W杯グループAでの1敗1引き分けというさえない結果につづき、アネルカの追放、練習ボイコットと前代未聞のスキャンダルに揺れるフランス。

 21日の地元メディアからは、「ピッチでは無能、ピッチ外では傲慢。いまにはじまったことではないが、もう完全に呆れた!」(ル・プログレ紙)、「フランス代表は国の恥、世界中から冷笑を浴びている」(フランス・ソワール紙)、「フランスはスキャンダルで世界を制した!」(レ・デルニエール・ヌーヴェル・ダルザス紙)と一斉に猛烈な批判が渦巻いた。

 20日には、主将のパトリス・エヴラとフィジカルトレーナーのロベール・デュヴェルヌ氏が激しく口論する場面や、フランスサッカー連盟(FFF)のジャン=ルイ・ヴァランタン専務理事が練習ボイコットに激怒して辞意を表明するようすが全世界に放映され、“恥の上塗り”をする始末。

 エヴラとデュヴェルヌ氏の“口論”については、練習拒否を伝えたエヴラに、デュヴェルヌ氏が説得を試み、怒りをぶつけたのが真相。一部で報じられた、アネルカがドメネク監督を罵倒した情報をリークしたのがデュヴェルヌ氏だったのでは、という見方は事実ではない。

 2日後に試合を控える状況で、選手の体調を管理するのが役目のフィジカルトレーナーとしては、当然の反応。一方で不可解なのが、2人の間に制止に入ったドメネク監督の優柔不断な態度だ。

 レキップ紙によると、ドメネク監督はこのあと、練習場で報道陣を前に、選手から広報を通じて託されたメッセージを読み上げた。内容は、アネルカ追放に抗議して練習をボイコットする、南ア戦は国民のためにベストを尽くす、というもの。選手側にも、FFF側にも属さない“傍観者的”な態度は、「責任感も、威厳も、勇気もない」と徹底的に批判された。

 フランス代表に対する批判はむろん、国内だけにとどまらない。中でもヘラルド・スコットランド紙は、「卑劣な“手”でアイルランドから奪い取ったW杯出場枠を無駄にした」とフランスにとっていちばん痛いところを突いている。