そして事態は現実のものとなり、”ハンター”から託された使命を果たすために、アルチョムは地下世界への冒険へと旅立ちます。"
とまぁ最初の部分だけでこんな感じです。のっけから地下世界で生きていくことを選んだ人々の生活がしっかりと描写されとても引き込まれます。本当に、よくこんな世界を考えたものだと思います。
冒険に出たアルチョムは、さまざまな人の助けを受けながら目的地を目指すのですが、その途中で出てくる人々が実に多彩です。孤高の狼である”ハン”、やたら熱血な赤軍将校、など。
正直な話を言いますと、どの登場人物も違っていて面白いのですが、たいていすぐいなくなってしまうのであんまり記憶に残りません。それでも、これだけ多彩な人物が地下メトロ世界にいることをしっかりと描写していて、”人間”という生き物がどんな状況にあっても争う生き物である、ということを教えてくれています。
物語の山場はやはり、アルチョムが瀕死状態になる場面と、地上に出る場面、そしてラストでしょうか。それぞれアルチョムの精神が激しく揺さぶられていくのがとても丁寧に描写されています。
しかし、なんというかこう…一言でいうなら、アルチョムの意思というかこうしたいという願望のようなものがあまり感じられませんでした。状況状況でただ流されていくだけの少年のように感じました。
ラストはいちおう目指すべき道を見つけたという感じで終わっていくのですが、おそらく多くの人が不完全燃焼なまま読了してしまうような気がします。
長々と書きすぎてしまいましたが、まとめますと、
→世界観はとても魅力的。荒廃した世界で生きている人類の描写は、とてもリアリティがある
→ストーリー展開は微妙。もっと冒険心が欲しかった
→女性がほとんど出てこない(これは私の好みの問題ですね:-) )
結論からいいますと、同名のゲームをプレイして世界観に興味を持った人・もしくは世界観にとても興味が湧いた人は読んでみたらよいと思いますが、ストーリーに期待して読もうとしているのならやめた方が良いと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
冒頭のストーリーはだいたい以下のような感じです。
"核戦争後の荒廃した世界で、モスクワの地下鉄に逃げ込んだ人々がいました。放射能で汚染された世界には多くの怪物たちが生まれましたが、それでも人々は地下世界でけなげに経済を少しずつ発展させていました。しかしある時から、今までの怪物とは全く違うやつらが、主人公の住む駅に現れるようになりました。そいつらは今までの怪物と全く異なっていて、人間の精神そのものに干渉してきます。事態を重く見た”スタルカー”の一人”ハンター”がその調査に向かいますが、万が一の事態に備えて、主人公アルチョムに指名を託します。そして事態は現実のものとなり、”ハンター”から託された使命を果たすために、アルチョムは地下世界への冒険へと旅立ちます。"
とまぁ最初の部分だけでこんな感じです。のっけから地下世界で生きていくことを選んだ人々の生活がしっかりと描写されとても引き込まれます。本当に、よくこんな世界を考えたものだと思います。
冒険に出たアルチョムは、さまざまな人の助けを受けながら目的地を目指すのですが、その途中で出てくる人々が実に多彩です。孤高の狼である”ハン”、やたら熱血な赤軍将校、など。
正直な話を言いますと、どの登場人物も違っていて面白いのですが、たいていすぐいなくなってしまうのであんまり記憶に残りません。それでも、これだけ多彩な人物が地下メトロ世界にいることをしっかりと描写していて、”人間”という生き物がどんな状況にあっても争う生き物である、ということを教えてくれています。
物語の山場はやはり、アルチョムが瀕死状態になる場面と、地上に出る場面、そしてラストでしょうか。それぞれアルチョムの精神が激しく揺さぶられていくのがとても丁寧に描写されています。
しかし、なんというかこう…一言でいうなら、アルチョムの意思というかこうしたいという願望のようなものがあまり感じられませんでした。状況状況でただ流されていくだけの少年のように感じました。
ラストはいちおう目指すべき道を見つけたという感じで終わっていくのですが、おそらく多くの人が不完全燃焼なまま読了してしまうような気がします。
長々と書きすぎてしまいましたが、まとめますと、
→世界観はとても魅力的。荒廃した世界で生きている人類の描写は、とてもリアリティがある
→ストーリー展開は微妙。もっと冒険心が欲しかった
→女性がほとんど出てこない(これは私の好みの問題ですね:-) )
結論からいいますと、同名のゲームをプレイして世界観に興味を持った人・もしくは世界観にとても興味が湧いた人は読んでみたらよいと思いますが、ストーリーに期待して読もうとしているのならやめた方が良いと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。