「妄想」は昔から好きだった。よく親や先生から、「ボーっとしている時がある」と指摘されたものだが、本人にとってはとんでもない話で、そんな時はたいがい妄想にふけっていて、頭の中が高速回転している時だった……。
「妄想」、なんとも甘美な響きだ。

そんな「妄想」をカタチにしてしまった玩具がある。それは株式会社バンダイから発売される『妄想コントローラ』。

この『妄想コントローラ』、ゲーム機のコントローラ部分のみで“ゲーム画面”部分がない。「じゃあ、どうやって遊ぶの?」というと、本体のスピーカーから流れるゲームの音だけを聞いて、自分の頭の中で画面を「妄想」して楽しんでいく玩具なのだ。

対象となるゲームは、昔、ファミコン・スーパーファミコンで遊んでいた30代の私にとって、あまりにも懐かしいラインナップ。

「ゼビウス」、「ファミスタ」のほか、「ストリートファイターII」からは、キャラ3人がそれぞれ収録された「リュウ・ブランカ・サガット」、「ケン・E.本田・ガイル」、「春麗・ダルシム・バルログ」全5種でそれぞれ発売される。

この『妄想コントローラ』、「妄想」というコンセプトだけでも楽しいのだが、グッとくるのは当時そのままの音で再現されたゲームのBGMや効果音。ゲームの音は体に刻み込まれているというか、例えばCMなんかでマリオのコインの音が聞こえてくると、いまだに反応してしまう。

昔、夢中になった「ゼビウス」をやらせてもらった。
「チャーチャ チャラララッチャ……♪」のオープニング曲を聞いただけで、コーフンしてしまった。

「自機ソルバルウを上下左右に動かしながらザッパー(空中砲)、ブラスター(地上砲)を撃っていくと、敵機や地上兵器がいることがわかるので、倒して進んでいってください。
目をつぶって、敵が出てくる姿を頭の中で描きながらプレイしていただければ、より楽しめると思いますよ」と(株)バンダイ・プレイトイ事業部の亀田さん。
「目をつぶってゲームを楽しんでください」とは素晴らしいアドバイスだ。

ブラスターの音や、直進してくる回転板「バキュラ」に撃って弾がはねかえる効果音など、「そうだ、この音だった」と当時の記憶が鮮やかに蘇ってくる。

「バキュラをよけなかったり、一定時間内に一定の敵を倒せないと、自機が撃墜されてしまいます。うまく敵を倒していくと、浮遊要塞『アンドアジェネシス』までたどりつくことができます」

このゲームでスゴイと思ったのは、コントローラの操作はランダムでやっても、ゲーム音で楽しめるのでそれでよし、で終わってないところ。例えばゼビウスでは、固定の仮想マップがプログラムされている。
なので、何度も挑戦して敵の出現位置や隠しアイテム場所(『スペシャルフラッグ』がある!)をインプットすれば、より上達することが可能なのだ。
「やりこめば攻略できる」という要素が含まれているところが素敵だ。

ところで、隠しアイテムといえば「ソル」も思い浮かぶが、亀田さんいわく、「ソルには出現音がなく、この『妄コン』では表現できなかったんです……」と泣く泣く断念した模様。

上記通常のプレイモードのほか、バキュラの破壊に挑戦できるモードもある。当時、裏技が流行ったときに、「バキュラは256発当てると破壊できる」というウワサが出回ったが(実際は破壊できず)、このモードでは、一定時間中に256発を当てると倒すことができる。

「ストII」では、キャラクターを選択するとバトルがスタート。
敵が右側にいるとイメージして、コントローラを操って、一定時間ではなった技のコマンド数によって勝敗が決まる。BGMはもちろん、「波動拳」「ソニックブーム」、「YOU WIN!」などの音がこれまた懐かしすぎる。
さらに、3回連続でバトルに勝利すると、あの「ボーナスステージ」も用意されていて、車の破壊にチャレンジできる。

「一度遊んだことのある方であれば、BGMを聞いただけで、自然に技のコマンドを入力してしまうのではと思います」
と亀田さんがおっしゃるとおり、波動拳コマンドだと「下 右下 右」+ボタンといった具合に、勝手に技を繰り出してしまうだろう。

「ファミスタ」では、バッター側とピッチャー側どちらも楽しめる。ピッチングバトルでは、「普通」「速球」「フォーク」の3種類で、三振やフライアウトを狙っていく。
バッティングモードでは、それら3種の球の音の違いを聞き分けて、タイミングよく振るとホームランやヒットをうつことができる。

往年のファンにとって、盛り上がること間違いナシの『妄想コントローラ』は3月20日より発売。しかも今回は“第1弾”とのことなので、次回作にも期待!?
(dskiwt)