"隣は8キロ先で少女が見えない"『クレイジーズ』
ロメロ監督作のリメイク。オリジナルは未見。
アメリカ西部、人口1200の小さな街。大人しかった男が、急に凶暴化し保安官に銃を向ける。さらに、少し離れた家で、夫が妻子を焼殺する事件が発生。不審なものを感じた保安官は水源を探り、そこで米軍機が墜落しているのを発見する。何かが、街の水へと流れ出し感染したのか? しかし、外部に支援を求めようとした彼の前に米軍が現れ、街を封鎖していく。封じ込められた住民の運命は?
まあまあ手堅くタイトな作りで、観ている間はそれなりに楽しかった。しかし、オリジナルでは街を封鎖する軍隊側の視点があり、そちらからでは「感染者」と「封鎖を怖れ暴徒化した人」の区別がつけられず、それ故に無差別殺戮に発展する、という展開があったらしい。だが、ほぼ感染を免れた民間人の視点に留めたため、アドベンチャーとしては締まったかもしれないが、恐怖表現の幅は狭くなってしまった。
感染者の描写も、一部は凶暴になるだけでなく、しゃべった上に主人公を狙って襲ってきたりして、いささか一貫性に欠ける。その方がアクション的には面白くなるんだけど、整合性を欠いてまで盛り上げを計るのはどうかと思う。
が、まあ痛そうな描写や、ゴミのように人が死んでいく様、ドッキリ演出に、ラストのお約束まで、ほどほどの期待以内のものはだいたい揃ってる。
隣の家まで8キロ、とか、アメリカ西部の田舎の広大さを実感するこういう舞台設定も好きだ。隣人に何が起こっているかわからず、知らぬ間に自分だけが孤立している。これは隣同士が監視し合う山間部の田舎ホラーでは絶対に出ない感覚。
ティモシー・オリファントとラダ・ミッチェルという、どこに出てたかは皆目思い出せないが、まあ知ってる人たちが主演。この程々の華のなさがいいよねえ。誰がいつ死ぬかわからないし。
今年では『フェーズ6』なんかよりは断然楽しめたね。映画秘宝のインタビューも合わせて読むと面白かった。
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