2008-06-24

だから「文学」という概念の捉え方が違うのだぜ

なんか色々同情するな。

星新一宮沢賢治教科書に載っているからOKだったかなw

SFにハマった季節が来たときはそんな空想本ばっかり読んでいないで現実の本を読めと怒られた。

文学は空想だろw

増田の言う通りだよ。文学は空想だ。だからSFも当然文学だ。別に、たとえば”SF界の抒情詩人ブラッドベリや、”哲学者フィリップ・K・ディックだけが文学だと言うんじゃなくて、ハインラインだってアシモフだってJPホーガンだって、あるいはオレが中学時代少しエロい興味で読みふけってたバロウズだって(笑)文学だ。ちなみにオレも小学校のときは推理小説が好きだったし、純文学的なものは高校に入るまでほとんど読んだことが無かったな。高校時代には教師のすすめるままに読み狂った。まあ半分も分からなかったが。

…まあ、気の毒に思うのでもう少しサービスする。

今でも人を疑うのは好きではないが、そんなものは実戦経験で嫌でも身につく

「簡単に信用しない」といったのは「批判的(critial)にとらえて理解する」ということだ。「信用しない(distrust)」だけなら子供でもできるだろ。

と言うかその「高校国語」とやらははむしろ歴史部活の役割であって文学とは関係がないのではないか?

歴史」を学ぶことに文学を学ぶことと同じような効果がありうることは理解するが、それは歴史学本来の目的とは違って、単に歴史を「文学を読むように」読んだ結果ではないのか? また、部活動のような合目的的なある程度等質な人間集団で、真に「異質な他者・異文化との出会い」や「自分を遥かに超える思想体系との出会い」が得られるかどうかは難しいな。音楽系の部活動でなら、たとえば過去の偉大な音楽との出会いなどでいくらかそれに近い体験は可能かもしれないが、誰もが使っている「ことば」を媒介にすれば全体に対して正課の授業時間内でそれができるわけだろう。部活(のそういう効果)に意味があるのなら、より低コストにかつ誰にでも体験可能な形で、国語の授業時間内でそれを行うことにはもっと大きな意義があるんじゃないのか。

それに人を楽しませる文章は文学なのか?

時代小説ラノベ歴史書SFファンタジー推理小説は好きだが文学

少なくとも純文学とは言わないだろう

「純」文学というのは、文学の中のものすごく狭い(それも日本限定の特殊な)ジャンルに過ぎないので、その変な教師に教え込まれた変な定義正直忘れた方がいい。実は、増田の受けた教育の中でもっとも有害なのがその頑なな思いこみだと思う。俗に、教え込まれた「内容」よりも自然と学び取る「根本姿勢」こそ教育本質的価値だというが、増田の場合、まさにその「根本姿勢」の部分でバッチリその変な教師の影響を受けている(だから気の毒に感じるのだが)。

再度言うが、上で書いたとおりSFは当然文学だしラノベだって文学に決まってる(疑うなら、どこの大学文学部文学科の適当研究室電話して、気の済むまで聞いてみても良い、以下の内容も含めて)。大体「純文学」などというジャンル分け自体が、過去歴史上のある特殊な「考え方」に過ぎないというのが、現在の一般の評価。純文学新人賞という主旨のはずの芥川賞にしてからが、最近は(大衆文学新人賞という主旨の)直木賞と見分けがつかん、というより正直受賞作は逆じゃねえのか、と言われるようになって久しい今日この頃。だから、生徒に「純文学こそ文学!」とかそういう価値観押しつけてブンガクばかり論じたがる古い文学青年崩れの困った教師に教わった不幸には同情するが、とりあえずそれは忘れて、現代の「文学」観に目を向けるべき。たとえば、今や現代思想をまともに語れないようでは高等学校現代文教師というのはやってられないのだぜ。

その証拠に、昨今の大学入試の「現代文」というのがどういうものを取り扱っているか。小説(それも純文)なんてほとんど出ない。出るのは大抵現代思想関係で、ざっとキーワードを例示してみると「記号・身体・空間・言語論・メディア情報・文化論・芸術論・経済教育日本論・近代主義・心理学倫理学宗教歴史学国民国家テロ文明の衝突ポスコロ」……etcだ。大抵の国語教科書は、これらのテーマに可能な限り触れるようにしてるし、これ以外のマイナーテーマ(たとえば少数民族問題・沖縄差別風景論・都市論・スポーツ時間論・労働高齢化社会etc)を取り扱ってそれをウリにしようとしてる(さらに言えば、気の利いた会社なら、中学校教科書から生徒が自然とこれらのテーマに触れるように仕組んでいたりする)。教師はそれを意識して、生徒の理解力と相談しつつ、何をどのくらいどういうシステムで学ばせるか考えてる。このへん詳しく知りたければ「教養としての大学受験国語」(石原千秋)でも読んでくれ。さらに、小説の読解についても、「この小説テーマはなんでしょう?」なんて寝言を言って漫然と黒板の前でむにゃむにゃと自説を垂れ流してるようでは商売あがったりで、一行一言に込められた含蓄をあの手この手でどのくらい掘り起こせるか、読む作業の中にセンスオブワンダーを感じさせることができるか、たとえばわずか一つの比喩にどのくらいの意味と力が籠もっているかを解き明かせるか……それだけの文学理論の裏付けと力量が必要になる。これ全部「高校国語現代文)」の仕事なのだな。

