迷惑メールを規制するための法律。2008年の改正で受信者からの事前同意がないメールがすべて迷惑メールとみなされ、最大3000万円の罰金が科される。

 「未承諾広告※」という文字が表題に入ったメールを受け取った経験はありませんか?これは「オプトアウト」と呼ばれる広告目的のメールで、従来は受信者の許可を得なくても、受信者が再送信を拒否するアクションを起さない限りは一方的にメールを配信することが可能でした。

 2008年12月以降には、こうしたオプトアウトの広告メール配信は基本的に不可能になる見込みです。2002年に定められた「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)」が2008年6月6日に改正され、あらかじめ受信者から許可を得た「オプトイン」のメールしか配信できなくなるからです。法人に対する罰金額が最大100万円から3000万円に引き上げられるなど、法律の実効性も強化されます。

効果◆架空アドレスを封印

 改正によって、迷惑行為とみなされるような広告メールの配信は大幅に規制されます。プロバイダーが送信者情報を偽った電子メールの送信を拒否できるようになるので、プロバイダーの段階で迷惑メールが遮断されることが期待できます。広告主だけでなく、メール送信を受託した代行業者の事業所への立ち入り検査も可能になります。

 架空のメールアドレスへの大量のメール配信が禁止になることも、迷惑メール規制の一環です。これまで迷惑メールの発信に当たっては、英数字の組み合わせで大量のメールアドレスを自動生成してメールを送信し、実在のメールアドレスを選別するという手法が取られていましたが、改正ではこの手法を使えなくなります。海外から発信される迷惑メールも今後は規制の対象になります。

動向◆企業は配信同意を得るプロセスに注意

 一般のメールユーザーにとっては改正の恩恵は大きいと予想される一方で、広告メールを発信する企業などは、従来以上に注意を払うことが必要になります。改正の前から大手企業の多くは受信者の了解を得たオプトイン型のメール配信に移行していますが、改正後はメールの受信に同意したユーザーの記録を保管したり、送信者の氏名や受信拒否の連絡先となる電子メールアドレス、URLなどを表示したりすることも義務付けられます。

 メールの配信許可を得るためには、自社のウェブサイトなどに配信希望についてのチェックボックスなどを準備しますが、あらかじめチェックをつけ、「配信を希望しない場合はチェックを外してください」といった設定では、適正なオプトインと見なされない可能性もあります。ユーザーとメール配信の同意を結ぶプロセスを、明確にしていく必要があるでしょう。