図1 NTTBPとバッファローが共同開発した「ポータブルWi-Fi」。外形寸法は95mm×64.4mm×17.4mmで,重さは約105g
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図2 NTTBP 代表取締役社長の小林忠男氏(左)とバッファロー 代表取締役社長の斉木邦明氏(右)
図2 NTTBP 代表取締役社長の小林忠男氏(左)とバッファロー 代表取締役社長の斉木邦明氏(右)
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図3 開発し直すことに決めた経緯
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図4 ポータブルWi-FiとPersonal Wireless Routerの仕様比較
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図5 ポータブルWi-Fiで新たに追加したスタンバイ機能の概要
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図6 裏ぶたを開けた状態。SIMカード・スロットのほか,microSDメモリーカードのスロットも備える
図6 裏ぶたを開けた状態。SIMカード・スロットのほか,microSDメモリーカードのスロットも備える
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 エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム(以下,NTTBP)とバッファローは,NTTドコモの3G網と公衆無線LANサービスに接続できる携帯型無線LANルータ「ポータブルWi-Fi」を発表した(図1図2発表資料)。両社が共同開発したもので,製造と販売はバッファローが担当する。メーカー希望小売価格は3万7000円。2010年6月24日から,家電量販店やNTTドコモ製品販売店を通じて販売する。3G回線の通信料金は月額で最大5985円(NTTドコモの「定額データプラン スタンダード バリュー」を2年間継続で契約した場合)である。

 NTTBPとバッファローがポータブルWi-Fiを開発したことについては,NTTドコモが2010年夏商戦向け端末の発表会で言及していた(Tech-On!の関連記事)。今回は開発を担当した2社が,ポータブルWi-Fiの詳細仕様や価格を正式に発表した格好だ。

 NTTBPは2009年7月に,ポータブルWi-Fiの原型となる「Personal Wireless Router」(以下,PWR)を発表していた(Tech-On!の関連記事)。その時点では2009年末の製品化を予定していたが,同年8~10月に実施したフィールド・トライアルの結果から「売れる品質に至っていない」(NTTBP 代表取締役社長の小林忠男氏)と判断した。「消費電力が大きく,インターネット上の掲示板で『携帯型カイロ』と揶揄されるほどの発熱があった。そのため動作時間も短かった。トライアルに利用した端末を改良するだけでは解決できないと判断し,一から作り直すことを決めた」(同氏)という(図3)。

 ポータブルWi-FiとPWRの仕様で大きく異なるのは消費電力である(図4)。ポータブルWi-Fiが搭載するLiイオン2次電池の電流容量は1880mAh。連続動作時間は通信時が6時間で,待機時が30時間である。一方のPWRは2300mAhの2次電池を搭載しながらも,連続動作時間が通信時は3時間,待機時が10時間にとどまっていた。消費電力が小さい部品を採用したことと,LAN側の端末からの接続要求がない状態が続いたときにWAN側回路の電源をオフにするスタンバイ機能(図5)を新たに用意した。こうした工夫により,消費電力を低減できたとする。スタンバイ状態への移行やスタンバイ状態からの復帰は,自動で行う。

 NTTBPはポータブルWi-FiとPWRを「コグニティブ無線ルータ」と表現しており,いずれもWAN側の回線に公衆無線LANサービスと3Gサービスのどちらを利用するかを自動的に切り替える機能を有する。基本的には無線LANと3G網の電波強度を基に判断しており,安定して無線LANに接続できる場所では無線LANに優先的に接続するように制御している。ポータブルWi-Fiでは,無線LANと3G網の切り替え時の接続安定性を高めるなどの工夫を施したとする。