それに、「学校国語」で扱える領域なんて、実際に大人が出会う「国語文学」の領域全体の広さに比べれば、庭の池みたいなもんだ。雑誌編集後記だってエロ小説だって新聞記事だって漫画だって、「ことば」の介在するコミュニケーションの領域は全てが「文学フィールドだ。その意味での「文学教育というのは、メディアリテラシー教育であり、社会学であり哲学教育であり、知的好奇心の喚起であり、ひいては大学以降のあらゆる高等教育の基礎を為す重要資質(少なくとも読み書きという点だけを取っても)の育成なわけで、これから「知の大海」に漕ぎ出す生徒にとって国語が必修科目であるのは当然すぎるほど当然なことなのだ。

まあそんなわけで、困った「国語教師」との出会いには重々同情するが、「国語」という教科の意義を疑うなら、これらが全部無意味だということを示してくれるか、あるいはそれを全て外の教科で代替する(たとえば論理的思考力の育成なら英語科の授業内で全て行う、とか、ギリシャ哲学に始まり構造主義と記号論に至るまで全て倫理で教えるとか、メディアリテラシー情報で、日本文化論は日本史の教師が、芸術論は芸術の教師が教える、とかしてくれると、かなり楽だが、多分嫌がられるだろう。なぜなら、これらを教えるための大前提としてあらためて『膨大な本を読まなくてはならない』から。だから結局、これらは国語の教師がやれということになってるのではないかと推測する。そんなわけでこれらの提案は余り現実的ではない。やれやれ。)現実的な対案を示して頂く必要があろうと思う。

どうだろう。増田の言ってるような狭い意味での「ブンガク」授業に価値がないということを否定しているのではない。むしろそこに関しては積極的に同意だ。こちらが言ってるのは、あくまで「国語」というのがもっと広い領域を扱っているということ、だからこそ「国語」を否定するのは間違いで、実際にそれは必要とされているのだ、ということなんだよ。

http://anond.hatelabo.jp/20080624192723

記事への反応 -
  • とにかく国語が嫌いだというところに落ち着く 特に文学と文学好きの教師が嫌いだ 小学校のある夏の宿題で ・元素の本 ・エジソンの伝記 ・ローマ帝国の歴史 を読んで「世の中不思...

    • その教師じゃ星新一とかSFもの読んでも低俗とか言われそうだな。 でも宮沢賢治ならOKな予感…銀河鉄道の夜だってSFなのに、ふしぎ!

      • なんかトラバがずいぶん その教師というか 小中高と出会う歴代国語教師はそんな感じ 古文漢文専門の人になるともっと別のタイプも居たが、、 小学校時代はつらかった ほとんど全科...

        • なんか色々同情するな。 星新一と宮沢賢治は教科書に載っているからOKだったかなw SFにハマった季節が来たときはそんな空想本ばっかり読んでいないで現実の本を読めと怒られた。 ...

          • いや、なんだ、その 増田の言うことはわかるんだ 広義に文学を捉えたら、そりゃ、俺にも面白さはわかる。 現代の「文学」観と言うのには興味が持てる 結局、俺は古い文学青年崩れの...

            • 高校国語の話と、より広義で(主に大学レベル以上の)文学とを、仕分けして話すべきなんじゃないかと

            • 文学を学問の一つにしちゃうのがいけないんじゃね? 論理的な精神活動とは全く別の芸術ですよ、ということにして明確に区別したらいいかも。 学校のカリキュラムで言うと美術と同程...

              • 「高校国語」擁護派の意見を書いた増田より。今回はもう少し「文学」に話を振って、擁護してみるよ。 まず、プログラムについては大昔にプログラミングの基礎みたいのを独学で勉強...

                • 論理的な精神活動云々を書いた増田だけど、 「論理的な精神活動『だけ』を教える科目」は高校では科目として成立しにくいだろうと思うよ これは成り立つと思うけどなあ。実際数学...

                  • 俺、小学校のとき先生に「文中で"、"をどこに打つべきかの法則性がわからない」と詰め寄ったことがあるんだよね。 どうも生まれつき自然科学頭だったらしく、感覚的にこの辺、み...

                  • どうも生まれつき自然科学頭だったらしく、感覚的にこの辺、みたいなのが全く理解できなかった。 おいおい、自然科学において、感覚性が無い奴はまず使い物にならんぞw それは単...

                  • 論理的な精神活動云々を書いた増田だけど、 「論理的な精神活動『だけ』を教える科目」は高校では科目として成立しにくいだろうと思うよ これは成り立つと思うけどなあ。実際...

                • 「高校国語」擁護派の意見を書いた増田より。今回はもう少し「文学」に話を振って、擁護してみるよ。 元々の愚痴エントリから付き合ってくれてありがとう 俺の教師も増田並に柔軟...

                  • http://anond.hatelabo.jp/20080625200249 もっともオレは酒が飲めないのだが。 なんか色々話してるうちに、自分の方でも「ああ、そうだなあ」と思ったことがあったので、それを書いてそろそろ...

                    • 論理の問題であれば数学があるからねえ。

                    • http://anond.hatelabo.jp/20080625235525 言いたいことはわからなくはないが、よくある誤解だと思うので。 たとえば一人称主語に何を選ぶかという選択において、絶対的な指標がなく、相手との...

                      • 二点だけ。 (1)「空気嫁」と"politically correct" 日本社会において相変わらず「理を述べる力」よりも「空気が読める力」の方が重視されているからなのだと思う。 そういう問題がな...

                        • お返事ありがとう。 まずここで言う「politically correct」とはその場のpoliticsに対する配慮からより適当と考えられる(correctな)言葉遣いを選ぶ、という意味で使っているわけだよね? ...

      • 俺が親だったら文句言いに行って数学の美しさについて叩き込んじゃいそうだわ。 そんなことやるとモンスターなんちゃらと同じ扱いにされるんだろうけど。 馬鹿な教師は死ねばいいの...

    • 高校のときの国語教師(女)が、授業中ことあるごとに 『私は無味乾燥な数学が嫌いで…それに引き替え人間らしさに溢れてる文学は…』 みたいなことを繰り返してて、 まぁおめーの趣味...

    • を読んで「世の中不思議な物質や、もの凄いアイデア、壮大な戦争がある(あった)んですね」的な感想を書いたら もう少し人間味のある本を読めと怒られた。 なんと運が悪い。 先生っ...

    • つまらない人間をつまらないまま肯定するのが、文学の役割みたいなところがある。 クズな作者が自己正当化するための詭弁の塊か、開き直って悪露趣味を発露しているだけにしか見え...

    • なんかこの教師が推薦しそうな”文学”なんて、国語の授業とテストでしか読んだこと無いわ。 そこで、自分の中では、つまらないものと判定された。 面白い本が他にもたくさんあると...

    • http://anond.hatelabo.jp/20080624134951 碌でもない教師に出会ってゲッソリした気持ちはよく分かる。増田は、元素の本読んで世の中の不思議について感想を持ったくらいだから(充分スゲエなそ...

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      • 文章を読むのは好きだったけど、読書感想文は苦手だった。 俺もそうだった。 あと、現国でも、「この部分をどう思ったか」的な記述問題で、 正解があるってのがすげえ納得できなか...

      • 文章を読むのは好きだったけど、読書感想文は苦手だった。 俺もそうだった。 あと、現国でも、「この部分をどう思ったか」的な記述問題で、 正解があるってのがすげえ納得できなか...

      • > あと、現国でも、「この部分をどう思ったか」的な記述問題で、 > 正解があるってのがすげえ納得できなかった。 俺も。だから思い切りひねくれた解釈 (でも一応筋は通ってる) を...

    • 本を読むの好きだったし国語も嫌いじゃなかった(というか得点源だった)のは、教師のおかげだったかもしれん……とふと思った。

    • 中学のときに「読書感想文が小学生レベルだ。この子はこのままだと全く伸びずに終わる」みたいなことを俺(の親)に言った国語教師がいたな。 そいつは今児童買春で捕まってる。見る目...

      • 中学のときに「読書感想文が小学生レベルだ。この子はこのままだと全く伸びずに終わる」みたいなことを俺(の親)に言った国語教師がいたな。 その先生は純粋に増田の将来を案じて...

        • その先生は純粋に増田の将来を案じて言ってくれていたのでは?むしろ教師としての責任感が言わせた台詞だろ。 いやそりゃそうなんだろうけど。 俺の能力を見抜けなかった教師の目...

    • http://anond.hatelabo.jp/20080624134951 教師に恵まれなかった元増田には同情するけどそれで理解の範囲を自ら激しく限定してしまったのは何と勿体無い。 国語はコミュニケーションの型を学ぶ...

    • 完全に横だけど。 俺バリバリの理系なんだけど、高校のとき調子こいて(わかりもしない)微分方程式の本とか読んでたのね。 予備校に行ってるわけでもなかったのに物理の問題を解析的...

      • やっぱ一線の技術者だった人間とか、退官した大学教授とかをどんどん高校教育に流入させるべきだ。 教育に関してだけ見ると、全くその通りだと思うよ!

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